電子化とデジタル化の違いとは?電子化のメリットや導入ステップを解説

2023.03.24

電子化とデジタル化の違いとは?電子化のメリットや導入ステップを解説

電子化とデジタル化の違いとは?電子化のメリットや導入ステップを解説

近年、紙媒体の削減を目指すペーパーレスの取り組みはあらゆる分野で注目を集めています(ペーパーレス化と電子化は同義)。SDGsなど環境への取り組みとしてだけでなく、業務効率の向上などにも良い影響を与える取り組みとして電子化は考えられているため、企業一丸となって臨む価値がある取り組みといえるでしょう。

そこで当記事では、電子化の基本情報やメリット・デメリット、導入ステップなどをご紹介します。これからペーパーレスに取り組もうとしている方はぜひ参考にしてみてください。

電子化とは、企業内で保管・発行した資料などの紙媒体を電子媒体に変換することを指します。ペーパーレス化と呼ばれて認識されていることが多く、環境面や業務効率の面で良い影響を与えるとして期待されている取り組みです。

例えば、経費で処理する領収書を紙媒体で受け取ったとき、それを保管用にスキャンしてデータ化するなどして電子化を行ないます。そうすることで、紙媒体を保管する余計なスペースが不要になり、保管場所の費用などのコスト削減や紛失するリスクの軽減が可能となります。

電子化と一緒に使われることの多い用語として「デジタル化」があります。デジタル化とは、ITなどのデジタル技術を活用して業務プロセスの効率化、質の向上を図ることです。電子化はデジタル化という取り組みの一部として認識されており、「電子化したデータなどを利用して、デジタル化を図る」といったように扱われます。つまり、デジタル化と電子化は相互関係にあり、電子化なくしてデジタル化は成立しないのです。

電子化はデジタル化の一部であるという旨を解説しましたが、それぞれの違いをより正確に把握するためにも以下3つの視点から違いを確認しましょう。

【電子化とデジタル化の違いが分かる3つのポイント】

  • 変換対象の違い
  • 目的の違い
  • 段階の違い

これら3つの項目を知っておくことで、「電子化の取り組み」「デジタル化の取り組み」の違いを正確に知ることができ、実際に取り組む際の計画決めなどに役立つでしょう。

変換対象の違い

電子化とデジタル化では変換対象が異なります。電子化は「紙媒体」を電子媒体として利用できるように変換し、デジタル化は「アナログデータ」を電子データとして利用できるように変換します。つまり、紙を電子ファイルへと変換するのが電子化、アナログ的に管理されているデータを電子上で効率的に活用できるデータへと変換するのがデジタル化です。

アナログデータ(アナログ情報)とは、いわゆる電子上で活用できる状態のデータからみたら非効率に感じられる情報のことを指しており、外部から受け取る領収書や見積書などのように、自社のシステムやデータベースなどにすぐに取り込むことのできないものをアナログデータと言うこともあります。

目的の違い

電子化とデジタル化にはそれを行う「目的」の違いもあります。それぞれの目的は以下の通りです。

【電子化とデジタル化の目的】

  • 電子化:紙媒体をデジタルデータ化することが目的。
  • デジタル化:電子化したデジタルデータを、業務効率化やプロセス改善などに役立てるために活用することが目的。

つまり、電子化の目的は狭いですが、デジタル化の目的は効率化や改善などと範囲が広いです。また、デジタル化の目的は電子化の目的に比べると抽象的になりやすいので、デジタル化を進める明確な目的を持つ必要があるでしょう。

段階の違い

電子化とデジタル化の段階の踏み方を知っておけば、違いをより把握しやすくなります。電子化はデジタル化を進めていくための第一歩として考えられています。請求書やファクス文書といった紙媒体で発生するものを、電子化することで既存の情報管理がしやすくなります。

デジタル化はその次の段階の工程とされており、電子化したデータを活用して業務効率化やプロセス改善を行なっていくのが一般的です。デジタル化は一気に進められるものではなく、電子化ありきの取り組みであることを理解し、どういった段階で進めていくものなのかを知れば、電子化とデジタル化の違いをより明確に知ることができるでしょう。

電子化とデジタル化の違いを把握できたら、電子化のメリットを把握しましょう。電子化のメリットを知ることで、電子化を推進する価値を再確認でき、デジタル化へと繋いでいくことができます。

【電子化のメリット】

  • 業務効率化に繋がる
    └紙媒体のものをデジタルデータに変換することで、パソコン内での管理が容易となります。そのため、業務にかかる負担を軽減でき、時間の短縮にも繋がるため、効率化が実現します。
  • デジタル化を推進できる
    └デジタル化を進めるには電子化が必須です。電子化を進めれば、デジタル化に取り組むことができるようになるため、デジタル化を推進しようとしている方にとって電子化は必須の取り組みとなります。
  • コスト削減に繋がる
    └紙媒体が電子媒体に変換されれば、自然と保管場所が不要になったり、検索コストや管理コストが軽減したりします。

電子化のメリットを把握したら、デメリットも併せて確認しておきましょう。

電子化のデメリット

  • 重要書類の保管は法律に従わなくてはならない
    └書類の保管は法律に従って行わないと、書類の効果が無くなってしまう可能性があります。また、電子帳簿保存法を踏まえた対応が求められます。
  • システムに問題があると書面の確認ができない可能性がある
    └電子化すると基本的には自社のオンプレミス型のシステム内か、クラウドのサービス内に保管するケースがほとんどです。しかし、それらのシステムがダウンしてしまうとデータを確認できない可能性が高まります。

