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日本

画像検査装置がスジ・ムラを引き起こす?!

本記事の「3つのポイント」
  • 高品質かつ安定した画質を実現するはずの画像検査装置がスジ・ムラを起こす?
  • 迷光や異物などさまざまな要因によって画像検査装置の読み取りは左右される!
  • 高品質かつ安定した画質の実現には、画像検査装置全体の最適化が必要!

高解像度インクジェットプリンターにおいて、画像検査装置はスジ・ムラの予防や補正に必要不可欠です。しかし、その画像検査装置が逆にスジ・ムラ発生の原因となることがあり、例えば1%未満の読取値の誤差でムラが発生したり、十数μmの読取位置ずれで誤検知が起きてスジが発生したりすることがあります。今回はJet Press開発でも実際に起こった現象を見ながら、原因分析と対策の方法をご紹介します。

画像処理で補正してもムラが消えない…実は画像検査装置が原因かも?!

インクジェットプリンター開発で、こんな現象が起きてはいませんか?

  • 印刷開始時にはないスジ・ムラが、印刷を繰り返すと発生する、もしくは増加する。
  • 画像処理でどれだけ補正してもムラが消えない。
  • 印刷品質が安定しない。スジ・ムラの位置や程度が安定しない。

これらの現象が、画像検査装置起因で発生する場合があることはご存じでしょうか。

高画質が要求されるインクジェットプリンターでは、印刷物の状態を画像検査装置で読み取ることで、印刷物上の異常を検知し、それがなくなるように画像処理を施します。そのため、画像検査装置では、得られる読取画像が印刷物の状態を常に正しく反映している必要があります。そうでないと、後に続く画像処理によって誤った補正を行ってしまい、逆にスジやムラを発生させてしまいます。

Jet Pressの開発においても、画像検査装置のプリンターへの搭載、小改造、基材種や印刷条件変更などにより予期しないスジ・ムラが発生したことがあり、画像検査装置の開発には非常に苦労しました。
では、Jet Pressの開発で実際に起きた画像検査装置起因のスジ・ムラに、私たちがどのように対策したのか、具体例を紹介しましょう。

迷光や微小な異物が存在するだけでスジ・ムラに!

画像検査装置では一般的に、照明から印刷物に光を照射し、その反射光もしくは透過光を撮像素子で受光することで印刷物の読取画像を生成します。

正常時の画像検査
キャリブレーションなど装置内部の処理の不具合でもスジ・ムラは発生する

画像検査装置内部で行っている処理によってスジ・ムラが発生する場合もあります。
画像検査装置では撮像素子を用いて、照明から印刷物へ光を照射した際の反射光や透過光を読み取ります。その際、撮像素子の感度や照明の輝度のばらつきを補正するためのキャリブレーションという処理を、装置内部で実施することがあります。
しかし、このキャリブレーション処理に誤りがあると、読取画像を正しく生成できず、スジ・ムラを発生させてしまうことがあります。

例えばキャリブレーションを行う際には最初に光測定の際の基準となる白色基準板の読み取りを行いますが、その基準板に異物やインクミストなどが付着していると、キャリブレーションが正常に実施できないことがあります。
これらへの対応としては、画像検査装置内の風の流れの最適化、あるいは構造の密閉化による異物の侵入防止、基準板を移動させながらの読み取り平均化することによる異物影響の低減、が挙げられます。

迷光対策と異物対策の両立など画像検査装置全体での最適化が必要

しかしながら、こうした異物対策を実施する場合にも前述の迷光予防が必要となるなど、画像検査装置全体での最適化が必要となります。
富士フイルムのインクジェットコンポーネント製品「Samba JPC」 を構成する画像検査装置(インラインスキャナ)では、Jet Press 開発を通じて培った技術を用いて、迷光対策と異物対策を両立し、画像検査装置全体での最適化を実現いたしました。

「Samba JPC」はJet Pressの開発経験で得た知見・技術を整理して組み込み、高解像度シングルパス・インクジェットプリンター開発に取り組む方にご活用いただけるようにしたコンポーネント製品です。「Samba JPC」を通じて私たちの知見・技術を活用いただき、御社の開発を効率化することで、プリンティングのデジタル化を一緒にリードし、インクジェット市場の拡大と発展に寄与したいと考えています。