このコンテンツは医療従事者向けの内容です。
透視検査の真っ最中に突然、「検査が長引きそうだから線量下げて!」 という状況に置かれたら、みなさんならどうしますか?いろんな方法を思いついたかと思いますが、考えられる対処法は大きく2つに分けられると思います。
1つ目は「1パルス当たりの線量を下げる(連続透視の場合、入力信号量そのものを落とす)」という観点で、線質改善フィルタ―や出力調整などが思いついたのではないでしょうか?比較的簡便に線量を低減できるこの方法はオーソドックスな解決策といえるでしょう。実際に多くのX線テレビ(透視システム)で採用されていると思います。
2つ目は 「フレームレートを下げる」 という方法が考えられますね。もしかしたら真っ先に思い浮かべた方も多いのではないでしょうか?フレームレートを下げるというのは、「パラパラ漫画を1枚飛ばしで見る」というイメージに近いです。1枚飛ばしというのは、絶対的な紙の枚数(=線量や連続性)を半分にすることとイコールですよね。つまり動画はカクカクして滑らかさに欠けてしまいますが、「線量を下げる」という主目的において大きな効果が期待できるというわけです。
「絶対的な枚数が半分になる」ということは、連続性の低下は防ぎきれない」ということです。つまり、 どんなに画像処理を向上させたところで、フレームの数を少なくしてしまったらデータ量が少ないので、「従来相当の見た目を担保することは難しい」ということになるんです。
これら2つの方法のうち、後者の「フレームレートを下げる」に着目して、連続性(=動画の滑らかさ)の低下を克服した画像処理があります。それが富士フイルム独自の処理技術 フレーム補間技術なんです。一言で言うと、「表示するフレームレートはそのままなのに、被ばく線量が半減する」という画期的な画像処理です。少し正確に表現をすると、「X線を出力するパルス数を半減させても、パルスとパルスの間に高精度に作り出した補間画像をリアルタイムで挿入することで、フレームの数を維持して透視画像の連続性を保つ」といえます。夢のような解決策ですね。そのショートビデオがあるので見てみましょう!
フレーム補間処理は、透視画像のフレームとフレームの間に「オプティカルフロー」という技術を使って、高精度に生成された補間画像を挿入します。挿入された画像はあくまでも補間画像であるため、パルスレート半減前と全く同じとまではいきませんが、実際にⅩ線を照射しているパルスレートの2倍の数の画像データがディスプレイ上に表示されます。つまり、なめらかさを維持しながら被ばく量が半分になります。
「1パルス当たりの線量をそのまま」 に 「連続性を保って線量を半減できる」という今までにない発想です。補間画像の生成には「機械学習」により最適化されたパラメーターを用いているからこそ、こんなにも高度な技術を臨床適用できるんですね。被ばく低減が重要視されている昨今、医療現場にとっては被ばく低減への新たな選択肢となり得るかもしれません。
夢のようで夢じゃない。なめらかさを犠牲にせずに被ばくを低減!