医薬品事業

近年、生活環境の改善や医療水準の向上とともに世界規模で高齢化が進み、がんや認知症の増加が社会課題となっています。
また、国境を越えた人の往来の活発化、薬剤耐性菌の増加などで、感染症の被害が拡大しています。
それらの疾患の多くは患者ごとに病態や進行の様相が異なる複雑なメカニズムを持っていて、
最大公約数的な治療法を一律に施術するような標準的な医療のアプローチでは
成果が出にくいことも明らかになりつつあります。

こうした課題に、私たち富士フイルムはトータルヘルスケアカンパニーとして、
化学、バイオ、画像、AIといった多分野の技術を組み合わせ、
「診断」と「治療」を一体化する独自のアプローチで取り組んでいます。

そして、狙いを絞った創薬とDDS（Drug Delivery System）の開発を通じて、
「確実に効く薬を、必要な量だけ、体内のターゲットに正確に届ける」仕組みを確立することで、
真に患者さんのQOL向上につながる医療の実現を目指しています。

これは同時に、副作用の発生を防いだり、不必要な薬剤投与を減らすことで
社会の医療費負担を軽減するといった幅広い効果ももたらします。

また、すでに展開している、ペニシリンなどの抗菌剤の製造受託に加え、2021年に稼働を開始した、ドラッグ・デリバリーシステム技術のひとつである脂質ナノ粒子（Lipid Nanoparticle：LNP）を用いた製剤の製造設備・インフラを活用して受託ビジネスを推進。mRNAをはじめとしたや核酸医薬品などの次世代医薬品分野にも受託領域を広げ、事業の持続的成長を目指していきます。

写真フィルムを始めとする幅広い製品開発で培い進化させてきた、高度なナノ分散技術や解析技術、合成技術を活かして、お客さまの開発ニーズに最適なリポソームやLNPを提供いたします。リポソームや脂質ナノ粒子（Lipid Nanoparticle、LNP）に関する製剤設計や生産プロセス開発、および製造受託サービスを行っており、お客さまのご要望に研究から商用製造までシームレスに対応いたします。