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ここで紹介する技術は、「波尾カット」というというみなさんにもお馴染みの手法です。これは「X線出力時に発生する波尾を遮断し、画像化するにあたり無効となるX線をカットする」というもので、ここではその方法について復習したいと思います。さて、その透視画像とはどのように作られるのでしょうか? ここでは細かな技術的な話は抜きにして、「X線の出力」と「X線の検出」についておさらいしてみましょう!
「X線の出力」は、高電圧発生装置やX線管によって行われます。近年のX線テレビ(透視システム)では、「パルス透視」という方式が多く採用されていますね。この「パルス透視」というのは、1秒間に数回から数十回のX線を出して画像化し、それらをパラパラ漫画のように連続的に表示することで動画として観察する方法を指します。
一方「X線の検出」は、FPDに代表される検出器によって行われます。シンプルに解説すると、FPDは出力されたX線をその都度入力値として読み込む、ということです。例えば、1秒間で最大30枚の信号を受け取って画像化するとします。このFPD、実は常に受信体制にあるわけではなく、イメージとして「受信」→「休息」を1秒間に30回繰り返しているんです。
このようにX線の「出力」と「検出」は、基本的にタイムラグなく「同じタイミング」で行なわれます。ただし、X線の出力は原理上ストップしてもすぐにゼロになるわけではなく、高圧ケーブルに残留する電荷の影響で徐々に少なくなっていきます。さぁ、ココからが本題。一例として下の図を見てみましょう!
図中の緑線部分は、「X線照射時間=FPD受信時間」です。これに対して、オレンジ線部分は「残留電荷によるX線放出時間」で、これを「波尾」と呼びます。この波尾は「画像化に寄与しない無駄な被ばく」ということはみなさんもご存知かと思います。そう、これを可能な限りゼロに近づけることが理想といわれています。そこで効果を発揮するのが、X線出力時に発生する波尾を遮断する被ばく低減技術の「透視波尾カット」なのです。
この透視波尾カットの有無で、画質の違いを感じることはないでしょう。それは透視波尾カットが遮断しているのは「画像化に寄与しない無駄な被ばく」だからです。透視波尾カットを施すことにより、20%近くの被ばく低減が可能ともいわれています(注意:その時のX線条件に依存)。パルス透視が採用されたX線テレビ(透視システム)で波尾を遮断する能力があるか否かは、「根本的なスペックが全く違う」といっても過言ではないほどの大きな差であることがわかっていただけましたか?さぁ、X線テレビ(透視システム)のスペックをもう一度チェックしてみましょう!
大きな差を生む透視波尾カットで根本的に被ばくを低減!