2023.06.29
バックオフィス業務とは?重要性や課題、効率化の方法を徹底解説
営業部門などの直接お客様とのやり取りが発生するフロントオフィス業務とは反対に、総務部門や経理部門などといった企業を内側から支える業務のことを総称して「バックオフィス業務」と呼びます。
企業の生産性向上やDX推進において、バックオフィス業務の効率化は非常に重要な課題です。
そこで当記事では、「バックオフィス業務」に焦点を当て、その重要性やバックオフィス業務を効率化する方法についてご紹介します。これからバックオフィス業務の改善に取り組もうとお考えの担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
バックオフィス業務とは
バックオフィス業務とは、直接顧客と関わらない、後方支援業務の総称です。
いくつかの呼び方があり、「間接部門」や「管理部門」といった意味も含みます。
直接的に利益を生み出す部門ではありませんが、フロントオフィス業務を効率的に進めるための手続きやしくみを作る部門であるため、間接的ではありますが、会社業績にも大きく影響を与える業務となります。
バックオフィスの主な職種
バックオフィス業務には具体的に以下のような職種があります。
職種 | 業務内容 |
---|---|
経理 | 企業内の出納業務など、取引先との間で発生する請求・支払いなどのお金の流れを管理します。他にも、従業員の給与計算なども経理の業務内容です。 |
財務 | 資産の運用・管理や予算管理などを行ないます。経理と少し内容が被る部分もあるため、企業の規模によっては経理の業務に財務業務がすべて含まれるケースもあります。 |
人事・労務 | 社員の採用や退職に関わる事務業務を担い、他にも社内の部署異動や評価に関する業務も行います。 |
総務 | 設備・備品管理や社内行事の運営等を行います。企業によっては経理や事務が兼務することもあります。 |
一般事務 | 来客対応や電話対応などを行います。事務所内の対応だけでなく、データ入力など事務作業と呼ばれるものはすべて対応します。 |
バックオフィス業務の重要性
バックオフィス業務なしでは、企業活動は成り立ちません。
なぜなら、経営の根幹を担う業務ばかりだからです。
企業におけるヒト・モノ・カネに関わる部分の大半がバックオフィスの役割となっており、この部分の改善や効率化は企業の生産性向上と密接に関わっています。
特に「事務」「会計」「生産」「販売」に関わる業務はバックオフィス業務の中でも特に重要な業務と言われており、DX推進をきっかけに、効率化を目的として業務を見直す企業が増えています。
バックオフィスが抱える課題
バックオフィス業務が抱える課題には下記のようなものがあります。
- 業務負担が大きい
- 人手が不足している
- 業務が属人化しやすい
- デジタル化が遅れている傾向がある
業務負担が大きい
バックオフィス業務の対応範囲は決して狭くないため、負担が大きくなりやすい傾向にあります。
企業運営においては、営業などのフロントオフィスに割り当てる人材の割合が高くなる傾向にあり、これによりバックオフィスへのリソース配分が減ってしまうリスクもあります。
さらにはフロントオフィスのサポート業務も全てバックオフィスが対応するケースも珍しくなく、バックオフィスの業務負荷は増える一方です。
人手が不足している
業務負担が大きい要因の一つでもありますが、バックオフィスに割り当てられる人材がそもそも少ないという課題もあります。
主な理由としては、繁忙期と閑散期の業務量の差が大きく、なかなか決まった人数を配置できないという背景もあります。例えば、月末・月初だけ業務量が多く、それ以外は業務量が少ない場合や、決算時期や年末調整時期に仕事が集中する場合などです。
このため最小限の人員配置となり、繁忙期に人手不足に陥ってしまうケースが発生します。
業務が属人化しやすい
先でも解説したようにバックオフィス業務は負担が大きくなりやすい傾向にあります。
負担が大きいと業務の引継ぎや教育に時間を費やせなくなり、必然的に業務の属人化が発生しやすくなってしまいます。
業務標準化が行われ、マニュアルが作成されていれば問題ありませんが、従業員が直接教えたり引き継いだりする場合には、属人化しやすくなります。
デジタル化が遅れている傾向がある
バックオフィス業務のデジタル化が進んでいない企業は少なくありません。
その理由として、紙媒体でのマニュアルの使用や承認時の印鑑使用などが挙げられます。電子帳簿保存法の改正が進む中で、書面の電子媒体化は一般的になりつつありますが、バックオフィス業務に関わる書類を電子化するのは詳細な検討が必要となります。
