お客様導入事例
病院内の仮想化環境をマルチベンダーで構築し、
盤石なセキュリティー基盤と現場の業務効率を両立
病院内の仮想化環境を
マルチベンダーで構築し、
盤石なセキュリティー基盤と
現場の業務効率を両立
事例の概要
- 2015年に導入した電子カルテシステムの仮想化環境が老朽化を迎え、リプレースに迫られていた
- 厚生労働省のガイドラインに準拠したセキュリティー基盤の構築と、ひとり情シス体制でも300台以上もの端末とサーバーを安全かつ効率的に管理できることが求められていた
- 現場の業務効率と情シスの管理効率を両立させるために、1メーカーではなくマルチベンダーでの構成が最適と感じていた
- 仮想化環境を最新化することでクライアント端末を増やすことができ、業務効率を高めることができた
- クライアント端末ログアウト時の仮想デスクトップリフレッシュ機能とマルウェア感染時のログ収集機能を導入し、ひとり情シス体制でもセキュリティーを確保した運用が可能となった
- マルチベンダーで構築することで、現場にとっても情シスにとっても利便性の高いシステムを実現できた
- 柔軟性のあるシステム構築を検討するうえで、最新の商品や技術について富士フイルムビジネスイノベーションジャパンのソリューション営業が気軽に相談に乗ってくれたこと。また、過去の仮想化環境構築でもトラブルがなく信頼性が高く、複合機を通して病院内の業務を熟知していること
事例の詳細
事業内容を教えてください
特定医療法人 万成病院の外観
導入前はどのような課題を感じていましたか
2015年に導入した電子カルテシステムの仮想化基盤が老朽化していました。クライアント端末は24時間365日タフな環境で使用しているため修理頻度が高いのですが、その部品が少なくなってきており、サーバーもバックアップストレージの保守切れが近づいていました。実際に現場で困るほどのトラブルは発生してはいなかったのですが、業務上必要不可欠なシステムであり、トラブルなどが発生して情報漏洩などが起こってしまうと大問題となるため、その前にリプレースする必要性を感じていました。
また、医療機関を標的としたランサムウェア攻撃に対して脅威が高まっており、セキュリティーにおける潜在的なリスクがありました。このリスクを排除するため、厚生労働省が策定している「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に準拠した強いセキュリティー基盤の構築が求められていました。さらに、リプレースに伴いクライアント端末数の増加が計画されていたのですが、ひとり情シス体制でも300台以上ものクライアント端末を安全に管理できる仕組みを構築する必要がありました。
上記を実現するためには、通常、電子カルテ、ネットワーク、サーバー、ソフトウェアなどは1メーカーで構築することが一般的なのですが、職員の業務効率や管理者としてのメンテナンス性などを鑑みたときに、1つのメーカーで構成するのではなく、それぞれの分野に強いメーカーの技術を組み合わせることで、より良いシステムが構築できるのではと考えていました。マルチベンダーでのシステム構築は業界でも前例がほとんどなく難易度が高いうえに、診療に影響が出ない土曜日の17時から翌日8時30分までの短時間でリプレースを完了させる必要がありました。
導入の決め手を教えてください
富士フイルムビジネスイノベーションジャパンには、複合機を通して病院内の業務について理解いただいています。さらに過去に導入した仮想化環境の構築や運用を通して、病院内で利用しているシステムの導入経緯や内容について理解いただいている点が大きいです。そのため、原因究明が難しいトラブル発生時にも迅速な障害切り分けから対策まで行ってくれています。2015年に仮想化環境上で医療事務会計システムを動作させるといった初の試みを行った際にも、クライアント端末のトラブルが1度も発生しなかったといった実績も決め手となりました。
また、マルチベンダーでシステムを構築する際には、常に当院の要望と昨今のトレンドを含めた最適な提案をしていただき、システム構築時も気軽に相談できることも大きな要因でした。
情報システム課 課長 河田 智之 様
上級医療情報技師・診療情報管理士
VMware vExpert・EUC Expert
