2023.07.27
AI OCRとは?
業務改善に向けた適切な活用例を徹底解説!
請求書や注文書などの帳票に記載された情報を業務システムにインプットする場合、データ入力業務を手作業で実施し、多大な手間や負担がかかっていませんか?もしくは、OCRを検討したことはあるものの、手書き文字への読み取り精度の点から、導入・活用を諦めたことはありませんか?
AI OCRを導入し、適切に活用することで、このような問題を解消することが可能となります。その結果、データ入力業務の大幅な効率化や自動化を促進でき、ひいては全社的なDX推進にもつながっていきます。
この記事では、AI OCRの概要のほか、「AI OCRは使える?使えない?」といった疑問点の解消まで、導入への検討の助けになるような情報を、幅広く解説していきます。
ほかのデータ化のソリューションとの比較も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
AI OCRとは
AI OCR(Artificial intelligence Optical Character Reader)とは、紙媒体などの文書や書類に対し、書面内に記載された文字をデータとして抽出したり、そのデータを連携している業務システムに自動登録したりすることのできる仕組み、及び、その仕組みを搭載したツールのことです。
従来のOCRに対してAIを掛け合わせることで、読み取り精度の向上を図っている点が大きな特徴です。その特徴を詳細に理解するに当たって、まずは次の3点を説明します
【AI OCRとは?を理解するためのポイント】
- AI OCRとOCRとの違い
- 人工知能・ディープラーニングによる効果
- AI OCRは使える?使えない?
AI OCRとOCRとの違い
結論として、AI OCRとOCRの違いは、OCR処理のプロセス上に於いて、AIで学習された結果が反映されているかどうかの点となります。
OCR(Optical Character Reader)とは、光学文字認識とも呼ばれ、画像内の活字を文字コードの列に変換する技術、及び、その技術を搭載したツールを指しています。文書や書類をスキャナなどで電子ファイル(画像)に変換し、OCR処理を施すのみで文字情報をデータ化できるため、OCR技術の開発によってビジネスシーンに於けるデータ入力業務の大幅な効率化につながりました。
OCRの開発以前は、請求書などの帳票に記載された文字情報を、人手をかけてパソコンやシステムにデータ入力していたため、作業の手間や負担のほか、人件費などが発生していました。そのため、データ入力時の工数やコスト削減を趣旨として、OCRがビジネスシーンで普及することとなりました。
しかしながら、OCR処理を施したい文書の中には、手書きで記入された文字も存在します。従来のOCR技術では、個々人で文字の形状の異なるような手書き文字の読み取りは不得手な面がありました。そうした問題を解消するため、AIで学習された結果を反映した、AI OCRが誕生することとなりました。
ディープラーニングや人工知能を用いたOCR処理の効果
ディープラーニングとは、AIというキーワードの普及に伴って広く知られることとなった、人口知能分野の機械学習技術の一つとなります。
AI OCRの文脈で言えば、手書き文字などへの読み取り精度の向上のため、ディープラーニングを使ってさまざまな帳票や文字を学習させていくことで、従来のOCRでは読み取りが難しかった文字の認識を可能とします。
AI OCRによる読み取り結果
上記のイメージ図は当社のAI OCRツールの一例となりますが、手書きの複雑な文字やクセ字のほか、複数行で書かれた文字などに対し、OCR処理を施すことが可能となりました。
AI OCRは使える?使えない?
