このコンテンツは医療従事者向けの内容です。
突然ですが質問です!「動きのあるものを連続的な画像として記録する手段ってなに?」と聞かれたら、みなさんは何と答えますか? 画像の記録と聞いて、「連続撮影」を思い浮かべた方が実は多いのではないでしょうか。もちろんそれは正解です。一方で「連続撮影の枚数が多くなると、被ばく量が気になる…」という懸念も考えられますね。そんな時にオススメしたいのが「透視録画」です。ということで今回は、任意のタイミングで連続撮影よりも長い時間の画像を保存できる「透視録画」についてお話ししたいと思います。
透視録画とは、「ある一定の時間の透視画像を記録する」という便利な機能です。パルス透視で例えると、「パラパラ漫画のページを一枚ずつ”コピーする”」というイメージでしょうか。このメリットのひとつとして「画像をPACSに送信できること」が挙げられます。保存された透視画像は、透視システムやPACSでCINE再生することで「動画のように観察できる」というのも使いやすいポイントと言えるでしょう。これを聞いて「透視録画って動画データなの?」と疑問に思った方も多いと思います。実は、録画された透視画像はmp4やaviといった動画データではなく、先に触れた透視スクリーンショットと同じ「DICOM画像」なのです。
透視録画を活用しているみなさんの中には「録画ボタンをうっかり押し忘れていた」や「記録可能な枚数を超えて、肝心の撮りたい瞬間を録画できていなかった」といった経験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか?おそらく「診療放射線技師あるある」ですよね。私も過去に苦い経験があります (大声では言えないですが…)。
最近の透視システムには、なんとこの「あるある」を解決してくれるものもあります。例えば「透視中に透視画像を常に記録してくれるモデルがある」ことをご存じでしょうか?具体的には、透視中または透視を切ったときに録画ボタンを押すと、それを押した瞬間から最大1,200枚分の透視画像を遡って保存するという「プレイバック録画」をしてくれるのです。つまり「不確実な録画開始のタイミングを図る」のではなく、「録画したい瞬間を確認してから保存することを選ぶ」というわけです。これが取り忘れを防ぐ秘訣なのです!
「透視録画を活用するうえで注意すべき点」と聞くと、どんなことを思い浮かべますか?おそらく「実際に録画できる時間」と「設定可能なフレームレート」を気にされる方が多いと思います。
録画できるフレーム数が多ければ多いほど、録画できる時間は長くなります。これに加えて見落としてはならないのが「滑らかさ」です。透視システムによっては1,000枚以上のフレームを録画できると思います。しかし、「録画する際のフレームレートに何らかの制限はないか?」という点には注意しましょう。
例えば、1,200枚分の透視画像を記録したとします。仮に30fpsを使う場合は、40秒分の透視画像を記録できますね。一方で「40秒よりも長い時間記録したいけど、検査中のフレームレートを落とすのは避けたい…」というときは、どうすればよいでしょうか?このようなケースでは、「透視録画の記録レートのみ」を落としてみるのが良さそうです。録画された透視画像の滑らかさは落ちてしまうものの、検査中の見え方(透視フレームレート)を変えることなく、長い時間の透視画像を記録できるでしょう。この選択肢があるか無いかによって「録画の使い勝手」が大きく変わるかもしれないので、しっかり覚えておきましょう!
フレームレート | 録画時間 |
---|---|
30fps | 40s(00:40) |
15fps | 80s(01:20) |
7.5fps | 160s(02:40) |
3.8fps | 320s(05:20) |
1.9fps | 600s(10:00) |
透視録画というのは「被ばく低減」にも有効なケースがあると思います。もちろん撮影画像と比較すると透視画像の画質は劣ります。ですが、同じ時間(秒数)を記録した場合、パルス透視を録画する方が被ばく線量を低く抑えられるといったメリットもあると言えますね。このように、使い方によっては「長い時間の記録」と「被ばく低減」を同時に叶える「いいとこ取りの機能」として活用できるかもしれません!
嚥下検査などの長い時間を撮りたいとき。関心部位の動態を記録したいとき。そしてPACSで動画を確認したいとき。いろんな場面で活用できるのはないでしょうか?動きに強くてブレにくい透視画像ならば、その使い道やコツはもっと拡がるかもしれませんね!