富士フイルムVETシステムズではウサギの健康診断を推奨しています。2021年8月30日より、ウサギの参考基準範囲を設定しました。
生化学19項目 : TP、Alb、A/G比、T-Bil、AST、ALP, γ-GTP、Lipa、BUN、Cre、T-Cho、TG、Ca、IP、Glu、Na、K、Cl
項目名 | 材料/量(ml) | 他材料/量(ml) | 使用方法 |
---|---|---|---|
生化学19項目*1 | 血清・ヘパリン血漿 : 0.4mL | - | 冷蔵 |
生化学19項目*1 + 血球計算 | 血清・ヘパリン血漿 : 0.4mL | EDTA全血 : 0.5mL | 冷蔵 |
移動や診察などの軽いストレスでも高値となることがあります。また異物などによる急性腸閉塞でも、顕著に上昇します。
消化管うっ滞のある症例では、高血糖は肝リピドーシスを示している可能性があるため、予後が悪くなります。
ウサギのアミラーゼは主に唾液中に含まれており、膵臓の役割は他の種よりも重要ではありませんが、膵炎などで血糖異常を引き起こす可能性があります。低血糖は、末期粘液性腸疾患・肝不全・その他慢性疾患で発生する可能性があります *2。
高値の原因として、脂肪が多い食事・肥満・肝疾患などの可能性があります。
採食不良による高T-Cho・TG血症は末期の肝リピドーシスの可能性があり、予後不良の指標となります。また、膵炎・糖尿病・ネフローゼ症候群・慢性腎臓病とも関連しています。一方、低T-Cho・TG血症は肝不全・慢性栄養失調・妊娠中でみられることがあります*2 *3。
様々な原因で腎不全がみられますが、腎臓に肉芽腫病変を形成するエンセファリトゾーン症にも注意が必要です。その他、高BUNとなるのは、脱水や慢性間質性腎炎・糸球体腎炎・腎盂腎炎・腎結石・尿路結石などです。BUNが高値のウサギは正常なウサギに比べ、生存率が低く、予後指標になり得ます*4。
他の哺乳動物に比べ、ウサギのCa代謝は独特です。ウサギのCa値は他の動物より30~50%高く、変動幅も大きいといわれています。
実際、富士フイルムVETシステムズで今回設定したCaの参考基準範囲は13.4~16.0mg/dLと、犬猫の基準範囲に比べると高めです。犬猫では、VitDによるCa濃度調整が一般的ですが、ウサギではVitDの存在有無にかかわらず、腸管からCaを非常に良く吸収することがウサギでCaが高値となる理由です*2 *6 *7。
項目 | 追加材料/量 | 保存方法 | |||
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冷蔵 | 凍結 | ||||
炎症マーカー | SAA | 血清・ヘパリン血漿/0.2mL | ● | ||
甲状腺ホルモン | T4 | 血清・ヘパリン血漿/0.2mL | ● |
分類 | 項目 | 参考基準範囲 | 単位 |
---|---|---|---|
生化学19項目 | 総蛋白(TP) | 5.9~7.8 | g/dL |
アルブミン(Alb) | 4.6~6.3 | ||
A/G比 | 2.0 ~6.5 | - | |
総ビリルビン(T‐Bil) | 0.0~0.4 | mg/dL | |
AST(GOT) | 0~36 | U/L | |
ALT(GPT) | 12~72 | ||
ALP | 25~81 | ||
γ-GTP(GGT) | 0~18 | ||
リパーゼ(Lip) | 71~296 | ||
尿素窒素(BUN) | 10.9~28.0 | mg/dL | |
クレアチニン(Cre) | 0.6~1.4 | ||
総コレステロール(T‐Cho) | 0~74 | ||
中性脂肪(TG) | 28~222 | ||
カルシウム(Ca)*1 | 13.4~16.0 | ||
無機リン(IP) | 1.6~4.1 | ||
血糖(Glu) | 115~214 | ||
ナトリウム(Na) | 140~149 | mEq/L | |
カリウム(K) | 3.7~5.5 | ||
クロール(Cl) | 98~113 | ||
血球計算 | 白血球数 | 2700~8500 | /μL |
赤血球数 | 498~710 | ×104/μL | |
ヘモグロビン | 11.9~15.7 | g/dL | |
HCT(ヘマトクリット) | 34.3~50.4 | % | |
MCV | 63.3~74.5 | fL | |
MCH | 20.7~24.1 | pg | |
MCHC | 30.7~34.7 | % | |
血小板 | 14.6~61.9 | ×104/μL | |
炎症マーカー | SAA | 6.3未満 | μg/mL |
甲状腺ホルモン | T4 | ウサギ:0.50~2.40 | μg/dL |