2025.03.24
オフィスリニューアル成功のカギとは?
デザインだけではなく業務プロセスの見直しも重要な理由

オフィスのリニューアルを行う際、企業の規模に関わらず、フリーアドレス(自席がないスタイル)を採用する企業が増えています。
このスタイルは、柔軟な働き方を実現し、コミュニケーションの活性化を図るための手段として注目されています。
一方、フリーアドレスを前提としてリニューアルする場合、オフィスをかっこよく洗練されたデザインにするための家具やレイアウトにばかり目が行きがちです。しかし、仕事の環境が大きく変わることから、デザインの検討と並行して業務プロセスの見直しも不可欠です。
業務プロセスの見直しが必要な理由について詳しく見ていきましょう。
オフィスのフリーアドレス化で直面する問題
申請書類の回覧がしにくくなる
現在自席のある方は、机の上をイメージしてください。稟議書の回付用トレイや、自分宛の社内メールが置かれていないでしょうか。
これまでは紙で書類を回付し、誰の机上のトレイにあるかで進捗を確認するケースが多かったはずです。しかし、フリーアドレスにすると自分専用の固定席ではなくなるため、同じ運用はできなくなります。
一人当たりの保管スペースが減る
フリーアドレス化すると、固定席ではあたりまえだった袖机が無くなります。これにより、紙文書を一時的に保管しておくことができなくなります。また、部門共有の保管スペースも少なくなるケースが多く、既存文書の整理や不要物の整理が必要になります。
社員がどこにいるかわからなくなる
従来は固定席で部門ごとに分かれていたため、社員の居場所を簡単に特定できました。しかし、フリーアドレス制度に移行すると、誰がどこに座っているのかを目視で把握しづらくなります。
その結果、報告・連絡・相談の機会が減少し、仕事の遅延が発生した場合など、業務の進行状況がタイムリーに確認できなくなります。
さらに、メンバー同士のコミュニケーションが希薄になることで、孤独感が生まれたり、ノウハウの共有がしにくくなる場合があります。
そのため、新たなコミュニケーション手段の導入を検討する必要があります。
業務プロセス見直しの具体例
前章でお伝えしたように、フリーアドレスを導入するためには、現状気づいていない問題を洗い出し、改善していくことが不可欠です。
では、具体的にどのような業務改善策があるのか、そしてそれをどのように実践していけばよいのかを解説します。
ペーパーレス化やワークフローシステムの導入
自席がなくなり、机上のトレイが使えなくなるため、電子的なワークフローシステムに移行する必要があります。
稟議書や見積書の流れを明確にし、誰がどの段階で何をするのかを定義することも大切です。これにより、ペーパーレス化した後も使いやすいシステムとなり、既存の業務フローとも整合性を合わせることができます。
さらに、従来の書類形式と揃えることで、ユーザーの移行の障壁を低くすることができます。
少しでもストレスや工数を減らし、業務の効率化を図り、スムーズなフリーアドレス導入を目指しましょう。
会社全体でのドキュメントの洗い出しと標準化
ペーパーレス化に当たっては、社員が個別に書類をスキャンして後で余計な手間がかからないように事前に準備が必要です。
まず、全社で利用している帳票を洗い出します。紙書類の運用を継続する帳票(取引先との契約書など)と、電子化する帳票(社内の申請書類など)に分けます。
さらに電子化する帳票については、帳票ごとに保存するファイル形式(pdfやxdwなど)やスキャンする解像度、および保存場所を決めておきます。
こうした準備をしっかり行うことで、誰がスキャンしても、帳票ごとに決められたルールに則った電子化が可能となります。
ファイルやフォルダの命名規則の例
ファイルやフォルダの命名規則を決める際には、以下のようなことを意識してみると良いでしょう。
- 日付ルール(時系列管理)
- 一貫したフォーマット(統一感)
- 半角英数字(システムエラーを防ぐ)
- 長すぎない(20~30文字)
- フォルダ階層を深くしすぎない(3~4階層以内)
日付、あるいは帳票名のどちらを先に配置した方が良いかは業務内容によって変わるため、今後の運用を踏まえて適宜判断しましょう。
【例】日付で進捗確認をする場合
20250227-事業計画書(2025年度)-v01.pdf
20250301-事業計画書(2025年度)-v02.pdf
【例】帳票名で管理する場合
稟議書(AIツール利用の件)-20250227.xdw
見積書(AIツール利用の件)-20250227.xdw
コミュニケーションツールの導入や定例ミーティングの活用
フリーアドレスになるとメンバーや上司がどこに居るか分かりづらくなり、対面での会話の機会が少なくなります。
そのため、チャットツール(TeamsやSlackなど)やプロジェクト管理ツールを導入し、全社員が利用できるようにすることで、どこにいてもコミュニケーションが取れる環境を構築することが重要です。
さらに、個別だけのやりとりだけではなく、定期的なチームミーティングを設け、進捗状況や課題を共有する場を作ることで、チームや組織全体での情報共有ができるようになります。
効果的な企業のオフィスリニューアルのコツ

