本内容は2025年1月6日より適用となります。
猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)は、もともとは病原性の低い猫コロナウイルス(FCoV)が突然変異を起こしたものであり、全身性の血管炎病変を生じます。腹水貯留をきたすWetタイプと肉芽腫病変を形成するDryタイプに大別されます。
診断には肉芽腫病変の病理組織検査や、腹水や病変部からのPCRによるFCoVの検出が有効です。
診断にいたるために前段階として、FCoV血清抗体価や血清蛋白分画の評価が有用です。FIPでは一般的に高いFCoV抗体価となることが多く、また蛋白分画において特徴的なポリクローナルガンモパシー(多クローン性γグロブリン血症)がみられる傾向があります。
ただし、FCoV抗体価はFIPVのみならず低病原性のFCoVに対する抗体も含まれており、FIPではない猫で高い値を示すことがあります。また、Wetタイプでは著しくウイルス量が多い場合に抗体がウイルスと結合し抗体価が低い値になってしまうことがあります。ポリクローナルガンモパシーもFIPに特異的ではなく、慢性炎症により他の疾患でもみられる可能性がありますので、これらのデータはFIPを疑う臨床所見とともにご判断ください。
- 項目名
猫コロナウイルス(FCoV)IgG抗体
- 材料/量(ml)
血清0.2
- 他材料/量(ml)
ヘパ漿0.2
- 保存方法
冷蔵保存
- 測定方法
IFA法
- 報告日数
~3
- 参考基準範囲
400倍未満
- 項目名
猫パルボウイルス(FPV)IgG抗体
- 材料/量(ml)
血清0.2
- 他材料/量(ml)
ヘパ漿0.2
- 保存方法
冷蔵保存
- 測定方法
IFA法
- 報告日数
~3
- 参考基準範囲
20倍未満
- 項目名
猫パルボウイルス(FPV)IgM抗体
- 材料/量(ml)
血清0.2
- 他材料/量(ml)
ヘパ漿0.2
- 保存方法
冷蔵保存
- 測定方法
IFA法
- 報告日数
~3
- 参考基準範囲
20倍未満
- 項目名
猫パルボウイルス(FPV)抗原
- 材料/量(ml)
便0.2g
- 他材料/量(ml)
―
- 保存方法
室温保存
- 測定方法
イムノクロマト法
- 報告日数
~2
- 参考基準範囲
(-)
- 項目名
猫カリシウイルス(FCV)IgG抗体
- 材料/量(ml)
血清0.2
- 他材料/量(ml)
ヘパ漿0.2
- 保存方法
冷蔵保存
- 測定方法
IFA法
- 報告日数
~3
- 参考基準範囲
40倍未満
- 項目名
猫カリシウイルス(FCV)IgM抗体
- 材料/量(ml)
血清0.2
- 他材料/量(ml)
ヘパ漿0.2
- 保存方法
冷蔵保存
- 測定方法
IFA法
- 報告日数
~3
- 参考基準範囲
40倍未満
- 項目名
猫カリシウイルス(FCV)遺伝子【外注検査】
- 材料/量(ml)
鼻汁、眼脂、唾液
- 他材料/量(ml)
―
- 保存方法
冷蔵保存
- 測定方法
PCR法
- 報告日数
~8
- 参考基準範囲
(-)
- 項目名
猫ヘルペスウイルス(FHV)IgG抗体
- 材料/量(ml)
血清0.2
- 他材料/量(ml)
ヘパ漿0.2
- 保存方法
冷蔵保存
- 測定方法
IFA法
- 報告日数
~3
- 参考基準範囲
40倍未満
- 項目名
猫ヘルペスウイルス(FHV)IgM抗体
- 材料/量(ml)
血清0.2
- 他材料/量(ml)
ヘパ漿0.2
- 保存方法
冷蔵保存
- 測定方法
IFA法
- 報告日数
~3
- 参考基準範囲
40倍未満
- 項目名
猫ヘルペスウイルスI型(FHV1)遺伝子【外注検査】
- 材料/量(ml)
鼻汁、眼脂、唾液
- 他材料/量(ml)
―
- 保存方法
冷蔵保存
- 測定方法
PCR法
- 報告日数
~8
- 参考基準範囲
(-)
- 項目名
猫免疫不全ウイルス(FIV)抗体
- 材料/量(ml)
血清0.2
- 他材料/量(ml)
ヘパ漿0.2
- 保存方法
冷蔵保存
- 測定方法
イムノクロマト法
- 報告日数
即日
- 参考基準範囲
(-)
- 項目名
猫白血病ウイルス(FeLV)抗原
- 材料/量(ml)
血清0.2
- 他材料/量(ml)
ヘパ漿0.2
- 保存方法
冷蔵保存
- 測定方法
イムノクロマト法
- 報告日数
即日
- 参考基準範囲
(-)