ディープラーニングによる学習結果の反映により、AI OCRによる業務改善の効果は飛躍的に高まりましたが、当然ながら読み取り精度は100%ではないため、業務内で適切に活用することが重要な点となります。そうすることで、御社もAI OCRによる効果を享受することができるでしょう。
一例として、AI OCRによる読み取り結果の正誤判定を、ツール内で分かりやすくチェックできるかどうかが大切です。そうでないと、読み取り結果の間違いを見逃してしまったり、チェックするのに大幅な手間が掛かったりするため、結果的に「AI OCRは使えない」と感じてしまう可能性が出てきてしまいます。
AI OCRによる読み取り結果のリストビュー機能
上記のリストビューという機能は当社のAI OCRツールのものとなりますが、複数枚の帳票を横断して同じ項目を一覧で表示し、効率的にAI OCRによる処理の結果を確認することができます。間違い探しの要領でチェックできるため、スピーディーな正誤判定の作業を実現しています。こうした機能を備えたAI OCRツールを導入することが、業務改善に向けてAI OCRを活用するうえでは、とても大切な点となります。
以下の資料でもAI OCRの概要を解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。
AI OCRの機能や使い方
ここまでで、AI OCRの概要が把握できたかと思います。AI OCRの利用を具体的に検討していくに当たり、「どのような機能があるのか」「どのような使い方ができるのか」といった点を見ていきましょう。この記事では、主に以下の5点をご紹介します。
【AI OCRの機能】
- 手書き文字の読み取り
- 取り消し線の読み飛ばし
- データの読み替え
- 必須項目の記入漏れのチェック
- 数値の四則演算
手書き文字の読み取り
先程の章で解説した通り、ディープラーニングによる学習結果の反映により、手書きの複雑な文字やクセ字などに対しても、文字情報として読み取ることが可能となります。
例えば、注文書や請求書などの帳票には、発行日付などが手書きで書かれているケースも多くあります。注文情報や請求内容を販売管理システムにデータ登録する場合など、そういった手書きで記された情報も含めて、AI OCRでデータ化することが可能となります。
取り消し線の読み飛ばし
書面に手書きされた文字がある場合、同様に取り消し線が存在する可能性が多くあります。AI OCRでは、取り消し線をどのように認識するのでしょうか?次のイメージ図をご覧ください。
取り消し線の読み飛ばし
上のイメージ図の「ネジA002」というのが、OCR処理によってデータ化された内容となりますが、取り消し線の引かれた「B001」はデータ化を上手く回避できていることが分かります。
こうした機能を使うことで、OCR処理によって生成されたデータから、取り消し線の箇所を一つひとつ除外するなどの作業が不要になります。
データの読み替え
人手によってデータ入力を行っている際に、ある情報を別の情報に読み替えるといった運用がしばしば発生します。具体的には、データ登録先の業務システム側でデータが適切に認識できるように、帳票内の「顧客名」を「顧客コード」に読み替えてデータ入力を行うといった例が挙げられます。
AI OCRツール上での読み替え
(顧客名を顧客コードへ変換している例)
上のイメージ図では、「サンプル株式会社」という顧客名を、「C-001」という顧客コードにAI OCRツール上で読み替えています。ツール上にあらかじめ台帳を登録しておくことで、OCR処理の結果を特定の内容へ自動で読み替えすることができます。
こうした読み替えは、データ入力業務の作業者内で変換ルールが属人化しがちですが、台帳をもとに自動化できる機能によってシステム化を促進することが可能となります。
必須項目の記入漏れのチェック
OCR処理の結果、「もし帳票内に記入漏れがあった場合、どのように反映されるのか?」といった疑問や懸念をよく伺います。もし記入漏れを見落としてしまった場合、業務システムへの登録時にエラーが発生し、経営情報の管理にも支障をきたしてしまう可能性があるためです。
記入漏れのチェックイメージ
上記のチェックイメージは当社のAI OCRツールのものとなりますが、本来記入すべき箇所が空欄になっている場合、「記入がありません」などのようにOCR処理の結果確認の画面内で把握することができます。
記入漏れを検知できる機能を使うことで、データの不備を見落とす懸念を回避することが可能になります。
数値の四則演算不備のチェック
請求書や注文書などの会計処理に影響のあるような帳票は、記載された数値に不備が生じないように最大限に留意をする必要がありますが、数値の計算に人手が介在すれば、計算ミスなどの不備が発生しないとは言い切れません。
四則演算不備のチェックイメージ
上記のチェックイメージは当社のAI OCRツールのものとなりますが、設定した条件式などに数値が合致しない場合、「条件式の計算結果が、設定条件と一致しません」といった形式で、OCR処理の結果確認の画面内で把握することができます。
