2025.03.11
ノーコードはなぜ必要?
おすすめのツールや具体的活用例をご紹介

「社内の状況に合わせたツールやシステムがほしいけれど、外注するのはコストがかかって無理」――こんなお悩みを抱える企業は多いのではないでしょうか。このようなお悩みを解決するのがノーコードツールです。ノーコードツールがあれば、社内に専門知識や技能を持つ社員がいなくても、自社開発ができるようになります。
しかし、ノーコードとは何か、どのようなノーコードツールを選べば良いのか、よく分からない人も多いでしょう。そこでこの記事では、ノーコードについて詳しく解説すると共に、おすすめのツールを紹介します。
ノーコードとは

ノーコードとは、コードを書かずにアプリケーションなどの開発をすることをいいます。通常、開発にはソースコードを記載しなければならず、プログラミングの知識は必須です。思った通りのものを開発する技能を培うには、何年もの時間が必要なこともあります。
しかし、ノーコードであれば直感的に画面を操作するだけで開発ができるため、専門知識がない人でも開発が可能です。ただし、プログラミングを行い開発するものよりも機能は限定されます。
ローコードとの違い
ローコードも、ノーコードと同じくコードを欠く手間を減らすものではありますが、一部はコードの記述が必要です。そのため、ノーコードのように専門知識がなくても操作できるわけではありません。プログラミングの知識や技能は必要になりますし、開発にかかる時間も長くなります。
しかし、ノーコードよりも自由度は高く、より自社に合ったシステムやアプリケーションの開発ができるようになります。幅広い利用目的に対応できたり、多くの既存システム連携ができたりと、利用の幅は広げられるでしょう。
ノーコードのメリット
ノーコードを活用すると、次のようなメリットが得られます。
誰でも操作しやすく引き継ぎも容易になる
ノーコードはプログラミングの知識がなくても操作できるため、誰でも開発ができるようになります。社内に専門知識を持つ人がいない企業でも、機能にある程度制限はあるものの、自社に合ったシステムを開発可能です。開発担当者を絞る必要もなくなるため、属人化を防ぐことにもつながります。
また、この「誰でも操作ができる」という特徴は、引き継ぎの時にも役立ちます。後継者が新たに技術や知識を得る時間が必要ないため、容易に引き継ぐことが可能です。
開発にかけるコストや時間を削減できる
ノーコードはコードを書いて開発するものよりもエラーが起きにくく、開発にかかる時間を短くできます。
プログラミングは自身でコードを書くため、スペルミス、文法ミスなどが起こる時があります。そうなると、エラーが起こりコードを読み込めません。開発を進めるためには、どこにミスがあるのか、どこを直せばいいのか、逐一チェックと訂正が必要です。ノーコードはそのような事態が起こりにくく、短時間で開発まで進められます。
また、誰でも開発ができることから、社員がプログラミングの技能を得る、もしくは外注することも必要なくなり、コスト削減にもつながります。
ある程度自社に合った機能を搭載できる
ノーコードは通常のプログラミングで開発するものよりも制限はありますが、ある程度は自社に合ったツールやシステムを開発できます。
既存のアプリケーションを使用していると、「もっと機能が欲しいがアップグレードすると料金がかかる」「必要ない機能ばかりがあってもったいない」といったことが起こるでしょう。ノーコードであれば、必要な機能だけを搭載したアプリケーションを使えるようになります。
ただし、ノーコードは全て自由に開発できるわけではありません。一から開発するアプリケーションや、ローコードに比べると自由度は低くなります。
ノーコードが必要となる背景

