小型ベルトロール定着技術

印刷市場では、オフィス用途よりも広範囲の坪量の用紙に対応できる用紙汎用性と高速高画質化が求められます。富士フイルムビジネスイノベーションでは、プロダクションカラープリンター向け「ベルトロール定着器」の用紙汎用性と高速高画質化を継承したまま、新規技術の開発により、定着器の小型化を実現しました。本技術を搭載した商品では、100枚/分注1という高い生産性を有したまま、坪量52~350g/m2用紙汎用性を確保しています。

小型ベルトロール定着技術は、2本の加熱ロールを定着ベルトの内側に配置しています。熱容量が小さい定着ベルトを採用することで、トナー定着に必要最小限の熱量で定着ベルトを加熱することができる特徴があります。さらに、2本の加熱ロールと定着ベルトの接触面積を十分に確保したことにより、定着ベルトを効率的にムラなく一定温度まで加熱することができます。そして、トナー定着により奪われた熱は、2本の加熱ロールで再び供給され、定着ベルトが一定温度に維持されることで、安定した定着が可能になります。これにより、厚紙においても、温度低下することなく連続走行が可能になり、安定した画質を提供することができます。

小型ベルトロール定着器構成図小型ベルトロール定着器構成図

また、新開発の定着パットにより用紙に接触する面がフラットになり、用紙と定着ベルトが密着するニップ幅を十分に確保することが可能になりました。これにより、用紙に対する圧力が一定となり、用紙への変形ストレスが軽減されるため、コート紙で発生しやすいブリスター注2が軽減します。さらに、封筒搬送時のストレスも最小限に抑えられるため、封筒のシワが軽減され、さらなる用紙汎用性を実現しています。

図2:定着パッドを用いた小型ベルトロール定着技術

  • 注1 300g/m2(A4)走行時
  • 注2 用紙が過熱され水蒸気の気泡による画質欠損。やけどした時のような膨らみを起こす現象のこと。