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さて続いては透視のスクリーンショットです。これは透視観察中の任意のタイミング、もしくはラストイメージホールド画像をDICOM形式でキャプチャーするものです。シンプルに聞こえるこの「透視スクリーンショット」ですが、実は「ブレない透視」だからこそできる技術なんですね。ここではその秘密を探っていきましょう。
近年のX線テレビ(透視システム)では高画質化が日進月歩で進んでいますよね。これは画像処理の高度化はもちろんのこと、検出器のスペックそのものも向上したからなんです。例えば、FPDのピクセルサイズを見てみましょう。多くのFPDで150μm前後、大きくても200μm程度が主流になりました。ただ、いくらFPDが高度化したからといって、得られるすべての画像が全く同じ画質になるわけではありません。というのは、「画像」は透視と撮影の2種類にわけて考える必要があるからです。
「透視」はリアルタイム、つまり超短時間で次々に入力信号が入ってきます。つまり1枚あたりに施せる処理量はどうしても限られてしまいます。このため一般的に、処理の数やレベルを制限したり、高速処理が可能なGPUを搭載したり、あるいは画像にビニング処理を加えてデータ量を圧縮したり・・・高速処理に対応するためにいろんな工夫を凝らしているんです。一方「撮影」は、透視に比べると時間的にも余裕があり、比較的高画質化しやすいという側面があります。
透視 | 撮影 | |
---|---|---|
画質 | 高画質化が難しい | 高画質化が比較的容易 |
時間 | 超短時間リアルタイム処理(~10数ミリ秒) | 透視に比べて余裕あり |
線量 | 1パルスあたり、撮影は透視の10倍以上(検査全体では透視の総線量の方が上回ることが多い) |
ということで画像そのものを比べると、「透視画像より撮影画像方がキレイ」というのは当たり前のことというのがわかりますね。今日ではこれが逆転するということはあり得ないとも言われています。それほど、透視と撮影の間には大きな違いがあるんです。
さて、高画質化は当然求められる重要事項ですが、全てにおいて最重要かといえば必ずしもそうではないようです。こんな要望もよく耳にします。
“ここまで高画質である必要はない。画質は若干落ちてもいいから、もっと被ばくを少なくしたうえで確認画像を残したいな”
「うん、うん」とうなづいている人も多いのではないでしょうか?そこで、今日はそういった要望に対する具体的な提案をしてみたいと思います。それは、富士フイルムの「透視スクリーンショット」です。これは、透視画像をそのまま1枚だけ抜き出したDICOM画像です。
確認画像として残しておくために、おそらくみなさんはその都度ばく射ボタンを押して撮影していますよね。これに対して透視スクリーンショットには、「ばく射ボタンを押して高出力のX線を出す」という物理的な動作が伴わないんです。 下の図を見てみましょう。
透視中に透視スクリーンショットのボタンを押すと、その瞬間に画面に映っていた画像(またはラストイメージホールド画像)をDICOM画像として保存できるんです。「そこまで画質にこだわる必要はないけど確認画像だけは残しておきたい」、というシーン、よくありますよね。そんな時に撮影することなく、透視のスクリーンショットをデータとして残すという使い方で透視スクリーンショットを活用すれば、”ちり積も”で被ばくを低減していけるのではないでしょうか?
透視スクリーンショット、“ちり積も”で被ばくを低減!