2025.03.24
2025年問題とは?2030年問題とは?
企業が直面する課題とその解決策

2025年問題、2030年問題――よく目にする言葉であり、未来の問題であるかのように感じがちですが、2025年の現在、まさに私たちの社会が直面している問題です。この記事では企業において「どのような問題が起こるのか」、また「どのように対策するべきか」について詳しく解説していきます。
2025年問題や2030年問題とは?
2025年問題とは?
「2025年問題」とは、日本国民の団塊世代(1947~49年生まれ)が全員75歳以上となり超高齢化が進むことで、医療や介護の需要が増え、社会保障制度や医療・介護の体制に大きな負担がかかる問題を指します。
なお、高齢化率は2025年に約30%、2040年には約35%に達する見込みです。また、社会保障給付費は2025年の約140兆円から2040年には190兆円までになると予測されています。
年度 | 65歳以上 (日本人口) |
高齢化率 (65歳以上) |
75歳以上 (日本人口) |
社会保障給付費 |
---|---|---|---|---|
2018年 | 約3,550万人 | 約28% | 約1,800万人 | 約121.3兆円 |
2025年 | 約3,677万人 | 約30% | 約2,180万人 | 約140兆円 |
2030年 | 約3,716万人 | 約31% | 約2,280万人 | 約163兆円 |
2040年 | 約3,920万人 | 約35% | 約2,239万人 | 約190兆円 |
※2030年の社会保障給付費は独自に推移計算で算出
要約元データの出典:
~高齢化~
~社会保障給付費~
2030年問題とは?
「2030年問題」とは、2025年問題(団塊世代の超高齢化)による社会保障給付費の増加に加え、少子化によるさらなる人口減により、労働力不足が顕著になる社会問題を指します。
これにより、経済成長の停滞や人材獲得競争の激化、人件費の高騰など、企業にも大きな影響があると懸念されています。
2025年問題と2030年問題が社会へ与える影響とは?
経済成長の停滞
少子高齢化が進み、若者の人口の減少に伴い労働人口が減少していくことで、ますます企業の人材確保が難しくなります。
さらに、総人口の減少による国内市場の縮小も重なり、経済成長の停滞が加速します。
人手が減少する時代においては、現在の人材だけで業務を遂行することには限界があるため、働き方を根本から見直し、業務の効率化を進めることが求められます。AIや自動化を活用して、本来の業務に集中できる環境を早期に整えることが不可欠です。
社会保障給付費の増加
超高齢化の影響のひとつとして、年金・医療などの需要が高まり、社会保障給付費の増加が予測されます。
社会保障給付は本来、保険料から支払われますが、保険料のみでは現役世代に負担が集中するため、税金などが充てられており、財政に大きく負担がかかります。
医療・介護体制の崩壊
医療や介護の需要が高まる一方で、医療従事者や介護職の人材不足が深刻化しています。
体制維持が難しくなることで、介護施設の不足や医療サービスの質の低下につながるだけでなく、介護先や入院先の選択肢が減少する事象も見られます。
このような状況は、患者や利用者にとって大きな影響を及ぼすことになります。
2025年問題と2030年問題で企業が直面する問題とは?
深刻な人材不足
少子高齢化が進行し、労働人口が減少するとともに、専門的な知識やスキルを持つ人材の確保が難しくなります。
たとえば、社内のIT担当者が不足することでDXが進みづらくなったり、外部のデザイナーや制作会社に委託する際、高品質かつ信頼性の高い外注先を見つけるのが困難となります。
また、採用コストも増加し、企業の競争力が低下するリスクが顕著になることでしょう。
社員の離職率を下げ、魅力的な企業と感じてもらえる会社環境の整備が急務となります。
ビジネスケアラーの増加
ビジネスケアラーとは、仕事をしながら介護をする人のことです。
介護離職者は毎年約10万人であり、2030年には、家族介護者のうち約4割(約318万人)がビジネスケアラーになる見込みです。
企業は優秀な人材が離職するリスクを減らすために、今まで以上に柔軟な働き方やオフィス環境を提供することが重要です。
後継者不足による廃業
経営者の高齢化が進む中、適切な後継者がいない場合は廃業の可能性が出てきます。
廃業が増えると、一定の雇用や貴重な技術が失われ、日本経済にとって大きな損失となります。そのため、M&Aや事業承継によって企業の成長を後押ししたり、廃業を防ぐ取り組みが不可欠です。
2025年問題と2030年問題で企業が取るべき解決策は?