四則演算不備を検知できる機能により、業務システムに登録する数値データの誤りを防止し、ひいてはそれが会計処理などの基幹業務の品質の向上につながります。
以上、5点のAI OCRの機能をご紹介しました。これらの機能は当社のAI OCRツール「ApeosPlus desola」に搭載されているので、詳細を把握されたい方は、以下の資料をぜひダウンロードください。
AI OCRの活用に適した業務と文書の例
上記でご紹介した機能は、主にどのような業務や文書に使うと効果的か、いくつか例を挙げたいと思います。具体的な活用例と共にまとめましたので、以下の表をご覧ください。
業務と文書の例 | 活用例 |
---|---|
受注管理業務(注文書) |
|
支払管理業務(請求書) |
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申請受付業務(申請書) |
|
アンケート集計業務(アンケート) |
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すべての業務や文書に共通して、システムに手作業でデータ入力を行うような運用がある場合、それに伴う手間や負担、人件費などを削減することが一般的な効果となります。また、目視での入力を回避することで、データの不備を低減することも期待できます。
以下の資料で、より具体的に業務と文書の例を挙げていますので、併せてぜひご覧ください。
AI OCRの導入事例(活用に成功した事例)
AI OCRの効果をより具体的にイメージしていくため、活用に成功した事例をご紹介したいと思います。ここでは二点の事例を解説していますが、以下の資料内で更に別の二点の事例を掲載していますので、より詳しく把握されたい場合は、ぜひダウンロードしてみてください。
AI OCRの事例 1
A社様の事例では、「ファクスで受信した注文書のデータ入力業務」の改善に成功されています。どの企業でも営業部門が存在すると思いますが、御社の営業事務や販売事務の領域でも以下のようなケースがある場合、同様の改善を図れる可能性があります。
分類 | 内容 | 詳細 |
---|---|---|
導入前の問題点 | 取引先1,000社からの注文書を手作業で入力し、手間と工数がかかっていた(繁忙期は増員して対応)。 |
|
改善点 | AI OCRの導入により、大量の注文書の仕分け・確認・入力にかかる工数を約1/3に削減。 |
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導入効果 | 繁忙期でも担当者だけで業務を完結。 |
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AI OCRの事例 2
B社様の事例では、「大量ページの請求書のデータ入力業務」の改善に成功されています。注文書と同様に、どの企業でも請求書は存在すると思いますが、御社の会計処理の領域でも以下のようなケースはありませんか?もしある場合には、先程の事例と同様に改善の機会を得られるかもしれません。
分類 | 内容 | 詳細 |
---|---|---|
導入前の問題点 | 数千行の明細を手作業で検算・確認・入力し、月末は残業続きとなっていた。 |
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改善点 | AI OCRの導入により、請求書処理の業務全体にかかる工数を約1/4に削減。 |
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導入効果 | 担当者の残業時間をゼロにすることに成功。 |
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当社がおすすめするAI OCRツールの特徴とメリット
AI OCRをさまざまな角度で解説してきましたが、もし具体的にツールの導入を検討されたい場合、当社の提供するAI OCRツール「ApeosPlus desola」がおすすめです。
特徴やメリットも含めて本記事内でもご紹介しますが、実際に製品のデモを行うことも可能ですので、こちらのフォームから「AI OCRのデモを依頼したい」といった旨を記載のうえ、ぜひお問い合わせください。
ApeosPlus desolaには、主に以下の5点の導入メリットがあります。
【ApeosPlus desolaの特徴とメリット】
- AI inside社のAI OCRエンジンを採用
- 業務に合わせて文書を取り込み
- 取り込んだ文書を自動で仕分け
- 視認性の良いユーザーインターフェースを搭載
- 処理済みデータを自動登録(システムとの直接連携でRPAいらず)
AI inside社のAI OCRエンジンを採用
