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レーザー干渉計(測定機) : 基礎知識

FUJIFILM干渉計は、サンプルの材質によらず、研磨面(鏡面)であればほとんど非接触観測が可能。また、干渉縞を自動的に解析し数値化する縞解析装置も揃っており、使いやすさを追求した高機能・高性能計測システムです。

干渉計の概念
干渉縞の間隔

干渉計は光の波長を物差しとしているので、高精度な測定を行える特長がある。観察される明暗の縞は等高線となっており、その間隔は光源の波長と入射角により決定される。通常、光は被検面に対して垂直に入射するが、その時の等高線間隔は波長の半分となる。斜め入射の場合には、入射角に比例して等高線間隔が広くなる。つまり低感度となる。

干渉縞の見方

画面に出ている干渉縞は基準レンズに対して約0.3μmの高さごとの等高線です。被検面の球面度が非常に良い場合、縞は直線になり、調整次第で縞は0本になります。干渉縞0本の状態から、5軸調整台の左右つまみを少し回すと縦方向の干渉縞が現れます。前後つまみを少し回すと横方向発散レンズ の干渉縞が現れます。また、5軸調整台の上下つまみを少し回すと、同心円状の干渉縞が現れます。

球面度の良い試料の左右方向の移動と干渉縞の対応 球面からの外れ量が大きい場合の左右方向の移動と干渉縞の対応
代表的な干渉計

干渉計にはさまざまな種類のものがあり、用途に応じて使い分けられているが、ここでは形状測定用の代表的な干渉計ついて簡単に説明します。

フィゾー干渉計
  • レーザーを光源とし、簡単な構成で高精度の平面測定、球面測定が行えるため、最も普及している干渉計。
  • レーザービームは発散レンズ、ビームスプリッター、コリメーターレンズを透過した後に平行光となり、高精度な基準板(平面ガラス板)に到達します。
  • 基準板に到達した一部の光は参照面(基準板の下側の面)で反射し、残りの光は基準板を透過した後に測定物の面に到達して反射します。
  • 参照面からの反射光と被検面からの反射光は元の光路を逆戻りし、その光路差によって干渉縞が発生します。
     
  • * 参照面は非常に高精度に研磨されており、30nm以下の凹凸しかない。これを例えると、関東平野にピンポン玉1個以下の凹凸に相当します。
  • * 関東平野:広さは約1万7000km2にもおよび四国(18,297.78km2)の面積に近い。
フィゾー干渉計の構成
平面測定用フィゾー干渉計(フジノンF601平面システム)
平面測定用フィゾー干渉計(フジノンG102)
フィゾー干渉計による球面の測定

右図に示すように、基準板の代わりに基準レンズを用いることにより、球面の測定が可能となる。基準レンズは、その最終面が精度良く研磨された球面となっており、これが参照面となる。ここでも参照面が光の分割手段となっている。したがって、レーザー光は参照面に垂直に入射し、一部が反射、残りは垂直に出射して被検面(球面)へ到達する。

被検面の位置(参照面と被検面の距離)を調整し、参照面から出射した光が被検面に垂直に入射するようにすれば、被検面からの光がもと来た光路を逆戻りし、参照面からの反射光と干渉して、被検面の面形状を測定できる。また、参照面から出射した光が1点に集まる点(通常、キャッツアイポイントと呼ばれる点、図中で被検面が点線で示されている位置)に被検面を置くと、反射光の波面が180度回転した形で基準レンズに戻り、参照面からの反射光と干渉して、ここでも干渉縞が観察できる。干渉縞が観察できるのは、これら2つの点に被検面が置かれている場合のみであり、他の位置では干渉縞が細かくなって事実上観察できない。この2点間の距離を測定することにより、被検面の曲率半径(R)を求めることができる。図では凹面を測定する状態を示しているが、凸面の場合にはキャッツアイポイントと参照面の間に被検面を置く必要がある。

F601用基準レンズ

被検面の曲率半径に応じて、6種類の基準レンズから最適なレンズを選択できる。基準レンズの参照面は通常λ/10以下の精度でできている。

 

 

測定範囲(曲率半径)(mm)

測定最大口径(mm)

F ナンバー

レンズ最終面曲率半径(mm)

0.6

17

2 - 17

3 - 103

27

120

0.7

23

3 - 23

4 - 97

32

120

1.0

43

5 - 43

7 - 77 (130)

40

72 (120)

1.4

65

9 - 65

14 - 75 (170)

46

53 (120)

2.0

105

16 - 105

31 - 38 (255)

53

19 (120)

2.8

150

30 (0) - 150

- (0 - 210)

53

- (75)

5.6

270

150 (125) - 270

- (0 - 90)

48

- (16)

8.0

442

320 (90) - 440

55

  • * 披検レンズの厚みを0とした場合のおおよその目安を表しています。
  • * 表中の( )内の数値は、特型スタンドの場合です。
  • * 曲率半径が0付近でご使用の場合はご相談ください。
干渉縞の数値解析

干渉縞写真を見れば被検面の大まかな形状や平面度(あるいは球面度)が分かるが、複雑な形の干渉縞の場合には専用の解析装置が必要である。干渉縞解析装置は、CCD上の干渉縞画像をコンピュータに取り込み、各点の光の位相を求め、形状を計算する装置である。 位相を求める方法にはいくつかの方法があるが、ここではフリンジスキャン法とフーリエ変換法について簡単に解説する。

フリンジスキャン法の測定例:π/2毎に取り込んだ4枚の画像

フリンジスキャン法の測定例:4枚の画像から位相を計算し、位相接続を行って得られた解析結果(鳥瞰図)

フリンジスキャン方式の干渉縞解析装置(フジノンA1)

応用測定例
まとめ

干渉計は、研磨面であればガラスのみならず金属やプラスチック,セラミックなどの表面形状(平面、球面、円筒面、回転2次曲面、非球面など)を測定可能であり、また、レンズの透過波面形状も簡単に測定することができる。
このため、干渉計は光学業界のみならずさまざまな分野で活躍している。

応用例

  • カメラレンズ、コピー機用レンズ、ピックアップ用対物レンズをはじめとする光記録光学系用レンズ、光通信用レンズ、コンタクトレンズなど、各種ガラス、プラスチックレンズの表面形状測定や透過波面形状測定。
  • ミラー、フィルター、プリズム、液晶用ガラス、ガラスディスク、光記録光学系用ガラス部品、コーナーキューブ、ホログラム素子など、板物の表面形状測定や透過波面測定。
  • 金属あるいはセラミック製シール部品表面、金属製電気部品、刃物、ギア、ボールベアリング表面などの各種メカ、電気部品の形状測定。
レーザー干渉計総合カタログ