このコンテンツは獣医療従事者向けの内容です。
これから動物病院の開業を検討している獣医師の中には、開業までの流れや手順が分からないと感じる方がいるのではないでしょうか。新規開業する際のイメージがつかなければ、開業への一歩を踏み出すことが難しく感じるでしょう。
本記事では、動物病院を新規開業するための手順を解説します。
開業するまでの流れを把握し、スケジュールを立てながら必要な準備を進めましょう。
動物病院を開業する際の手順について解説します。
これから開業を検討する方は、以下の手順を参考にしていただき、計画的に準備を進めていきましょう。
動物病院の開業を検討する場合、まずは開業コンセプトを決めることが重要です。
経営理念や売上目標、提供する医療サービスなど、動物病院を開業する上で目指すべき方向性を立てましょう。
どうしてもコンセプト決めに難航する場合は、開業コンサルティング会社や友人・知人などに相談することをおすすめします。特に動物病院の開業に携わったことのある人物にコンタクトを取り、アドバイスを受けるとよいでしょう。
コンセプトが決まったら、それをどのように実現していくのかを考えるため事業計画書を作成しましょう。
事業計画書を作成する際は、目標を達成するために必要な病院規模、土地、建物、医療機器、人件費(スタッフ数)などの資金計画を加味しましょう。
計画書を作成し、必要な経費が把握できれば、確保すべき自己資金や融資を受ける際の金額の目安がつけやすくなります。
事業計画書は融資を申込む際に利用できます。
診療圏調査とは、1日あたりどのくらいの来院数が見込めるかを把握するための調査です。商圏範囲(動物病院へ来院してもらえる範囲)や地域の人口・世帯数、競合となる動物病院などが確認できます。
開業後、スムーズな経営を続けるためには、診療圏調査を行い、見込み顧客となる飼い主さんの状況を確認することが重要です。また、診療圏で競合となる動物病院と比べて差別化できるポイントもあわせて検討してみましょう。
診療圏調査を終えたら、土地や物件を選定し、開業場所を決めましょう。
大勢の人が集まるショッピングモールの近くや道路沿い、自宅近くなど、集患が期待できる場所の土地や物件を選ぶことをおすすめします。
とくに物件を選ぶ際は、駐車場の有無や人通りの多さ、近隣の環境が落ち着いているかを確認しておくことが大切です。たとえ優れた獣医師やスタッフがいたとしても、飼い主さんにとってアクセスしにくい場所にあると、来院することが難しくなります。
土地や物件が選定できたら、建築工事や内装整備を進めましょう。
外観としては、飼い主さんが入りやすいように親しみのあるデザインを心がけることが大切です。
内装整備では、使用する機器や備品が無理なく導入・配置できるように機器を決めてから工事を開始するようにしましょう。また、動物病院は他の業種と比較して特殊なことも多く、動物の汚れや匂い、騒音への配慮が必要になるため、床・壁・天井などに対策を施す必要もあります。
飼い主さんが気軽に訪れやすい環境を整えることが大切です。
建築工事には多額の費用がかかりますので、事業計画書で立てた予算と調整し、開業時にすべきもの、将来でも大丈夫なものと優先順位を決めておくのも良いでしょう。
動物病院の開業日が確定したら、広告のためのチラシやパンフレット、ホームページ、SNSなどを制作し、開業することをPRしましょう。
とくに昨今では、インターネットによって動物病院の情報を収集し、受診を判断する飼い主さんが増えています。
そのため、インターネットやSNSを活用した広告に注力するとよいでしょう。さまざまな手段を活用し、動物病院の強みや特色を効果的に宣伝していくことをおすすめします。
看護師や受付スタッフなど、動物病院を運営する上で必要な従業員を採用する必要があります。職種ごとに採用条件を決め、オープニングスタッフとして募集をかけていきましょう。
友人や知人の紹介を活用して採用する方法もあります。
スタッフがなかなか集まらない場合は、有料求人の活用も検討しましょう。
有料求人の場合、人材紹介会社経由で要件に合った人材を紹介してもらえる可能性があります。一方で、紹介分の手数料が発生するため、事前にどのくらいの費用になるか確認しておくことが大切です。
1〜7までの準備が整ったら、開業日を決めて開業しましょう。
開業してから1ヶ月程度は、忙しい日々を過ごすことになります。少しずつ動物病院の業務に慣れていきましょう。
開業後、経営を安定化させるためには、常に飼い主さんやスタッフの意見に耳を傾けることが大切です。飼い主さんが求める医療を提供しながら、スタッフが働きやすい動物病院を作っていきましょう。
【2024年9月/文責:GMC株式会社 動物医療担当】