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インク循環制御方式の正しい選定は高画質実現の第一歩

富士フイルムが1200×1200dpiのシングルパス・インクジェットプリンター「Jet Press」の商品化を通じて培った、高解像度インクジェットプリンター開発の「虎の巻」を特別に公開します。

本記事の「3つのポイント」
  • インク循環ユニットの制御方式には、アクティブ制御・パッシブ制御の2つがある
  • プリンターの目指す姿に応じて適したインク循環制御方式を選定することが必要
  • 安定して高画質を実現するためにはアクティブにインク循環を制御することが有効

インクジェットで高画質の印刷を可能にするためには、安定してインクを供給することが必要不可欠です。
また、最近では、印刷で消費した分のインクだけをインクタンクからプリントヘッドに供給するのではなく、インクタンクとプリントヘッドの間で常にインクを循環させるタイプのプリントヘッドを採用することが増えています。
循環タイプのプリントヘッドの採用により、乾燥性が高いインクを使用できたり、精密なインク温調により濃度ムラなどを抑制できたりするメリットがあり、高画質のインクジェットプリンターの開発には有利になります。
今回は、高画質のインクジェットプリンターにとって非常に重要となる、インク循環タイプのヘッドでインクの循環を安定させるための制御方法のポイントを見ていきましょう。

画質に大きく影響するインク循環ユニット。どのような機能が必要?

高画質なインクジェットプリンターを実現するために、インク循環ユニットに求められる機能としては以下の4つが挙げられます。

  1. 異物の除去と異物発生の抑制
  2. 気泡対策
  3. インク温度の制御
  4. ノズルにおけるメニスカスの制御

これらの機能が不十分な場合には、印刷物上にスジやムラなど画質を低下させる問題が発生してしまうため、高画質のインクジェットプリンター開発では非常に重要です。上記4つの機能を実現するためのポイントについては、「ジョブの後半でスジ・ムラが発生?今すぐインク供給ユニットの確認を!」で紹介しています。

インク循環ユニット

図1 プリントバー(プリントヘッド)にインクを循環する「インク循環ユニット」

では、実際にこれらの機能を実現するためのインク循環制御の方式とは、どのようなものでしょうか。大きく分けて(1)アクティブ制御方式と(2)パッシブ制御方式の2つがあります。それぞれの具体的な仕組みや特徴を見ていきましょう。

インク循環をアクティブに制御することで、安定した循環を実現する

(1)アクティブ制御方式、(2)パッシブ制御方式、それぞれのインク循環の特徴について詳しく見ていきます。

(1)アクティブ制御方式

図2 アクティブ制御方式(ポンプ方式)

アクティブ制御方式とは、循環部分の圧力を観測し、その圧力変動に応じてポンプを制御する方式です(図2)。ポンプの制御を通じてインクの圧力を制御できるため、印刷中の圧力変動を抑制できるようになります(「ジョブの後半でスジ・ムラが発生?今すぐインク供給ユニットの確認を!」参照)。このため、圧力変動に伴い発生する印刷物上の濃度ムラやスジの発生を抑制できます。

一方で、欠点としては、圧力変動に対して精度よく制御を行うため、制御内容が複雑になり制御の難易度が高くなることや、ポンプなどの駆動機構や追加のセンサが必要になるなど構造が複雑化することで、装置コストが高くなることが挙げられます。

(2)パッシブ制御方式

図3 パッシブ制御方式(水頭差方式)

パッシブ制御方式は、予め設定した循環パラメータに応じてインク循環を制御する方式です。
パッシブ制御方式の代表である水頭差方式を例に説明します(図3)。

水頭差方式を用いた循環式インク循環では、供給側と回収側のインク液面高さを制御することで、揚程差(供給側タンクと回収側タンクの高さの差)を利用してインク循環します。液面の高さのみが重要な値であるため、液面を一定に保つための液面センサやポンプが必要であるものの、吐出時の圧力変動を観測するためのセンサや、圧力変動に応じた制御を行うポンプなどの制御機構が不要なため、省スペースかつ低コストでインクを循環することが可能です。

一方で、積極的に圧力変動を抑制する制御を行わないため、大量のインクを吐出する場合や高速印刷を行う場合には、圧力変動に対して応答が遅れてしまうので、アクティブ方式に比べて、印刷物上に濃度ムラやスジが発生しやすいというデメリットがあります。

このように両方式にはそれぞれメリット・デメリットがあるため、印刷機に求められる性能に応じて方式を選択する必要があります。特に高速で高精度の印刷品質を確保するためには、アクティブ制御が望ましいといえます。

圧力変動抑制だけじゃない?!アクティブ制御のメリット

図4 加圧パージによる気泡の強制排出のイメージ図

アクティブ制御を採用するメリットは、圧力変動の抑制だけではありません。インク循環に求められる機能の一つである「気泡対応」にもメリットがあります。
例えば、プリントヘッド面のクリーニング時やプリントヘッド交換時に、プリントヘッド内に気泡が混入した場合を考えてみましょう(図4)。
プリントヘッド内の流路は数十μm程度の場合が多く、このような狭い空間に気泡が混入してしまうと、気泡が流路に詰まり、この状態で印刷すると印刷物上にスジが発生します。アクティブ制御方式のインク循環ユニットを用いると、ポンプなどの駆動機構を働かせることで積極的に気泡を含んだインクを排出し、スジの発生を解消することができます。
さらに、素早く気泡を排出することが、装置のダウンタイム低減にくわえ、装置設置時やプリントヘッド交換時のインク充填時間の短縮により、装置の立ち上げの迅速化にもつながります。

アクティブ制御は装置ごとに最適化が必要

ここまで紹介したように、アクティブ制御方式のインク循環を使いこなすことで、印刷機の性能を最大限に発揮することが可能となります。しかし、使いこなすためには、各装置に最適化した制御を行う必要があります。印刷速度や最大吐出量、印刷解像度など、多岐にわたる条件を最適化することは容易ではありません。

富士フイルムは、シングルパス・インクジェットプリンター「Jet Press」の開発を通じ、プリントヘッドを安定して使用するためのインク循環ユニットの最適化に取り組んできました。そして、その技術ノウハウを基に開発したインクジェットコンポーネント「Samba JPC」では、適切なインク循環を実現する「液循環ユニット」、高精度の吐出性を誇るプリントヘッドをアセンブリした「プリントバーユニット」を提供しています。これらをご使用いただくことで、短期間でシステムを構築することが可能となります。

さらに富士フイルムは、Samba JPCをお使いいただくお客さまに、インク循環ユニットに関わるスジ・ムラの原因特定から対策まで、幅広い知見やデータ解析の技術の蓄積を生かしたコンサルティングも行っています。ぜひご活用ください。

開発でのお困りのことや疑問などがあれば、下記お問い合わせフォームよりぜひお問い合わせください。

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