富士フイルムグループは、「労働安全は事業活動の原点である」という考えのもと、安全最優先で従業員の労働安全の確保に努め、安全衛生関連の諸法令の遵守を徹底しています。
富士フイルムグループは、2020年度に安全の国際標準であるISO45001:2018の要求事項に準拠した労働安全衛生規程を制定し、海外を含む全拠点で運用を開始しました。規程の運用を通じて全社的な安全管理体制や活動目標を明確化することにより、労働安全におけるさらなるガバナンスの強化を図っています。
労働安全衛生活動の紹介
安全衛生教育
従業員全体の安全知識・安全感度の底上げを目的として、自由な時間に個人学習ができるよう、eラーニング形式のコンテンツの拡充を図っています。
入社時および配属時の教育や3か月経過後の安全指導、階層や役職別教育を実施する安全衛生関連の教育プログラムのほか、担当業務やテーマに沿った特別講習会も開催されています。

生産現場での労働災害未然防止
危険予知(KY)教育
従業員の労働災害を防止するため、新入社員に対する危険予知(KY)教育を行っています。自ら行う作業の内容や設備に対して、事前に危険のポイントがどこなのかを知り、安全対策を行うことで、事故を未然に防ぎます。
このような教育は、入社後も各現場でのOJTや各職場で定期的に開催される「安全ミーティング」でも行われ、従業員の安全意識を高めています。

危険体感教育
従業員の安全感度を向上させる施策として、模擬的に「はさまれ」「巻き込まれ」「感電」などを体感する「危険体感講習」を実施しています。グループ会社従業員に対しても実施し、グループ全体で安全意識の向上に努めています。
また工場や研究所では、消防法危険物の使用も多いため、火災・爆発についても体感できる「防爆体感講習」も実施しています。

化学物質による事故・災害を防ぐ活動
写真現像処理剤や半導体レジスト処理液などの化学製品は多くの化学物質を含有していますが、これらの製品をお客さまに提供する際、富士フイルムではSDS(Safety Data Sheet:化学物質の安全情報データシート)を提供しています。これは、化学製品による事故防止および、お客さまを含む人の健康や生態系に対する安全確保のための情報提供手段です。
富士フイルムではお客さまはもちろん、従業員の労働安全と環境保全管理を徹底させるため、社内で使用する化学物質についても、社内独自のSDS(通称FMSDS)を作成しています。取引先が発行するSDSなどから得られる安全性や適用法令、取り扱い方法の情報に加え、独自に構築したデータベースから最新の法規制情報を追加しています。上記の図のとおり作成したFMSDSを基に、使用するすべての化学物質についてリスクアセスメントを実施し、労働安全と環境保全の管理徹底、関連法規則の遵守を徹底しています。
FMSDSとSDSの比較

優れた安全活動の表彰
従業員の優れた安全活動に対し、富士フイルムグループでは以下の安全表彰制度により表彰しています。
- 年度表彰:休業災害ゼロを達成し、不休災害の発生率が社内基準以下である組織
- 特別表彰:従業員の参加率、成果および創意工夫の観点からグループ内の模範となる優れた安全活動に取り組んだ組織
これらの表彰制度を通じて従業員の安全活動に対するモチベーションアップを図るとともに、継続して安全活動に努めています。
社内表彰されたグループ会社の活動については、この下の「活動トピックス」もご覧ください。
メンタルヘルス・長時間労働対策
富士フイルムグループでは毎年11月、国内全従業員を対象としたストレスチェックを一斉に実施しています。結果は国内グループ各社で分析し、健康リスクが高い職場については産業医と人事部門で連携のうえ、職場ミーティング、原因分析、改善策の立案を行い、職場環境の改善に取り組んでいます。
国内全役員・管理職を対象としたラインケア研修も実施しており、メンタルヘルス統括医(産業医)から、職場におけるメンタルヘルス対策の意義や、管理職に求められるメンタルヘルス対策に関する講義を定期的に行っています。また、新任役職者全員に対して、共通のメンタルヘルスマネジメントガイドを用いた教育を実施することで、予防的な取り組みも推進しています。2022年度からは、メンタルヘルス相談窓口(電話・Web・面談)を設置し24時間のサポート体制を構築しています。
さらに、長時間労働による健康障害の防止に向けて、所定外労働時間が単月80時間以上、四半期平均45時間以上の場合は、ヘルスチェックアンケート、上長面談、産業医面談を実施し、健康の確保や業務上の配慮を行っています。
そのほか、労働時間上限到達前や勤怠未登録者を対象に自動でアラームメールを配信するなど、ITを活用した適切な健康管理や勤怠管理の仕組みも強化しています。
自然災害対応
富士フイルムグループでは、各地の従業員の生命・安全を確保しつつ、製品・サービスの供給を継続(事業継続)することがグローバルに事業活動を進める上での社会的な責務であると考えており、災害発生時に事業被害を最小化させるため、防災・減災に向け積極的に活動しています。
災害による被害最小化のためには、発災時の速やかな情報収集が欠かせないため、富士フイルムグループ全体で、情報収集に力点を置いた組織体制を構築しています。
災害情報収集の体制

さらに当社では、国内外の各拠点で起こりうる災害を予測(災害リスクの絞り込み)し、全社横並びの対策だけではなく、各拠点、各事業特有の災害リスクに応じた、個別の対策も進めています。詳細はこちらをご参照ください。
活動トピックス
社内表彰
2024年7月、富士フイルムグループ2023年度「労働安全衛生表彰」の表彰式が行われました。13の組織が表彰され、従業員の安全衛生活動への参加率や、成果および創意工夫の観点から優れた活動を行った組織を表彰する「特別表彰」を、アメリカのFUJIFILM Cellular Dynamicsが受賞しました。
FUJIFILM Cellular Dynamicsでは、従業員の安全活動に対する認知度向上と一体感の醸成に向けて、独自に作成した安全マスコットキャラクターを活用して安全活動を推進しました。その結果、ヒヤリハットの報告数が増加し、労働災害発生率も改善されました。さらに、この取り組みを米国のバイオセーフティおよびバイオセキュリティ協会(ABSA)が主催する安全大会でも発表し、社外からも高い評価を得ました。

2023年度「労働安全衛生表彰」で特別表彰を受賞した、アメリカのFUJIFILM Cellular Dynamics
社外表彰
富士フイルム富士宮事業場が「安全優秀賞」を受賞
医療用X線フィルムや各種機能性フィルムの研究開発・製造をおこなう富士フイルム富士宮事業場では、2022年5月に、日本化学工業協会が実施する「日化協 安全表彰」において安全優秀賞を受賞しました。

富士宮事業場では、「かもしれない」の観点を盛り込むことで、事前に危険源を抽出し対策を講ずる「深耕リスクアセスメント」を推進しています。「深耕リスクアセスメント」とは、従来のリスクアセスメントに現場で起こり得る懸念がある「懸念労災」と、現場に居合わせた従業員の体格や体力、そのときの行動や状況などの「留意事項」を総当たりで掛け合わせることで、従来の3倍以上のリスクを抽出することができ、それらの抽出したリスクを解消するための危険源撲滅活動です。
そのほか、作業者の危険予知能力(危険感度)を高める「KY感度養成教室」の開設や、従業員一人ひとりの安全意識向上と、各職場の積極的な安全活動を促す事業場一体活動「セーフティーパワーアップ活動」の推進により、安全な職場環境構築に取り組んでいることが評価され、今回の受賞となりました。