現代の日本ではノーコードの必要性が高まっています。なぜ、企業にとってノーコードが重要な存在となるのか、その背景について解説します。
労働人口が減っている
日本は少子高齢化が進んでおり、労働人口がどんどん減っています。
独立行政法人中小企業基盤整備機構の「中小企業景況調査」では、長期的に従業員不足が続いており、業界ごとに差はあるものの、全体的に人手不足感が強いことを示しています。いっとき女性と65~69歳人口の就業者数が増加したことから就業率は高くなったものの、女性は横ばい、高齢者は減少に転じ、やはり人材不足は深刻な状況です。
人手不足の社会で、プログラミングの技能を持つ人材を確保するのはどんどん難しくなってくるでしょう。そこで、誰でも操作可能なノーコードを活用して、限られた人材でアプリケーション開発をする必要性が高まっています。
企業はDX推進が求められている
今後、世界との競争に打ち勝つために、政府は各企業にDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を求めています。DXとは、新しいIT技術を活用して、革新的なビジネスモデルの創出や改変をすることです。もしDXの実現ができない場合、次のようなリスクが生じるといわれています。
- 市場の変化に対応できずデジタル競争に負ける
- 旧システムを維持するための資金が高額になる
- 保守運用できる人が引退するとセキュリティーリスクが高まる
このままのシステムで経営を続けていても、長期的にみるとコストがかかる上に、他企業との競争に負けてしまう可能性が高くなるでしょう。限られた人材や時間でDXを進めるためには、ノーコードの活用がおすすめです。
ビジネスのスピードが加速している
デジタルテクノロジーの進化が続き、今までになかった技術を使った商品が販売されています。また、SNSの発展により、多くの人が多様な商品を目にすることが可能になりました。このような状況からビジネスのスピードがどんどん加速しており、めまぐるしく変わる消費者のニーズに対応することが求められています。
そのためには、新しい技術を駆使し、業務を効率化していくことが必要です。業務効率化のためには、定型業務を自動化するようなアプリケーションの導入が有効となります。既存のアプリケーションを活用する方法もありますが、より自社に合ったものを導入するためにはノーコードが適切でしょう。
ノーコードを利用する時の注意点

企業にとって便利で技術革新にもつながるノーコードですが、活用にはいくつか注意点があります。ノーコード導入を検討している企業に向けて、ノーコードの注意点を解説します。
できることに限界がある
ノーコードは欲しい機能を全て搭載できるものではありません。開発としてできることは各プラットフォームが提供する範囲内のことに限られ、複雑なアプリケーション開発は難しいでしょう。必要な機能を搭載するためには、その機能を用意しているプラットフォームを探すことが必要です。
より自由に開発をしたい時には、プログラミングの知識は必要になりますが、ローコードの利用を検討した方が良いでしょう。
利用するプラットフォームに依存する
ノーコードは各プラットフォームが提供するものを操作して行います。そのため、プラットフォームがサービス終了してしまえば、アプリケーションの改変や新しく開発できなくなります。
また、搭載できる機能も、プラットフォームが提供するものの中から選ばなければなりません。ツールによって開発できるアプリケーションの機能が左右されることから、慎重なプラットフォーム選びが必要です。
ツールの種類がかなり多い
ノーコードツールは世界中でかなり数多くの種類が存在します。そのために、IT知識がまったくない状態で適切なプラットフォームを選ぶのは難しいでしょう。
前述した通り、ノーコードツールによる開発はプラットフォームの運営やサービス内容に左右されます。自社が必要とする機能を持つアプリケーションをつくるためには、プラットフォーム選びはかなり重要です。数多くのツールの中から、必要な機能を持つもの、安定した運営が期待できるものを探さなければなりません。
日本語に対応していないツールがある
ノーコードツールはたくさんの種類があると説明しましたが、中には日本語対応をしていないものも多いことに注意が必要です。英語ができる従業員が扱うのであれば問題ありませんが、その場合ノーコードツールを扱う人が限られてしまい、「誰でも操作できる」というメリットが薄くなります。
ノーコードツールを扱える人をなるべく多くする状況にするためには、日本語対応をしているものがおすすめです。
業務に使えるノーコード関連ツールの紹介
数あるノーコードツール、およびそれに関連するツールの中でも、業務にすぐに適用できる便利なツールを紹介します。
kintone