岡山県医療情報技師会 会長
導入後の効果について教えてください
リプレースに伴い、電子カルテ、ネットワーク、サーバーなどを最新の仮想化環境に移行することができ、クライアント端末も増加させることができました。それにより、日勤と準夜勤の職員の方が重なる申し送りの時間帯で一時的に多くのクライアント端末が必要な場合でも、職員全員が利用できるようになりました。端末の台数は増えたもののリプレースによってログインのスピードは向上しており、職員の業務時間短縮につながっています。
また、厚生労働省が策定したガイドラインに準拠したセキュリティー基盤を構築できました。具体的には、VMware Horizonの「インスタントクローン」により、クライアント端末をログアウトすると高速に再構築され、常にクリーンな状態で運用可能となりました。当院では、日勤の職員は業務終了後に、24時間動いている病棟でも定期的にログアウトする運用を徹底し、安全性を向上できています。そして、VMware Carbon Black Cloud Workloadの導入により、万が一マルウェアに感染した場合でもログを残すことができ、後追いで調査が可能です。これらの仕組みにより、ひとり情シスの体制でも300台以上のサーバーとクライアント端末を一元的に安全管理できています。
マルチベンダーでシステム構築できたことで、ネットワークではアライドテレシスAMFの自動復旧機能により、落雷でトラブルが発生した際にも予備機に差し替えるだけで復旧がすぐにできます。そして、Nutanix上でハイパーバイザー※を稼働させ、サーバーや仮想クライアントを動作させることで、メンテナンス性を向上することができています。マルチベンダーでリプレースする際には、各社間での連携が重要となるのですが、富士フイルムビジネスイノベーションジャパンは病院内のシステムを熟知していますので、予期せぬトラブルにも迅速に対応してもらっています。そのため、土曜日の夕方から翌日朝までの短時間で問題なくリプレースを完了することができました。
※ コンピュータを仮想化するためのソフトウェア
仮想化環境はどのような会社におすすめですか
簡単に仮想デスクトップを再構築できる仕組みと端末にデータを残さないシンクライアントで構成されるので、情報が漏洩してしまうと信用が失墜してしまうような、重要情報を扱われている病院や企業様におすすめできるのではないでしょうか。今後、マイナンバーカードが保険証に一体化されていくと、病院には重要なデータがさらに蓄積されていくので、セキュリティーを盤石にしていくには適したシステムだと思います。また、PCに不慣れな方が多く、システム管理者も少ない中で多くの端末を管理しなければならないような組織にも適していると思います。
さらなる活用や今後の取り組み予定について教えてください
現在も厚生労働省が主導となって、「電子カルテ情報を共有する」仕組みの検討が進んでおり、その中で、データ規格の標準化が議論されています。そうなると、各ベンダーが固有で構築してきた電子カルテのデータを新しい規格の電子カルテに移行する際、過去のデータをコンバートできないなど課題が残ります。どのような体系でシステムを構築しておけば、将来のデータ移行が効率的に進められるか、岡山県医療情報技師会 会長の立場としても、今から情報収集や技術の習得を進め、今後の活動に生かしていきたいと考えます。
(左から)
富士フイルムビジネスイノベーションジャパン 川上 吉典
富士フイルムビジネスイノベーションジャパン 河内 晃
特定医療法人 万成病院 情報システム課 課長 河田 智之 様
富士フイルムビジネスイノベーションジャパン 河合 利幸
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お客様プロフィール
※掲載内容は2024年3月時点の情報です
1954年に創立し今年で70周年を迎える、病床数500床の精神科病院です。外来ではうつ病などこころの病に対応し、入院では統合失調症・認知症を中心に医療を行っています。当院は、「ひろがれ! 笑顔」をモットーに、住民へのこころの病の教育、地域交流カフェや古民家改修による地域拠点の創設、障がい者スポーツの充実や地域スポーツの支援も行うなど、地域とともに歩み、精神科医療からの街づくりを目指しています。