新世代画像処理エンジン。現場の要望を専門的に置換し、軸がブレないように開発を進めていく。
情報共有を意志共有へと進化させた2年間。VISTABRAIN設計担当・天明宏之助が「感じて動いたこと」。
私の仕事は、画像処理エンジン「VISTABRAIN」の画像処理機能やX線量、検出器の性能などをトータルに考慮してX線画像の画質をつくり出していくことです。
画質の追求は、ある意味で「永遠に満足しない」といってもいいほどの分野です。
どこまで突き詰め、どこまでこたえたらいいのか?
もっとも大切にしてきたのは、「我々がつくっているのはソリューションにつながるものでなければならない」という点です。
お客さまはX線画像を見て診断し治療方針を決めます。私たちが提供する物はその「画像」です。お客さまからいただく「はっきり見たい」「さらにくっきり」「もっと明るく」というご要望に対して、「画像処理技術に置き換えると、それはどういった解決の道が見いだせるのか?」を考えます。
私たちは、画像以外にセンシングしているシステムの情報、すなわちX線条件や実際にX線を照射している範囲など、「これまで画像処理に使い切れていなかった情報をリアルタイムに取得し活用して、安定的にさらに高画質なものを出す」ことを志し、それを目標にVISTABRAINの開発に取り組んできました。
一番の重要なポイントは、「ドクターや放射線技師が『精緻に診断・治療できる』」ことです。ですから画像をより精緻な方向に高めることやカメレオン的に好みによって画質を変えられることなどお客さまがストレスなく使えることがベストです。それは現場から教わった大切なポイントなのです。
開発当初は短期間で複数の新しいアルゴリズムをつくり、比較してベストを探し出す期間もありました。実装段階でもリアルタイム動画と単発撮影、処理時間に制限があり、新しく処理を追加すると何かを削らなければならない、あと何ミリセカンドで処理しなければならないというせめぎ合いもありました。いずれにしても、既存のもののブラッシュアップではなく「0を1にする」点に汗を流しました。
2年前にチームが発足して、さまざまな人たちとコンセプトをつくって、軸がブレないように進められてきたのは大きく意義のあることだったと思います。情報共有して、それを意志共有に変えていく。文字ではなく会話を重視してお互いフォローアップしながら、チームと歩んできました。
でも、ゴールはありません。進化していく医療環境に柔軟に合わせ、新しいテクノロジーを一番先に実装し、VISTABRAINをさらにすぐれた頭脳へと育てていきたいですね。