2025.03.24
ITアウトソーシングとは?
メリット・デメリットや活用方法を詳しく解説

企業活動においてITアウトソーシングは、業務効率の向上やコスト削減に非常に有効です。しかし、そのメリットだけでなく注意すべき点も理解し、活用方法を見極めることが必要となります。この記事では、ITアウトソーシングの意味から具体的な導入事例まで解説します。
ITアウトソーシングとは?
ITアウトソーシングとは、企業におけるIT関連業務を外部の専門企業に委託することを指します。
ここではITアウトソーシングの具体的な定義や種類をご紹介します。
ITアウトソーシングの定義
IT関連業務とは、具体的にはシステム開発・運用、インフラ管理、ヘルプデスク対応など多岐にわたります。委託範囲は企業のニーズによって異なり、全業務を任せる「フルアウトソーシング」から、一部業務のみ外注するケースまでさまざまです。専門家の知見を活用することで、IT業務の負担軽減やコア業務への集中を図り、企業の生産性を向上させます。
ITアウトソーシングの種類
ひと口にITアウトソーシングといってもさまざまな種類があり、それぞれ特長が異なります。以下では、ITアウトソーシングの主な種類と、それぞれの特長について詳しく解説します。
システム開発
システム開発のアウトソーシングとは、業務システムやWebアプリケーションの設計・開発を外部の専門企業に委託することです。自社の課題に合わせたシステムを構築することで、業務の効率化や生産性向上が期待できます。要件定義から設計、プログラミング、テスト、運用・保守まで幅広い工程を任せられるため、IT人材不足の解消にもつながります。
インフラ管理
インフラ管理のアウトソーシングとは、企業のIT基盤であるサーバー、ネットワーク、パソコン、セキュリティーソフトなどの運用・管理を外部の専門企業に委託することです。適切なメンテナンスやトラブル対応を行うことで、安定したシステム環境を維持し、業務の効率化につながります。また、最新のパソコンやセキュリティー対策を導入することで、サイバー攻撃のリスクを軽減し、安全なIT環境の確保が可能です。
ヘルプデスク・サポート
ヘルプデスク・サポートのアウトソーシングとは、社内で発生するIT関連の問い合わせ対応やトラブルシューティングを外部の専門企業に委託することです。24時間対応や多言語サポートを提供するところもあり、社内IT部門の負担軽減と業務効率化につながります。
ITアウトソーシングのメリット
続いては、ITアウトソーシングの導入によって得られるメリットを解説します
専門ノウハウのあるプロに任せられる
企業内のIT基盤の構築・運用・管理は、情シス(情報システム部門)が担っています。しかし、企業によっては、情シス担当者がITシステムやテクノロジーに関して未経験、あるいは経験が浅いケースや、そもそも総務の担当者が兼任しているなどで専任の担当者がいないケースもあります。その場合、対応できる業務が限られ、多くの時間を要してしまう可能性があります。
IT分野は日々進化しており、新しい技術やトレンドを追い続けるのは容易ではありません。そのため、専門知識を持つプロフェッショナルに業務を任せることで、難しい問題の解決が可能になり、さらに解決スピードも早めることができます。
本来の業務に集中できる
情シス担当者は、業務ツールの日々の不具合対応やOSのアップデートのたびに1日に何度も同じような問い合わせが来るなど、社内で発生したITトラブルへの対応に時間をとられてしまいます。これらの業務を外注することで、情シス担当者が本来注力すべきコア業務に集中できるようになり、新しいシステムの企画立案やDX推進、業務改善に注力することができます。
また、ノンコア業務に対応していた時間を、最新の技術やノウハウ習得の時間に充てるなど、社員のさらなるスキルアップも期待できるため、企業全体の生産性向上にもつながります。
コスト削減できる
アウトソーシングは依頼する業務内容に応じた料金を支払う必要があるため、コストが増加するととらえられがちです。しかし、実際には、自社でサーバーやパソコンを整備し、維持管理を行うよりもコストを削減できる場合があります。
外注を行うにあたり費用はかかりますが、業務の専門家に任せることで人件費や残業代の削減につながります。さらに、コア業務への注力が可能になれば生産性の向上も期待でき、結果として全体的にコスト削減が見込める場合があります。
ITアウトソーシングのデメリット
ITアウトソーシングには多くのメリットがある一方、いくつかデメリットも存在します。主なデメリットとしては以下のようなものがあります。
アウトソーシングの外注先により品質がばらつく
