このコンテンツは医療従事者向けの内容です。
近年のX線テレビ(透視システム)の多くはずいぶんと賢くなりましたね。例えば、X線条件が被写体に合わせて自動的に追従するものが一般的になりました。これは言い換えると「ユーザーの操作によらず自動的にX線条件が変動する」ということでもあり、ユーザーが意図しない方向に変動してしまう可能性も同時に持ち合わせているといえますね。
(左は画面の中央付近が体幹部であるのに対し、右の画面では直接線の領域が多くX線条件が下がりやすい状況)
具体的な例として、「胃透視の際の体位変換」を思い浮かべてみましょう。胃透視って画面の多くに直接線が入り込んでしまうこと、よくありませんか?このとき何が起こるかというと、X線条件が下がりやすい傾向にあるんです。これはROI (Region Of Interest) と呼ばれる関心領域に直接線が入り込むことで、システム側が「輝度が高すぎる」と自動認識して、X線条件も自動的に下げようとするため起こります。
X線条件の最適化に有効なのが、「ROIサイズ自動可変型ABS技術」です。これは、ROIの中で「平均値から大きく離れた画素の領域」を除外したままX線条件の追従を行うものです。これがあると条件不足に陥る状況が少なくなり、見たい領域を観察しやすくなります。
適切なX線条件設定は、透視画像が黒く沈んでしまう状況を少なくすることになり、結果として透視時間が短くなったり、無効被ばくを減らすというメリットにつながると考えられます。
適切なX線条件で無効被ばくも低減!