日本発の放送用オープンリールから家庭用のビデオカセット、そして大容量記録メディアへ。
富士フイルムは写真領域で培った技術を絶えず進化させ、LTO生産シェア60%以上(* 当社調べ)の世界NO1メーカーとなりました。
高容量化への技術革新
1954年から現在まで、LTOテープをより薄く、そして磁性体をより小さく、大容量化に向けて技術革新を続けてきました。
磁性体を微粒子化することで、より多くの磁性体を同一表面に敷き詰めることができます。これにより、記録密度が大幅に高められ、テープの飛躍的な大容量化が可能になります。
従来のMP(メタル)磁性体のサイズ40-100nmと比べ、LTO6~LTO9に採用されているBarium Ferrite(BaFe)磁性体は20nm。最新のStrontium Ferrite(SrFe)磁性体はBaFe磁性体の約60%以下まで微粒子化を成功させました。
IBMとの共同研究により、最新のSrFe磁性体は1巻あたり非圧縮時580TBをも実現する将来技術と実証されています。
磁性層の薄層化
LTOテープは微粒子の集合体。そこにはナノレベルの精密さがあります。
微粒子化した磁性体を均一にナノ粒子レベルに分散する技術(図1)ナノレベルで均一かつ超平滑な塗布膜を実現する超薄層塗布技術(図2)であるNANOCUBIC技術をさらに進化させています。
図1
図2 NANOCUBIC技術による薄さは、1Lでフットボールコートを4面塗れるほどの薄さです
Q1.LTOテープの保管期間寿命が知りたい
当社製品は、室温で50年以上に相当する加速条件下でのテストにおいて磁気特性に変化が生じないことが確認されています。
Q2.データの読み書きにとにかく時間がかかって面倒では?
A2.いいえ、むしろ他のメディアと比べて早い方です。大容量データの転送ほど速さに差がつきます。
「LTO9」のデータ転送速度は、読み出し・書き込みともに400MB/秒。これは、ハードディスクの読み出し時よりも圧倒的に高速で、
最大サステイン・データ転送速度
Q3.テープは切れたり絡んだり、トラブルが多いイメージですが…。
A3.故障などによるテープ返却率は、昔のテープ(DLT)の10%以下。ドライブ内での損傷もほどんどありません。
昔のテープ(DLT)等は、ドライブ内でテープ端がダメージを受け、テープ切断などのトラブルにつながることがありました。
しかし、テープメーカーとドライブメーカーの双方での技術革新の結果、現在ではテープに物理的なトラブルが起きる可能性は格段に低くなっています。
テープ返却率の推移
Q4.テープは定期的に巻き直す必要があって、手間がかかりますよね?
A4.巻き直しの必要は全くありません。
従来のテープメディアは、テープを巻き直さないで長期間保管しておくと、テープ同士がくっついてしまったり、記録されたデータが損なわれるリスクがありました。
テープ素材の改良や磁性層の安定性向上、低テンション化(巻きの締め付け緩和)やバックコーティング(図3)などの技術改良により、LTOテープはずっと巻いたままでも問題は全く起きません。
図3.バックコーティング採用によるヨレ防止
富士フイルム テープメディア生産品質保証理念
1.一定条件=一定品質
- 均一な品質の原材料を使用、同じ条件で作れば、必ず均一な品質の商品を作る事ができる
- 全ての生産条件は標準化され、その公差範囲のみで生産を行い安定品質を実現
2.自工程保証
- 自工程で不良品を作らない:標準書に基づいた生産を行う
- 次工程へ不良品を渡さない:仮に不良品があれば、自工程で排除し、良品のみを引き渡す