ITアウトソーシング市場は2029年までに年平均5.48%で成長すると予測されており(2024年時点予測)、これからも増えていくことが予測されます。さまざまなサービス提供元があるからこそ、自社が委託したい業務の内容と合致するか、しっかりと選定することも重要です。
コスト重視で選定を進めてしまうと、想定していたサービスとは異なっている、技術レベルが足りないなど、トラブルが発生する可能性があります。コストを重視しすぎず、費用とサービス・過去の実績のバランスを見て、自社の目的に合った発注先に依頼することが大切です。
情報漏えいのリスクがある
アウトソーシングでは、外部企業に自社の情報を渡すため、その分情報漏えいのリスクが高くなります。そのため外注先を選定する際は、セキュリティー体制・機密情報取り扱いのポリシー・ISMSなどの認証の取得状況・従業員教育の内容など事業実態を入念に確認して、信頼できる会社を選定することが重要です。
また、秘密保持契約の締結や、情報へのアクセス権限を制限することも有効な対策となります。
社内システムの状況が把握できなくなる
ITアウトソーシングは便利である反面、あまりに任せきりになると、社内の人員が自社のIT関連状況を把握できなくなる恐れがあります。
これを防ぐには、外注先と密なコミュニケーションを取り、業務の進捗や目的を把握する体制を整えることが重要です。将来的に自社内で運用することも視野に入れ、ノウハウを自社に引き継げるようにすることも対策のひとつとなります。
アウトソーシングに向いている業務
ITアウトソーシングを活用すれば、さまざまな業務を外注できます。しかし、外注にはリスクも伴うため、どの業務をアウトソーシングすべきか慎重に判断することが重要です。ここでは、アウトソーシングに向いている業務と、選択のポイントについて解説します。
問い合わせ対応

同じ問い合わせへの再三の対応や、解決に多くの時間を要する対応のために、ほかの業務に手が回らなくなるケースが多く見受けられます。限られたリソースで対応することで、業務効率が低下する可能性もあります。
こうした負担の軽減には、アウトソーシングが効果的です。外部の専門チームに任せることで、日々の問い合わせ対応やシステム障害への対応がスムーズになり、本来の業務やIT企画に集中できるようになります。
IT企画/計画
業務プロセスを分析し、最適なITソリューションを導入することは業務効率化につながります。しかし実際にはうまく活用できず、取り入れた仕組みが形骸化してしまうこともあります。こうした課題の解決にも、アウトソーシングを役立てることができます。
具体的な例として、リモート監視を行い、システムの稼働状況や異常の有無をモニタリングして、IT環境の利用状況を見える化できます。さらに、収集したデータからレポートを作成し、課題や改善策の提案も可能です。このような専門的なサービスを導入することで、IT資産の管理がしやすくなり、より戦略的なIT企画や計画、運用が可能となります。
セキュリティー対策
IT環境の整備が遅れると、セキュリティー面のリスクが増大する可能性があります。しかしアウトソーシングを利用すれば、最新のネットワーク環境の活用や、IT資産や利用状況の管理を可視化することができ、セキュリティーリスクの低減にもつながります。継続的な運用管理を通じて、必要なセキュリティー対策を講じることで、安全なIT環境を維持できます。
属人化した業務
1人で情シスを担当しているなど、少人数でIT管理業務を担う体制では、情報共有やマニュアル化がされず、業務が属人化する傾向があります。この状態では、担当者が急に業務を遂行できなくなった際、社内のITが停滞し、業務に深刻な影響を及ぼす恐れがあります。
情シスのアウトソーシングを導入することで、万一の事態でも業務が円滑に継続でき、属人化のリスクを抑えられます。また、アウトソーシングによりコア業務へ集中しやすくなり、生産性向上と業績の改善が期待できます。
失敗しないためのポイント
ITアウトソーシングの導入は、慎重に進めることが重要です。失敗しないためのポイントを3つご紹介します。
契約内容を明確にする
ITアウトソーシングを成功させるには、契約内容を明確に定めることが不可欠です。業務範囲や品質基準を具体的にすり合わせることで、認識の違いを防ぎ、トラブルを未然に防止できます。このやり取りを通じて外注先との信頼関係が築かれ、業務品質の維持やスムーズな運用も期待できます。
改善提案をしてくれるパートナーを選ぶ
IT領域は常に進化しており、自社のIT環境をより良くするためには、定期的なミーティングや報告を通じて柔軟な提案をしてくれるパートナー選びが重要です。例えば、ソフトの変更が必要になった場合、自社に負担をかけずに対応策を提案してくれるかどうかを確認してみるのも一つの手です。ともに課題解決を目指すパートナーとして、信頼関係を築いていけることが理想です。