以上の様に様々な課題が存在するため、デジタル化が進まないという現状があります。
予算やそのための人材を確保している企業は着々とデジタル化を進めていますが、そうでない企業の場合はその流れに乗り遅れてしまっている場合があります。
課題を整理し、中長期的に改善計画を立案してバックオフィス業務の強化を図る必要があります。
まずは現状をしっかりと把握し、デジタル化に向けた取り組みをスタートさせましょう。
バックオフィスを効率化することで得られる効果
バックオフィス業務の課題を解決して効率化を図れば、企業全体としてはさらなる発展が期待できます。
以下では、バックオフィスを強化して効率化が実現できた際に得られる効果について解説します。
【バックオフィスを効率化することで得られる効果】
- コスト削減
- 生産性の向上
- 社員満足度の向上
コスト削減
効率化を実現できれば一人当たりの業務負担度合いは軽くなり、必要となる工数も少なくて済みます。その結果、直接的な人件費の削減や、効率化による間接的なコスト削減にも繋がります。
効率化の取り組みの一つとして「ペーパーレス化」があります。
バックオフィス業務においてペーパーレス化を推進することは大幅な効率化に繋がるケースが多く、紙媒体が削減される効果はさまざまです。保管場所の削減、印刷コストの削減、検索に掛かる時間の削減など、多くのコスト削減効果が期待できます。
生産性の向上
ここでいう生産性の向上とは、バックオフィス業務で発生する属人化の排除やペーパーレス化による業務遂行スピードの向上などが該当します。
バックオフィス業務は直接的に売上に関与する業務ではありませんが、生産性が向上することで必要となる経費の削減に繋がるため、利益率の向上に貢献します。
また、バックオフィス業務は経理や総務などの業務を兼務することも多いため、効率化が進めば兼務している業務品質の向上も期待できます。
社員満足度の向上
業務負荷が大きすぎたり、業務内容に対する評価を得にくいなどの理由から、バックオフィス業務に携わる従業員からは不満の声が上がるケースがあります。
不満の声が大きくなりすぎると、モチベーションが上がらずに業務効率が低下したり、退職に繋がる場合もあります。
その一方で、バックオフィス業務の効率化が実現すれば、業務負担の軽減によるワークライフバランスの改善や、業績向上による待遇面の向上に繋がるなど、社員満足度の向上が期待できます。
バックオフィスに関わる従業員の満足度が上がれば、より安定した業務遂行が可能となり、フロントオフィスも合わせて企業全体として円滑に業務を遂行できる環境が実現するでしょう。
バックオフィスを効率化する方法
バックオフィスを効率化することでさまざまな効果を発揮することを先では解説しました。
では、バックオフィス業務を効率化する具体例をご紹介します。
【バックオフィスを効率化する方法】
- ツールやシステムを導入する
- RPAを導入する
- アウトソーシングを活用する
課題を洗い出す
電子化可能なフローの洗い出し
業務の効率化は、電子化から始まります。
なぜなら、電子化による直接的な効果だけでなく、フローの見直しなど、様々な相乗効果が見込めるからです。
バックオフィス業務では紙が大量に発生する業務があります。
例えば、ファクスで注文書を受け付ける受注業務では毎日大量に紙が発生しますし、ワークフローを全て紙で回付している業務もあります。まずはこのような業務フローを洗い出し、電子化が可能かを検討します。 電子化することによって改善効果が見込めそうか、更にどの範囲までのフローの見直しが可能かを確認しながら課題となる業務フローをピックアップします。
自動化可能なフローの洗い出し
電子化の過程で、自動化できそうなフローも洗い出します。
例えば、紙の帳票を見て人がシステムに入力するような業務であれば、AI-OCRや後述するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)によって自動化できる可能性がありますし、紙のワークフローで発生していた紙の承認済み申請書のファイリングや保管業務であれば、ワークフローシステムの導入で自動化が可能です。
このような自動化によって業務効率化が図れそうな業務も洗い出します。
アウトソース可能なフローの洗い出し
アウトソースとは、業務の一部を外部の業者に委託することを言います。
定型化している業務であれば、その業務を外部にアウトソースすることによって社内のリソースをより専門的なフロント業務にシフトさせ、効率化を図れます。
