現代社会では、通信の高速・大容量化や社会インフラの老朽化など、次々と新たな課題が生じています。富士フイルムは変化する社会において、新たな課題を解決するための技術を開発・普及させることで、ICT社会の発展に不可欠な半導体材料の提供、社会インフラ整備など、安全・安心な社会づくりに貢献します。
ICT社会の発展に貢献する製品・サービスの技術開発と普及
需要が拡大する半導体材料をグローバルに提供
半導体は、5G/6Gによる通信の高速・大容量化、自動運転の拡大、AIやメタバースの普及などを背景に、さらなる需要拡大と高性能化が見込まれています。
当社の半導体材料事業は、フォトレジスト*1やフォトリソ周辺材料*2、CMPスラリー*3、ポストCMPクリーナー*4、薄膜形成材*5、ポリイミド*6、高純度プロセスケミカル*7といった半導体の製造に不可欠な材料や、スマートフォン・デジタルカメラ・車載カメラなどに搭載されるイメージセンサー用カラーフィルター材料などを提供しており、豊富な製品ラインアップを強みとしています。
これらの幅広い製品の提供のみならず、当社は日・米・欧・アジアの主要国に製造拠点を有するグローバルの安定供給体制、高い研究開発力、顧客との強固な信頼関係を強みに成長戦略を進めて事業拡大を図っており、半導体材料の売上目標は、市場全体の成長率を上回る年平均14%の成長を目指しています(2023年度~2030年度)。近年では、2023年に米国Entegris社の半導体用プロセスケミカル事業の買収を完了するとともに、新たな製造拠点の設立や、既存の製造拠点に新たに生産設備を導入するなど、積極的な投資も継続しています。
2024年10月には、先端半導体の製造プロセスに用いられるネガ型の極端紫外線(EUV)*8向けフォトレジストおよび現像液の販売を開始しました。現在、光源に非常に短い波長の光を用いてウエハーへ微細な回路パターンを描写することにより、更なるパフォーマンス向上に寄与するEUV露光技術への注目が高まっており、これらの製品は同技術を使った製造プロセスで用いられるため、需要拡大が見込まれています。今後も、顧客企業のニーズに合った製品のタイムリーな市場導入、安定供給による半導体産業の発展、そしてICT社会のさらなる発展に貢献していきます。

半導体製造工程の簡略図とその工程を幅広くカバーする当社製品
- *1 半導体製造の工程で、回路パターンの描画を行う際にウエハー上に塗布する材料。
- *2 半導体製造のフォトリソ工程で使用する現像液やクリーナーなど。
- *3 硬さの異なる配線や絶縁膜が混在する半導体表面を均一に平坦化する研磨剤。CMPは、Chemical Mechanical Polishing(化学的機械研磨)の略。
- *4 CMPスラリーによる研磨後に、金属表面を保護しながら、粒子、微量金属および有機残留物を洗浄するクリーナー。
- *5 低誘電率の絶縁膜を形成するための材料。
- *6 高い耐熱性や絶縁性を持つ材料。半導体の保護膜や再配線層の形成に使用される。
- *7 洗浄・乾燥工程に使われる高純度薬品。半導体製造の洗浄・乾燥工程で異物を除去したり、エッチング工程にて金属や油脂などを取り除くために使用する化学薬品。
- *8 極端紫外線を用い、10ナノメートルより微細な世代に必要とされる最先端リソグラフィ技術。
建造物の老朽化・不具合の検査効率化を通じた社会インフラの安全性向上
独自の画像処理技術とAI活用による社会インフラの点検業務の効率化を実現
日本では現在、高度経済成長期に集中的に建設された後、50年近く経った橋やトンネルなどの社会インフラの老朽化が進んでおり、点検・補修すべき対象物が増大しています。
これらの問題に対応し、富士フイルムは社会インフラ画像診断サービス「ひびみっけ」を2018年に提供開始しました。本サービスでは、当社独自の画像処理技術やAIを活用して、橋梁やトンネルなどのコンクリート構造物のひび割れを自動検出し、点検にかかる作業時間を大幅に短縮することが可能です。点検業務を効率化できるサービスとして注目され、既に1,500社以上に導入いただいています(2024年12月時点)。
さらに2023年には、「ひびみっけ」で培った最先端の画像処理技術・AIと、当社デジタルカメラの高度な光学技術を組み合わせて、トンネル点検業務の効率化を実現する「トンネル点検DXソリューション」の提供を開始しました。本ソリューションでは、現地で撮影した画像データをもとに高精細なトンネルの画像展開図を生成できるため、従来トンネル内で主に目視で行っていた点検作業をオフィスにいながら実施可能であり、点検業務の負担が大幅に低減されます。従来の、不具合発生後に対処する「事後保全」から、トンネルの健全度を正確に把握して適切な修繕計画を立案する「予防保全」への転換ができることにより、設備の延命やライフサイクルコスト*9の削減にもつながります。
当社は、これらのソリューションの提供を通じてインフラ分野のDXを推進し、社会課題の解決に貢献していきます。

- *9 建築物の設計・施工から、維持管理、修繕、最終的な解体・廃棄までに要する費用の総額のこと