橋梁やトンネルなどのコンクリート構造物の点検業務を効率化する社会インフラ画像診断サービス「ひびみっけ」。ユーザー自身が撮影した構造物の画像を合成・解析して、ひびわれをAIが自動検出します。しかし、ひびわれを検出するためには、そもそもコンクリートに入ったひびわれが検出可能な像として写っていることが大前提となります。ここではひびみっけでひびわれ検出を実現するための撮影アングルと分割撮影のコツについてご紹介します。
撮影アングル
橋梁やトンネルなど大きな施設を撮影するときは、どのようにして分割撮影すればいいでしょうか? 推奨しているのは1,800×1,200mm(※ひび幅0.1㎜の場合)の範囲を1ショットの画角に収めることです。これを平行移動させながら大きな面を撮影していくのです。このとき、後の画像合成のために、30%ほどオーバーラップさせることが推奨されています。例えば、まず横長の画角が実寸1,800×1,200mm程度になるようセット。1枚撮影したら横に1,260mm平行移動してまた1枚撮影、といった具合です。540mmだぶらせて撮影するわけです。
平行移動して撮影していく理由は、構造物の面に対して垂直に撮影しないとパースがついて歪んでしまうだけでなく、肝心のひびが細く写ってしまうからです。ただし、20度以内ならひびわれの撮影への影響は抑えられ、パースは補正されて合成処理されるため心配ありません。補正の原理は、パースがついて小さく写っている部分をその分大きく拡大する操作がなされます。角度がつけばつくほど拡大率が大きくなり、解像度が下がるため、20度程度が限界です。敷地や構造物の形状によって、カメラを平行移動できないときなどは、わずかであれば角度を振って撮影します。
画角に写っている構造物のサイズを決めなくても、AIがサイズを検出することができるため、画角のスケールを細かく気にする必要はありません。後の画像合成操作のときにユーザーが入力する、ある点から点までの実寸をもとにサイズが検出されます。
カメラを移動しながら分割して撮影するため、対象物の明るさは変わります。露出も合成時にAIが自動でそろえますが、撮影時になるべく同じ露出にしておくと、より適切な画像になります。そこで、背景ではなく対象物に露出を合わせながら撮影すると良いでしょう。シャッター速度、F値、ISO感度を上記の撮影条件内で変化させながら調整します。
撮影範囲の決定と撮影枚数の確認
撮影範囲の決定
- カメラの最高画素数を確認
以下、再考画素数「6,000×4,000ピクセル」のカメラを例に記載 - 撮影範囲を算出
検出したいひび幅ごとに算出方法は異なる。
【ひび幅0.1mm以上を検出したい場合】
横・縦の最高画素数にそれぞれ「0.3mm/画素」をかける。
・6,000×0.3=1,800mm
・4,000×0.3=1,200mm
【ひび幅0.2mm以上を検出したい場合】
横・縦の最高画素数にそれぞれ「0.6mm/画素」をかける。
・6,000×0.6=3,600mm
・4,000×0.6=2,400mm
撮影枚数の確認
算出した撮影範囲に従って撮影する領域で、何枚の写真撮影が必要かを見積もる。
【ひび幅0.1mm以上を検出したい場合】
写真1枚で撮影する面積は、1,800×1,200mm。
例えば、対象壁面が5,000×2,000mm(5×2m)だとすると、オーバーラップ率30%を考慮し、12枚の写真を撮影。(横に2ショット、縦に6ショットが必要になる)
撮影枚数は事前に確認されることをおすすめします。撮影枚数、利用料金を簡易見積りできるツールをご利用いただけます。
分割撮影のイメージ
現場の状況によっては厳密に仕様通りのオーバーラップ率、角度で撮影することが難しい場合もあります。撮影したらひびみっけソフトウエアの「合成チェッカー」を使って、現場での撮り漏れがないか、適切に合成できる画像が撮影できたかをチェックすることをおすすめします。
このようなポイントを意識することで、最適なひびわれ検出を行うための撮影ができるでしょう。撮影後は、ひびみっけソフトウエアを使って画像をクラウドにアップロードすると、AIによって画像が自動で合成され、ひびわれが検出されます。
ひびみっけソフトウエアは利用申請後、ダウンロード、インストール、合成チェッカーまでは無償で利用いただけます。まだひびみっけをインストールしていないお客さまは利用をご検討ください。