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さて、突然ですが透視には大きく分けて2つのタイプがあります。それは何でしょう?そう、みなさんもご存知の「連続透視」と「パルス透視」です。ここ最近では、「パルス透視」が主流と言っても過言ではないくらい普及しています。
画像のデジタル化に端を発し、「パルス透視」の採用が徐々に増えてきました。その主な目的は、いうまでもなく「被ばく低減」です。X線を連続的に出している「連続透視」と比べて、「パルス透視」はX線を”間欠状”に出力します。これは文字どおりX線が出ていない時間が増えるので被ばく低減効果が大きいと考えられています。パラパラ漫画をイメージしていただくと分かりやすいと思います。
では、「パルス透視」を採用すれば、「連続透視」と比較して被ばく量を確実に減らせるのでしょうか?答えは、「必ずしもそうとは言い切れない」です。1つ例を挙げて一緒に考えてみましょう。
連続透視の管電流を2mA、パルス透視の管電流を10mA、フレーム数を30fps、そしてパルス幅を10msと仮定します。管電圧が全く同じである場合、連続透視の1秒間あたりの管電流時間積は2mA×1秒=2になりますね。それに対して、パルス透視では10mA×0.01秒×30fps=3です。この例では、パルス透視の方が大きな被ばく量を示す結果になりました。
今回挙げた例は極端なものではありませんので、「パルス透視を採用しているから被ばく量が少ない」と考える前に、一度立ち止まって被ばくの「絶対量」について少し確認してみるとよいかもしれません。
連続透視 | パルス透視 | |
---|---|---|
管電流 | 2mA | 10mA |
フレーム数 | ― | 30fps |
パルス幅 | ― | 10ms |
1秒間あたりの管電流時間積 | 2 | 3 |
この話を聞かれている皆さんはすでにお気づきかと思いますが、各々の計算式を見ると分かりやすいと思います。被ばく量を考えるにあたって、連続透視では「管電流」の値だけに注視すればよいです。一方で、パルス透視では「管電流」、「フレーム数」、「パルス幅」という3つの要素に着目する必要があるんです。確かに、切り替えやすいのは「フレーム数」です。しかし、「管電流」と「パルス幅」も重要な要素なので、「フレーム数が少ない=被ばく量が低い」とは必ずしも言えない点にも注意が必要です。
富士フイルムの透視システムでは、自動でX線条件が追従します。さらに「管電流」と「パルス幅」を最適化して、高度な画像処理と組み合わせて「1パルスあたりの管電流時間積」を小さくする=被ばく量を少なくすることもめざしているそうです。
透視システムではJIS規格等で被ばく量の上限が決められています。なので「1パルスあたりの管電流時間積」が大きいと「フレーム数」に制限が出てきてしまいます。30fpsという高フレームレートパルス透視を採用しつつ、被ばく量の少ない(もちろん15fpsや7.5fpsを使えばさらに被ばく量が少ない)商品を、今後も世に送り出してくれることを期待しましょう!
絶対量に注意しながら、パルス透視で被ばくを低減!