デザインストーリー

コンビニマルチコピー機プリントサービス
ネットプリント

コンビニマルチコピー機プリントサービス ネットプリント

成功体験で心をつかむ

だれもが簡単に使えるサービスとして愛されてきた「ネットプリント」。ブラウザ版のリニューアルにあたり、「心の満足度」「体験」に着目し、開発や営業とチームでモニターテストを実施。テストで得られたヒントをもとに、幅広いユーザーを「簡単にできた!」と成功体験に導くUI/UX改善を行いました。

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これまでは印象に残りにくい機能を並べただけのデザインで、ネットプ リントと聞いても思い浮かぶイメージが何もないことが課題でした。
今回ティールグリーンの世界観に、ユーザーの気持ちに寄り添った親しみやすいリアクションのイラストを採用。”サービスの顔”として、次回必要になったとき、ネットプリントを迷わず思い出していただけるトリガーとなるよう意識しました。
ネットプリントのユーザーは、老若男女と幅広く、使う目的もさまざまです。家族や旅の写真をプリントするときはワクワクしますが、会社や役所への提出書類ではイライラするかもしれません。いずれのモチベーションにおいても、ユーザーが快適性を感じ、ホスピタリティを感じるようなUIデザインを描きました。

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UI/UXデザインの検証は、プロトタイプを用いたモニターテストで手順のわかりやすさや画面の見やすさを確認。10〜70代までの幅広い年齢層をモニター対象者とし、行動観察と入念なインタビューからジャーニーマップを描き、ユーザーの行動と感情を細かく分析しました。また、今回初めて「心の満足度」を測定する調査指標NPS®も取り入れて、〈使いやすさ〉〈見やすさ〉にとどまらず、使う〈楽しさ〉 〈喜び〉についても検証しました。

私たちの想像を超える結果が現れたのは、QRコードの発行プロセスでした。コピー機のメニュー画面にかざすだけで登録確認できるQRコードは、予約番号8桁の入力の手間を省きユーザビリティを大幅に改善する機能です。モニターの多くは、QRコードをまとめる手順で「つまずいた」にも関わらず、心の満足度が高い結果になりました。QRコードをかざして「ピッ」のワンステップで登録確認できる気持ちよさが、「成功体験」としてユーザーの心に響いたことがわかりました。

※「NPS®(ネットプロモータースコア)」は、大切な人へどの程度おすすめするか点数をつけてもらうことで、顧客ロイヤルティ(商品やサービスに対する信頼・愛着)を測る指標です。顧客満足度とは異なり、企業の収益と相関が強い点から経営指標としての導入が進んでいます。

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NPSの結果から、QRコードでの「つまづき」を解消することで、ユーザーの満足度に直結することがわかり、よりシンプルに使えるように「まとめQRコード」だけを発行する大幅なステップ変更を関係部門に提案し、QRコードをまとめる操作そのものを削除しました。
モニターテストの段階から、開発や営業などメンバー全員が立ち会い、担当分野を超えてデザインの課題を“自分ごと”として捉えてもらっていたことも、今回の改善につながったと思います。
このほかにも、画面下のアプリ版を紹介するバナーを広告と勘違いされて認識されなかったなど、私たちの想定とは異なる思わぬ課題が見つかり、モニターテストは驚きと発見の連続でした。

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今回のリニューアルを通し私たちが再確認したのは、スマホ操作一つとっても、人により熟練・理解度に差があること、使う人の気持ちをよく観察して、その行動や心理を分析しなければ、デザインの課題はわからないということです。
今回「だれもが使える」デザインにたどりつく難しさに何度も直面しましたが、その壁を乗り越えていくことがUI/UXデザインの面白さでもあります。インターネットサービスは進化やニーズの変化が早い領域です。世の中の変化を常に感じ取り、ユーザー目線を大切にしながら、これからもネットプリントのサービス全体を進化させていきます。