ディープラーニングを使った様々な帳票や文字の学習により、活字はもちろん、従来のOCRでは読み取りが難しかった手書き文字も認識することが可能となります。また、優れた画像補正技術により、ファクスで受信した帳票やカメラで撮影した画像も認識することができます。
ファクス画像の画像補正イメージ
(ファクス特有の傾きや拡縮も自動補正)
業務に合わせて文書を取り込み
4つの手段による取り込み機能を提供し、業務に合わせた運用を行うことが可能です。特に複合機との連携では、複合機のパネル画面をタッチするのみの簡単な操作で、文書をApeosPlus desolaにダイレクトに取り込むことができます。
取り込んだ文書を自動で仕分け
仕分けルールを事前に設定しておくことで、取引先ごとに書式の異なる注文書・申請書・アンケートなどの種類の異なる帳票でもまとめて投入し、該当の設定に応じて自動でOCR処理を実行することができます。
仕分け作業の自動化イメージ
視認性の良いユーザーインターフェースを搭載
一帳票ごとにOCR結果を確認する「帳票ビュー」に加えて、「リストビュー」を搭載。リストビューでは、複数枚の帳票を横断して同じ項目を一覧で表示し、効率的にOCR結果を確認することができます。OCR結果を間違い探しの要領でチェックでき、スピーディーな確認処理を実現します。
処理済みデータを自動登録(システムとの直接連携でRPAいらず)
基幹システムや文書管理システムとの連携機能により、ApeosPlus desolaだけで登録作業までを完結できます。簡単な設定で連携でき、RPAのような複雑な設計や設定作業もいりません。
処理済みのデータは、「kintone®」「商奉行®クラウド(受注伝票に対応)」へ簡単な操作で直接に連携することができます。また、イメージファイル(PDF・DocuWorks文書に対応)は、当社クラウドストレージサービス Working Folderに保存することができます。イメージファイルには処理済みのデータを属性として付与することも可能です。
以上、5点のApeosPlus desolaの特徴とメリットをご紹介しました。詳細は併せて以下の資料も参照ください。
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ほかのデータ化のソリューションとの比較
AI OCRのほかにも、文書内に記載された文字情報をデータ化したい場合、いくつかの選択肢があります。最後にOCRツールやスキャニングサービスとの比較を確認しておきましょう。
OCRツールとの比較
請求処理や受注処理などの組織的な業務ではなく、個人レベルの作業用途で手軽にテータ化を行いたい場合には、OCRツールを用いるのが良いでしょう。当社が提供している「DocuWorks」では、OCR処理をソフトウェア上で行うことが可能なので、資料やレポートなどにOCR処理をかけたい場合には、ぜひ利用を検討してみてください。
既にDocuWorksを導入していて、操作方法を把握されたいといった要望の際には、「DocuWorks活⽤マニュアル」のページを参照してみてください。
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スキャニングサービスとの比較
「書庫などに大量に保管されている紙文書を一括でデータ化したいが、自社内でそれに必要な人員やノウハウが不足している」などの状況の場合、アウトソーシングサービスを活用することも有効な手段になります。
当社のスキャンニングサービスでは、最新のロボティクス・センサー技術を駆使し、大量の紙文書も短期間で、正確に電子化することができます。また、文書の仕分け(保管・廃棄・電子化)に関するアドバイザリーを行い、本当に電子化すべき文書を見極め、改善効果を含めて可視化することで、電子化プロジェクトのスムーズな実行と投資対効果の最大化を支援しています。
大量の紙文書を一括で処理するような電子化プロジェクトを推進する場合、スキャニングサービスの利用も並行して検討してみてください。
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まとめ
AI OCRとは、紙媒体などの文書や書類に対し、書面内に記載された文字をデータとして抽出したり、そのデータを連携している業務システムに自動登録したりすることのできる仕組み、及び、その仕組みを搭載したツールのことです。
ディープラーニングによる学習結果の反映により、AI OCRによる業務改善の効果は飛躍的に高まりましたが、当然ながら読み取り精度は100%ではないため、業務内で適切に活用することが重要な点となります。そうすることで、御社もAI OCRによる効果を享受することができるでしょう。
AI OCRの検討に当たり、当社でも効果的な特徴とメリットをもったAI OCRツールを提供しているので、以下のお問い合わせフォームから、ぜひお気軽にご相談ください。
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