電子化は、不動産業のように電子化できない特定の書類がまだある場合には、業務の運営状況を踏まえて進めるべきですが、製造業のように多くの書面を電子化できる場合には積極的に進める価値があります。以下のステップを把握しておけば、すぐにでも電子化に取り組んでいくことができます。

【電子化の導入ステップ】

  • 電子化する書類を絞る
  • 電子データの保管方法を決める
  • 運用ルールを策定する
  • 電子化を進める

1.電子化する書類を絞る

まずは、電子化する書類を絞りましょう。紙媒体で扱う書類を全て電子化できれば効率は大幅に向上しますが、すべてやろうとするとかなりの時間を要する可能性があります。効率よく電子化を進めるためにも、ある程度種類を絞ったうえで電子化の推進をしていきましょう。

書類を絞る際は、書類の使用頻度や重要度など一定の基準を決めたうえで選定するようにしてください。あまり効果の薄い書類を選定してしまうと、電子化に取り組む社員のモチベーションが低くなって電子化がうまく進まない可能性が出てきてしまうでしょう。

2.電子データの保管方法を決める

電子データの保管方法は一つではありません。自社ネットワーク内に保管用システムを構築したり、USBメモリを使用したり、クラウドストレージを使用したりといった方法があります。自社内で独自に管理したい場合はシステムを導入するのがおすすめですが、特にこだわりが無いという方はクラウドストレージがおすすめです。

近年、クラウドストレージはセキュリティー面での性能も向上しているため、安心して利用できるサービスの一つとなっています。また、クラウドストレージなら、データを別管理して紛失に備えている種類のものもあるため、データ紛失・情報漏えいの対策も十分に可能です。

3.運用ルールを策定する

電子化をする書類の保管方法を決めたら、運用ルールを策定します。ルールとしては、ファイル名の設定方法やファイル削除のルール、それらを行なうことのできる権限者の決定などが挙げられます。ルールに基づいて行わないと、後から管理の手間が増えるなどの問題が発生する可能性があるため、注意が必要です。

4.電子化を進める

運用ルールの策定が完了したら、電子化を実際に進めていきます。電子化を進める際は、自社の機器を使用してスキャンを繰り返していく方法や、アウトソーシングしてスキャン代行を頼むといった方法などがあります。

自社で行なえば書類に記載されている情報の漏えいを防ぐことができますが、工数がかかってしまうというデメリットもあります。反面、アウトソーシングの場合は、情報の取り扱いに関する契約をしっかり結ばないと情報が漏えいする可能性があるものの、完了までの工期短縮が図れる期待が見込めます。自社の運営状況や人材の余裕度合いなどを加味したうえで、最適な方法を行なっていきましょう。尚、当社では、効率的にスキャンを実施できるソリューションを提供しています。

電子化を実際に進めていくにあたり、成功事例を知っておけば取り組んでいく際の目安にもなるでしょう。また、事例を知ることで電子化を進める価値を再確認することにも繋がります。

以下では3つの事例を紹介しますので、参考にしてみてください。

【A社様の成功事例】

A社様では、大量のファクス注文による用紙補給や仕分けに手間がかかるなどの課題があり、それらを改善することでコスト削減や業務効率化を図りたいという要望がありました。そこで、富士フイルムビジネスイノベーションが提供する「ペーパーレスファクス」「DocuWorks」を導入することで、「仕分け処理の手間の削減」「ペーパーレス化によるコスト削減」といった効果を得ることができました。

【B社様の成功事例】

B社様では業務プロセスの中で発生した、「紙による業務が多く、オフィスのフリーアドレス化が困難」という課題に対する改善に取り組みました。実際に行なった内容としては、「DocuWorks」の導入です。このツールを導入することによって、紙に印刷して回覧していた書類などを電子化することができ、「保管スペースの削減」「フリーアドレス化とリモートワークの実現」といった効果を得ることができました。

【C社様の成功事例】

C社様では、紙の文書を保管するスペースに余裕がなくなっているといった課題や、組織間で書類のやりとりが煩雑化しているといった課題がありました。そこで実際に取り組んだのが、文書管理ソフトウェア「DocuShare」による紙文書の電子化や、「DocuWorks」と「Working Folder」を活用したワークフローのシステム化です。これにより、文書を電子上で一元的に保管できるようになり、また、組織間でやりとりしていた情報も電子上で管理することができるようになりました。

電子化とは、企業内で保管・発行した資料などの紙媒体を電子媒体に変換することを指します。デジタル化と比べて行う目的や変換対象が違う点には注意が必要です。デジタル化を推進するための第一歩として取り組まれることの多い電子化は、業務効率化やコスト削減といったメリットがあるため、実施するだけでも一定の効果を見込めます。

そのため、紙媒体での管理が主となっている製造業などでは、まず電子化を進めていき、ある程度の効率化などが見込めたタイミングでデジタル化を図ると良いでしょう。もしそういった段階を踏むことに時間がかかりすぎることが懸念される場合には、富士フイルムビジネスイノベーションが提供する「DocuWorks」などを活用して効率よくデジタル化を進めるのもおすすめです。

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