kintoneはノーコードツールの代表的存在です。
選択肢を選んで並べる直感的な操作だけで、システムの自社開発ができます。必要な時すぐに業務改善ができるようになるため、スピーディーかつ低コストな業務改善が実現可能です。kintoneの機能は開発だけではなく、顧客や売り上げに関する情報、業務の進捗状況など、幅広い情報の管理とリアルタイム共有もできます。
kintonの販売パートナーである富士フイルムビジネスイノベーションであれば、製造業向けのアプリテンプレートを用意しており、さらに使いやすいものとなっています。もし難しいと感じた時も、設計支援や使い方の教育メニューを受けられるため安心です。
FUJIFILM IWpro

FUJIFILM IWproは文書を自動で取り込み、仕分け、共有、管理や出力までカバーするクラウドサービスです。厳密にはノーコードツールではありませんが、各種ノーコードツールや業務アプリケーションツールと連携し、普段の業務を効率化することができます。
このサービスを利用し、FUJIFILM IWproのワークスペースと連携すれば、業務の効率化と迅速な意思決定の実現が可能です。導入後は、文書の処理の時間短縮、業務の見える化が期待できます。ストレージ機能にも特化していて、タイムスタンプを押して保存することや、データの全文検索が得意です。
FUJIFILM IWproはさまざまなクラウドサービスと連携できるため、現在利用中のシステムを刷新せずに導入できる点も魅力です。
効率化のためのツール活用例

実際に企業でどのようにFUJIFILM IWproやkintoneが使われているのか、その活用例を紹介します。
請求書支払業務の効率化
従来は、請求書の処理をするために、集中処理センターで受け取り、取引内容と支払い履歴の内容を突き合わせ(定期支払かどうか判断し)入力する、といった業務が必要でした。
しかし、FUJIFILM IWproを活用して、請求書を自動で取り込み、内容を入力、その後は連携したkintoneを活用して、自動で定期支払かどうか判断するようなアプリケーションを作成しました。今まで複数工程が必要だった請求書支払業務がワンクリックでできるようになり、大幅な業務効率化となっています。
リアルタイムに物件情報を整理
不動産仲介業では、毎月500件にもなる物件情報を確認し、外回りをしている営業担当と共有しなければなりません。しかし、この件数にもなると新着物件の取りこぼしが起きる上、社内にいない営業担当とリアルタイムに物件情報を共有するのは難しくなります。
そこで、FUJIFILM IWproにより、ファクスに届いた情報をすぐにデータ化し、自動で売主や管理会社を取得、エリアや担当者ごとに整理するようにしました。Teamsと連携したことから、外出先でも情報を確認できるようになり、外回り中の営業担当者もリアルタイムに物件情報を確認できます。
自動で情報を取り込めるため、入力ミスやエラーが起こらず、無駄のない営業活動が実現しました。
ペーパーレス化に活用
FUJIFILM IWproを使えば、納品書など紙で届いた書類をスキャン後に自動でテキスト化し、取引先や書類タイトルを分かりやすく一覧にできます。タイトルは、「書類の種類_取引先名_日付」といったように、一目で重要部分が確認できるようにすることも可能です。
書類を受け取る人によってタイトルの付け方が変わることがないため、誰が操作しても統一された電子書類にできるようになります。取引先によって書類のフォルダを自動生成することもでき、必要な文書をすぐに探し出せる点も便利です。
ノーコードを活用してスピード感あるビジネスを
ノーコードとは、コードを記載せずに直感的な操作のみで開発ができるソフトウエアです。ノーコードツールを使えば、プログラミングの知識がなくてもアプリケーション開発ができるようになります。
富士フイルムビジネスイノベーションでは、販売パートナーとしてkintoneを提供しています。kintoneはノーコードツールの中で一番有名で、プロセス管理のためのアプリケーション開発に活用可能です。
また、富士フイルムビジネスイノベーションのFUJIFILM IWproでは、ストレージ機能が得意で、大量のデータを検索、管理したい時におすすめです。
業務効率化を目指すためには、こういったツールをご活用ください。