Z世代、ミレニアル世代への理解を深める
Z世代とは2025年時点で20代前半~30代前半、ミレニアル世代とは20代後半~40代前半の世代を指します。高齢化が進み、人材不足の中、労働力の中心となる世代はZ世代、ミレニアル世代に移り変わっていきます。
これらの世代は「ワークライフバランス」を重視し、個人の成長を優先する傾向があります。また、学校教育でもパソコンが取り入れられるなど、学生時代からインターネットが身近であったデジタルネイティブな世代です。
そのため、スキルアップ制度の導入や、デジタル技術を活用した働き方の導入など多様な価値観に対応していくことが不可欠です。
DXの推進
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して業務プロセスや業務内容を根本的に見直し、改革していくことを指します。
DXを成功させるには単にITツールを導入するだけではなく、業務プロセスの見直しやAIを活用するためのデータの整理も並行して実施していくことが重要です。
あわせて、デジタルリテラシーを持つ人材の育成や経営者層の意識改革も大変重要となってきます。
以下でバックオフィスのDXについて導入の流れや、成功事例をまとめています。
働きたくなる職場環境の構築
人材確保の競争が激化していく中、企業が成長するためには「選ばれる職場」となることが求められます。
選ばれる職場となるには、デザイン性のあるファニチャーを取り入れた見た目の良さだけではなく、制度や業務プロセスを見直し、より柔軟な職場環境を実現することが重要です。業務効率化やデータ分析を進めることで、従業員の負担を軽減し、クリエイティブな仕事に集中できる環境を整えることが求められています。
また、リモートワークやフレックス制度の導入、評価制度の透明化など、社員が働きやすく成長できる仕組みを整えることが、優秀な人材の定着につながります。
企業の存続や成長において「人」は最も重要な資産です。働きたくなる職場環境の構築が企業の競争力を高めるカギとなります。
属人化の解消
特定の従業員だけにしかできない業務が多くある場合、退職や異動の際にノウハウが失われ、場合によっては、大きな財産の損失や生産性の低下が起こります。
そのため、個人に依存する業務を洗い出し、可視化を進めることでノウハウを整理し、共有することが不可欠です。
貴重な知見を次世代に引き継ぐことが企業の継続的な成長のカギとなります。属人化を解消するための方法を2つご紹介します。
1. 業務の標準化
業務の標準化とは、多様化・複雑化してしまった業務を整理し、円滑に行うためのルールを定めることです。これにより、属人化の解消や品質の確保につながります。
業務の標準化の大まかな手順は以下のとおりです。
- 現状業務の洗い出し
- 標準化するべき業務の選定
- 業務フローの見直し
- マニュアル作成と展開
- 運用と改善
富士フイルムビジネスイノベーションの「FUJIFILM IWpro」を活用すれば、組織内の情報や知見を一元管理し、全員で共有できます。属人化したノウハウを標準化し、予期せぬ事業の停滞や品質の低下を未然に防止しましょう。
2. IT担当者業務のアウトソーシング
ITアウトソーシングとは、企業におけるIT関連業務を外部の専門企業に委託することを指します。専門業者に任せることで、最新技術を利用でき、社員が本業に集中できる環境を整えることができます。
ITアウトソーシングの大まかな手順は以下のとおりです。
- IT業務の洗い出し
- アウトソース可能な業務の選定
- パートナーの選定
- 運用と改善
委託する業者には、セキュリティーの担保はもちろんのこと、定期的に改善提案を行い企業の成長を支援してくれる、信頼できるパートナーを選定することが重要です。
富士フイルムビジネスイノベーションの「IT Expert Services」(略称:ITESs アイティシーズ)を活用することで、問い合わせ対応や運用支援だけではなく、IT環境をよりよくするためのレポーティングや改善の提案を受けることが可能です。

まとめ
本コラムでは、2025年問題、2030年問題について解説しました。
2025年問題とは、団塊世代が全員75歳以上となり、超高齢化社会となることに伴うさまざまな問題を指します。
2030年問題とは、2025年問題に加え、少子化によるさらなる人口減により、労働力不足が顕著になることによる社会問題です。
高齢化による労働人口の減少は、社会全体にさまざまな影響を及ぼします。
そのため、企業は時代の変化を正しく知り、柔軟に対応していくことが不可欠です。
計画的に準備を進め、持続的に成長できる企業を目指していきましょう。