富士フイルムは創業以来、すべての事業活動が自然環境から恩恵を受け、また自然環境に影響を与えていることを認識し、環境や生物多様性の保全を重視しています。事業活動を通じサステナブル社会の実現に貢献していく上で、ネイチャーポジティブ(自然生態系の損失を食い止め、回復させること)を重要な社会課題の一つとしてとらえており、この考えの根拠となる方針を制定し、それに基づきさまざまな活動を推進しています。
(富士フイルムマテリアルマニュファクチャリング第8製造本部/熊本)
ディスプレイ用光学フィルムの製造を行う、富士フイルムマテリアルマニュファクチャリング第8製造本部(熊本)の所在地である熊本県菊陽町を含む熊本地域(熊本市とその周辺市町村)と呼ばれる地域には豊富な水資源があり、本地域では生活用水のほとんどを地下水で賄っています。豊かな地下水が保持できた理由のひとつが、阿蘇山麓から菊陽町に広がる白川中流域の水田であり、この水田に大量の水が浸透し、地下水に供給されています。昨今、シリコンアイランドと言われる九州に半導体関連企業の進出が加速し、地下水採取量の増加が見込まれることから、熊本県においても生活や産業を支える地下水保全の重要性がますます高まっています。
同事業場ではこの地下水を守る活動として地下水かん養林の植林・整備や、かん養田の保全の活動を進めており、従業員やその家族が植林活動や田植え、稲刈りに参加しています。
また同事業場では、生産工程での雨水の再利用などにも取り組んでいます。具体的には、光学フィルムの製造において冷却水、蒸気製造、工程洗浄用などに使用する水(地下水)の内、使用量が特に多い冷却水には、滅菌ろ過した雨水を活用し、地下水の採取量の削減を図っています。また、使用した地下水や雨水の再利用にも力を入れており、再利用率は6割近くに達しています(2023年度実績)。
今後も限りある水資源を保全し、豊かな自然環境の維持に貢献していきます。