デザインストーリー
用紙パッケージ グラフィックデザイン
「共感」が生み出した理想のパッケージデザイン
富士フイルムビジネスイノベーションでは、複合機に不可欠な用紙のパッケージ(包装紙と、包装された用紙の束を収納する箱)もデザインしています。今回、新ブランドで用紙をワールドワイドに販売するにあたり、新たなパッケージデザインを手がけました。そのデザインストーリーをご紹介します。
2種類のパッケージデザインに共通性と適合性を
用紙には国内向けと海外向けの2種類があり、それぞれ販売方法が異なります。国内向けはBtoBの商品で非常にコストダウンを求めれられます。一方で、海外向けはコンシューマー向けに店頭販売もされるため、印象的なデザインが好まれます。今回新ブランドのデザインで掲げた目標は、この2つにデザインの共通性を増やしながら、それぞれの市場に向けて適合性のあるものをつくることでした。
それぞれの市場の関係者を集めたプロジェクトチームで検討を始めたとき、メンバーからは国内・海外共に全く同じデザインで出せないかなど、さまざまな意見が出ました。チームで議論を繰り返す中でわかったことは、市場ごとにデザイントレンド・売り方・コスト意識の違いがあることです。デザイナーからは統一したビジュアルイメージをそれぞれの市場に向け商品に展開することを提案し、メンバー全員の納得感を大切にしながら検討を進めていきました。
「成長」「信頼」「前進」をビジュアルイメージに
私たちはビジネス向けの用紙という商品を通じてどんなメッセージをお届けしたいのかを考えました。そこで行き着いた答えは、「お客様一人ひとりの業務を支えているのが用紙なんだ」という想いです。用紙はあらゆる仕事の現場で当たり前のように使われます。いわば空気のような存在として日々の業務を支えていて、それがお客様の会社の成長にもつながっていくのではないかという考えに至ったのです。
導き出されたキーワードは「成長」「信頼」「前進」。品質、信頼のおける用紙を通して、お客様の会社の成長を支えたいという想いから生まれたこの3つの言葉を、ビジュアルに具現化しました。この考え方にある販売会社の方が深く共感してくださり、自社の販売サイトでコンセプトを掲載したいとまで言っていただけたほどでした。
遠近で変化をもたらした実用的なデザイン
複合機の横に置かれる用紙パッケージは、箱だけが主張するようなデザインでは遠くから見た時に煩雑になりがちです。複合機と2つ合わせて富士フイルムブランドと感じていただけるよう、遠目からはパッケージとして佇まいが美しく見えるデザインに、近づいた時は紙のスペックなど細かい情報が自然と目に入ってくるとともに、ビジュアルイメージの存在感をしっかりと感じられるデザインになっています。
デザインを考える上で意識したのは、高い理想を持って制作を進めること。現実的には印刷の制限があり、印刷できない箇所や、文字の大きさを調整しなければならないこともありました。その中でもデザインのレベルが落ちないように、できるだけ高い目標値を持って進めたことで、理想のパッケージデザインが完成したと感じています。
デザインを生み出す過程を丁寧に行うこと
今回のプロジェクトでは、生産・販売のメンバーとチームを組み、デザインを通じてお客様に何を伝えたいのか、その想いを引き出す作業を丁寧に行いました。すべてのメンバーがコンセプトの理解やデザインストーリーを共有しながらプロジェクトが進行し、共感を経てできあがったデザインへの想いは、販売担当者の方々を通して、その先のお客様にまで伝わっていきます。今回の体験を生かして、今後もプロジェクトメンバーとのコミュニケーションを大切にしながら、皆が共感できるデザインを生み出していきたいと考えています。