毎年京都で行われるKYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭も、2022年で10回目を迎えました。今年のテーマである「ONE」は、コロナ禍で分断されてしまったさまざまな人と人とのコミュニケーションをつなぎ合わせる意味が込められ、仏教の「一即(すなわち)十」 という言葉から想起されています。来場者数も20万人を超える規模となり、舞台となった京都の各会場には多くの人が訪れました。
この写真祭の最先端プロジェクション展示に、FP-Z8000が貢献いたしました。
第10回という大きな節目を迎えたKYOTOGRAPHIEにおいて、富士フイルムのFP-Z8000が展示に使用されました。メイン展示の一つである「10/10 現代日本女性写真家たちの祝祭」の中で、細倉真弓さんと岩根愛さんによる映像作品はHOSOO GALLERYにて、イサベル・ムニョス×田中泯×山口源兵衛の映像展示は誉田屋源兵衛 黒蔵にて、それぞれFP-Z8000が採用されています。富士フイルムのプロジェクターが選ばれた理由、そしてFP-Z8000のスペックが可能にした展示の可能性について、KYOTOGRAPHIEの共同創設者&共同ディレクターである仲西祐介さまにお話をお伺いしました。
KYOTOGRAPHIEを始めた理由の一つに「アートを民主化」したいという思いがありました。そのまま美術館などで展示するのではなく、敢えて作品を町に持ち出して、普段アート作品を展示しないようなところで展示する。そうすることで普段美術館やギャラリーに行かないような人にもアートを楽しんでもらえるのではないかと思っています。もちろん来場者の方にはアート作品を見せるのですが、KYOTOGRAPHIEは同時に最先端のテクノロジーと や伝統的な職人の技術なども見せているんですよね。ただ普通に写真を展示するフェスティバルではなくて、写真の色々な可能性を模索していく、そういったフェスティバルなのです。写真の可能性を示していく中には、このプロジェクションは大事な要素になっていて、映像自体も写真の連続という考え方なので、映像作品やインスタレーションを多く取り入れています。なので、やはりプロジェクターはとても重要な機材ということになります。
KYOTOGRAPHIEの場合、広くない空間で大きな画面を出したい、ということが多くあります。そんな中、Z8000は狭い空間でも最大の能力を発揮します。例えば日本家屋で展示することも多いんですが、床の間の90センチくらいしかない場所でもZ8000は設置ができて、ちゃんと床の間全体にプロジェクションができます。レンズシフトの範囲がすごく広いので、台を積み重ねてプロジェクターを上げる等を一切せずに、置くだけでいい。しかもボディも小さくて、設置もしやすく、テンポラリな工事をしなくていいのでKYOTOGRAPHIEにとって最高のスペックです。
このプロジェクターの最大の魅力は、レンズの向きも動かせることです。本体の置き方を自由に変えられるので、観客の使えるスペースを広くとれる。今回、3台のZ8000で3面プロジェクションを行ったのですが、狭いスペースにもかかわらず、かなりのクオリティーで空間を作り出すことができました。このレンズを動かせるようにしたっていうのは、すごい発明だと思うんです。
超短焦点なので、狭い空間で最大の画面が出せるのですが、それに加え色が綺麗に出ていると思います。すごく再現性が高いです。黒の締まりも良く、アーティストはみんな驚いてまして、みんな喜んでます。特に3面投写であのクオリティーで画面が迫ってくると、やっぱりすごい迫力ですよね。
またプロジェクターからの音も本当に静かで、この信じられないくらいの静粛性にはかなり助けられています。例えば10人のアーティストの展示を同じ空間の中でやるとなると、一人のアーティストの音が響いてしまうと良くないですから。作品に集中してもらうためにも、静音なプロジェクターであることは大事なことです。
このプロジェクターのおかげで、こらからもっともっと色々な展示の可能性が考えられるんじゃないかと思っています。例えば、最近はスマホで写真を撮ることも多くなってきましたし、縦位置の写真が増えてきていると思います。縦位置の写真を最大限のフルサイズでプロジェクションすることもあると思いますが、まさにこのプロジェクターであれば、レンズを倒すだけでできます。
KYOTOGRAPHIEもいろいろな写真や映像の可能性を常に実験的にチャレンジしているので、これからも新しい形を取り入れていきたいと思います。