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日本

基材を変えると画質が低下!改善が必要なプロセス技術は?

本記事の「3つのポイント」
  • 基材を変えると思ったように印刷できない? 対策のポイントは基本的な画像形成プロセスの理解
  • 画像形成プロセスは、(1)濡れ広がり、(2)浸透、(3)乾燥・定着の3つに分けて考える!
  • さまざまな技術を投入することで、広範な分野にインクジェットを応用することが可能

インクジェットプリンターで印刷するときに、「この基材にはきれいに印刷できるのに、基材を変えると画質が安定しない」という経験はありませんか?
もちろん、基材の搬送方法がその原因となる場合もありますが、今回は、基材そのものが変わることにより印刷物の画質が変わる原因について解説します。

富士フイルムでは、さまざまな基材に対するインクジェット印刷を実現させています。特にJet Pressの開発では、図1に示した応用展開例の中の「パッケージ」「パンフレット」など、主に紙基材に対しての印刷の知見を蓄えてきました。しかし、一口に紙基材といっても、後述するように、基材の物性により最終的な画質が異なるため、さまざまな紙基材に対応できる性能を確保するまでには、多くの苦労がありました。

また、富士フイルムでは、紙以外の基材に関するインクジェットの開発ノウハウも蓄積してきました。

では、さまざまな紙やその他素材にまで印刷対象を広げる場合、基材起因による画質トラブルにはどのような対策が必要になるのでしょうか。

インクジェットの画像形成プロセスを理解して、基材ごとの対策を!

基材が変われば、インクジェット印刷で必要になる技術は変わりますが、基本となる画像形成プロセスは変わりません。つまり、画像形成プロセスを理解することで、トラブルが発生しても適切な対策を打つことができます。
画像形成プロセスは、(1)濡れ広がり、(2)浸透、(3)乾燥・定着の3つに分類できます(図2)。それぞれのプロセスにおいて、基材が画質に及ぼす影響を見ていきましょう。

図2 画像形成プロセス(左:濡れ広がり、中央:浸透、右:乾燥・定着)

しかし、このようなシステムを実現するのは容易ではない

以上、ほんの一例ですが、さまざまな基材に対するインクジェット印刷による画像形成の課題と対策を示しました。インクジェットの画像形成プロセスは一見シンプルであるものの、基材が変われば適用する技術が広範にわたって変化することがご理解いただけたと思います。逆にいえば、さまざまな技術を投入することで、広範な分野にインクジェット技術を応用することが可能です。
とはいえ、広範な技術分野すべてをカバーするのは時間がかかり、容易ではありません。富士フイルムでは、さまざまな基材に対するインクジェット技術のノウハウを数多く蓄積しており、こうした印刷に必要なインクも各種コンポーネントも取りそろえています。特殊な基材へのインクジェット印刷に関する開発でお困りのことや疑問などがあれば、どのようなことでも構いませんので、下記フォームよりお気軽にお問い合わせください。

参考文献
  • 日本画像学会・藤井 雅彦,インクジェット, シリーズ「デジタルプリンタ技術」,東京電機大学出版局, 2008

  • Werner Zapka, Handbook of industrial inkjet printing: A full system approach, Wiley‐VCH Verlag GmbH & Co. KGaA, 2018