スモールスタートできるサービスを選ぶ
スモールスタートでの導入は、外注先の能力や相性を見極めるために効果的な方法です。小規模なプロジェクトから始め、業務の進行方法やパートナーとの関係を深めていくことで、リスクを抑えられます。段階的に業務範囲を広げることで、コスト面でも無駄を避けられるという利点があります。
導入事例
企業のIT運用における課題解決の一例として、富士工業様の事例を紹介します。
富士工業様の事例
富士工業様は、ITシステム担当者の退職後、専門的なIT支援を必要としていました。当初は総務部員がIT運用を担っていましたが、トラブル発生時の復旧対応に時間を要し、セキュリティー対策も未整備であったため、富士フイルムビジネスイノベーションの「IT Expert Services」を導入しました。
これにより、日常的なIT管理からネットワーク障害への対応まで、包括的な支援を受けられる体制が整いました。専門的なアドバイスをもとにIT機器管理やセキュリティー対策を強化し、取引先からの信頼も向上したようです。システム運用の安定化と社員のセキュリティー意識向上にも成功した事例といえます。
ITアウトソーシングを活用するコツ
ITアウトソーシングを効果的に活用するためには、以下のポイントをしっかりと押さえることが大切です。
アウトソーシング可能な業務を明確にする
DX推進において、IT人材の確保や増え続ける社内のデータ・ドキュメントが課題となる中、ITアウトソーシングの活用がひとつの解決策として挙げられます。しかし、その前に自社の現状を把握し、どの業務がアウトソーシングに適しているかを明確にすることが重要です。業務プロセスを見える化し、人手不足やスキル不足、属人化した業務を特定することで、最適なアウトソーシングの活用方法を見つけられます。
外注先との関係性を強化する
外注先を単なる業務委託先ではなく、ビジネスをともに強化するパートナーとして位置づけることが重要です。定期的なコミュニケーションを通じて進捗状況を把握し、問題の早期発見に努めましょう。チェックポイントを設け、柔軟に調整できる関係を築くことが成功のカギです。
継続的に振り返りを実施し改善につなげる
アウトソーシングは、契約後も継続的な振り返りが欠かせません。成果や業務の効率化状況を分析し、改善策を見出しましょう。
問題が発生した場合は、外注先と連携して対応し、課題解決を図ることが重要です。業務の変化を把握し、必要に応じて契約内容の見直しを行い、最適化を進めましょう。
おすすめのソリューション
ビジネスの成長や業務の効率化を図るためには、最適なソリューションを選ぶことが非常に重要です。最後に、おすすめのソリューションを紹介します。
IT Expert Services
「IT Expert Services」(略称:ITESs アイティシーズ)は、IT環境の改善と運用支援を担うパートナーです。単なる問い合わせ対応や運用支援にとどまらず、定期的なレポートでIT資産や状況を見える化し、改善提案によって業務の停滞を最小限に抑え、IT環境の最適化を図ります。
拠点の増加やリモートワーク導入など、さまざまな企業のニーズに対応し、トラブル時には迅速なリモート対応や現地訪問によるサポートを提供します。これにより、IT担当者が不在でも業務がスムーズに進行し、業務負担の軽減と効率化を実現できます。

詳しくは公式サイトをご覧ください。
beat
「beat」は、ITリソースが限られた中小企業に最適なネットワークの構築と、運用管理を支援するソリューションです。セキュリティーリスクやネットワーク障害に備え、業務を止めない体制を提供します。テレワークやクラウド活用を進めたい企業に、専門知識がなくても簡単に導入できる環境を整えます。
24時間365日のリモート監視に加え、全国に広がるカスタマーエンジニアによる現地サポートも特長です。導入後は、オールインワンでの管理で、日々の運用が効率化されます。セキュアなネットワーク環境を手軽に整えられるため、DX時代にぴったりなサービスです。
詳しくは公式サイトをご覧ください。
まとめ
企業のIT業務を専門企業に委託する「ITアウトソーシング」にはシステム開発やインフラ管理、ヘルプデスク対応などが含まれ、業務効率化やコスト削減などのメリットがあります。一方で、サービス品質のばらつきや情報漏えいのリスクも伴うため、契約内容を明確にし、信頼できるパートナーを選ぶことが重要です。 自社の状況に合わせたITアウトソーシングを利用して、より良いIT環境を構築していきましょう。