導入サービスを検討する
ツールやシステムを導入する
洗い出した改善可能な課題に対応するツールやシステムを導入します。
給与システムや勤怠管理システムなどといった専門的なツールから、紙を電子化するドキュメントハンドリングソフトや文書管理システムなど、バックオフィス業務を効率化できるサービスが多く存在します。
システムの導入と共に、運用を定着させるために必要な社内での教育や手順書等の整備も平行して行います。
RPAを導入する
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは、パソコンで行う定型業務をソフトウェアに実行させて自動化を図るプログラムのことを指し、うまく活用することで業務スピードの向上やヒューマンエラー発生率の軽減が見込めます。また、RPAは24時間365日稼働させることが可能なため、なるべく稼働率を上げて改善効果を高めましょう。
RPAは「データ入力」や「他システムとの連携」といった、社内で繰り返し行われる定形業務の自動化を得意としています。人がパソコン上で行う操作を記憶させ、自動的に実行させることで処理が行われます。
一方で、RPAが不得意とする部分もあります。それは、定型化されていない業務を行うことです。また何かを判断する必要がある業務も得意ではありません。
ただ、近年ではAIの普及によりRPAの性能向上が期待されており、カバーできる業務範囲の拡大が期待されています。
以上のことを踏まえてRPAの導入を検討してみてください。
アウトソーシングを活用する
定型化された業務や専門的な知識を必要とする業務をアウトソースすることで、コスト削減や効率化が見込めます。
例えば、見積書や請求書の作成であったり、社内外からの問い合わせに対応するヘルプデスク業務など、様々な業務がアウトソース可能です。
バックオフィスの効率化の成功事例
ここでは、実際にバックオフィス業務の効率化に成功した事例をご紹介します。
実際に自社の業務に取り組む際の参考にしてみてください。
受注業務の電子化による営業バックオフィスの効率化
A社様では、「DocuWorks」「ペーパーレスファクス」の導入により、ペーパーレス化によるバックオフィス業務の効率化に成功しています。
これまではファクスで届いた注文書を紙に出力してから発注手続きをしており、その結果、保管する書類が溜まってしまうなどの課題が生まれました。
そこで活躍したのが、富士フィルムビジネスイノベーションの「DocuWorks」と「ペーパーレスファクス」です。これにより電子文書による運用が実現し、「仕分け処理の手間の削減」や「コストの削減」に成功しました。紙媒体によって増えていた業務が、IT技術の導入によって大幅に効率化した良い例と言えるでしょう。
収益管理・経営報告などの管理業務の効率化
B社様では、「kintone」の導入により付帯業務の効率化に成功しています。
収益管理や経営報告業務の課題や、社員の業務状況の把握が出来ないという問題もありました。それを解決するために導入したのがkintoneです。導入することによって収益管理や日報を効率的に管理・把握できる環境が実現しました。
ITツールの有効活用により、確実な課題解決につながった事例となります。
IT機器の運用・保守業務の効率化
C社様では、「IT Expert Services」を利用することで、IT関連業務の効率化に成功しています。
管理業務のコストをいかに抑えるかを課題としていたC社様は、IT活用による解決を検討されていたため、そこで採用に至ったのがIT Expert Servicesです。
IT Expert Servicesでは、ITの運用・管理支援のほか、新たなIT活用の提案などを行う富士フィルムビジネスイノベーションのサービスで、IT推進に役立つのが特徴です。
IT Expert Servicesの利用によって管理業務の効率化に成功したC社様では、新たな取り組みとして業務のさらなる簡素化を目標とされています。
まとめ
バックオフィス業務とは、売上に直接的に影響しない業務のことです。
重要な役割を持つ業務であるにもかかわらず、フロントオフィスと比較すると光が当たりにくい領域です。それゆえに、人材が充てられずに業務負担が増えたり、デジタル化が進みにくいといった課題が多く存在するのが事実です。
弊社では、バックオフィス業務において要となるドキュメント領域における豊富なソリューションをご準備しています。
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