業務プロセス改善を同時に進める
ペーパーレス化とは、単に紙や作業を電子化することではありません。自身の業務を振り返ってみてください。
例えば、受発注部門では毎日数十通のファクスを処理しているケースが多く見られますが、その中には電子化できるものが含まれていませんか?
または、作成した稟議書を紙に出力して捺印した後、再度スキャンしてPCに保存しているといったことはありませんか?
このように、従来のフローで特に問題なく業務を行えているからといって、それが最適とは限りません。
理想的な企業のオフィスを実現するためには、オフィス家具だけでなく、業務プロセスの見直しも不可欠です。
この機会に業務を可視化し、どの業務を見直すか、あるいは廃止できるプロセスが無いかを検討し、ムダな業務や書類を改善していきましょう。
社員の意見を取り入れる
社員にアンケートを実施し、意見箱を設けることで、現場の生の声を吸い上げることができます。
さまざまなバックグラウンドや経験を持つ社員の意見をまとめるには時間がかかりますが、多様な意見を取り入れる姿勢が重要です。
この取り組みにより、幹部職からは見えなかった現場の作業が可視化され、環境を整理することが可能になります。
また、定例ミーティングや1on1など、社員が意思表明できる環境を整えることも良いでしょう。
意見が尊重されることで、社員は仕事への責任感をより強く持つようにもなります。
エリアに役割を持たせる
業務内容に合わせて働きやすい場所(エリア)を作ることを指します。
例えば、営業が顧客と電話をする際には、集中して電話できるフォンブースのような場所が必要です。
また、雑談をしながら意見を出し合いたいときには、ファミレス席やカフェエリアのように、リラックスできるスペースが役立ちます。
このように、エリアを適切に設計することで、従業員のエンゲージメントを高めることができます。
ソリューションを活用した効率アップ
電子化を進めるにあたって、書類のスキャン時に自動で属性を付与できるようなITツールを導入することで、手間を減らすことができます。
実際にスキャンを行う際、ルールや属性を決めていても手入力では人的ミスが起こるケースがあります。
また、PC側でも帳票に属性を手入力する作業が発生します。これらについても極力自動化することがポイントです。
富士フイルムビジネスイノベーションでは、スキャン作業を自動化する下記のようなソリューションをご案内しています。

まとめ
洗練されたオフィスにするためには、単にかっこよくおしゃれなデザインや家具を検討するだけではなく、業務プロセスの見直しも重要です。
フリーアドレスの導入により、自席がなくなることで作業効率の低下やメンバーの居場所が把握しづらくなるといった課題が生まれます。
本記事では、これらの課題に対する改善策やコツを解説しました。
効率的な業務フローと適切なコミュニケーションツールの導入で、効率的なオフィス環境を実現し、企業全体のパフォーマンス向上につなげましょう。