コラム

これだけは押さえたい!
プロが教えるDMデザイン・レイアウトのコツ

ネット時代でも紙のダイレクトメール(DM)が効果的な理由

インターネットが情報発信の主流となった現代でも紙のDMは独自の強みを持っています。ここでは、紙DMが効果的な理由を紹介します。

■紙DMの開封率は約7割

一般社団法人日本ダイレクトメール協会の「DMメディア実態調査2023」によると、紙DMは、約7割の開封率を誇る一方で、メルマガの開封率は11~30%程度です。特に、宛名のある紙DMの閲読率は約75%に達しますが、宛名がない場合は約26%に留まります。それでも、デジタル媒体と比べると、紙DMは依然として高い効果を発揮しています。

■紙DMを受け取った約2割の人が何らかの行動を起こしている

紙DMを受け取った約2割の人が、そのあと何らかの行動を起こしています。なかでも「内容についてインターネットで調べる」人の割合が最も多く、全体の10%を占めています。

DMのデザインにこだわる重要性

「DMメディア実態調査2023」では、以下のようにDMの内容によって開封率が異なることがわかっています。

購入・利用経験ありの人

DMの内容 開封率
役所などからの案内 62.0%
利用明細・請求書 53.5%
クーポンの案内・プレゼント 44.0%
特売・セール・キャンペーン案内 43.5%
新商品・サービスの案内 38.5%

購入・利用経験なしの人

DMの内容 開封率
クーポンの案内・プレゼント 54.1%
特売・セール・キャンペーン案内 49.7%
試供品の案内・プレゼント 43.2%

このように、役所からの案内や請求書などの重要な内容や、クーポン、特売やセールなど、具体的なメリットが明確に示されているDMは開封率が高い傾向にあります。

開封率を上げるには、具体的なメリットをわかりやすく伝えられるデザインが重要なポイントです。ここでは、DMのデザインにこだわる重要性を詳しく見ていきましょう。

■DMの開封率アップに直結する

DMの効果を高めるには、まず受け取った人に開封してもらうことが不可欠です。手もとに届いても、デザインが魅力的でなければ、興味を持たれずにそのまま捨てられてしまう可能性もあります。

開封率アップのためには、受け取った側が「読んでみたい」と思うような要素を取り入れたデザインにすることが大切です。

■企業イメージの向上につながる

DMは企業と顧客との重要な接点の一つで、そのデザインが企業イメージに直結します。特に、デザイン性が求められる美容やアパレル業界では、デザインの質が低いと企業の信頼度にまで悪影響をおよぼす可能性があります。

したがって、DMのデザインには十分な配慮が必要です。質の高いデザインは企業の品質や価値観を効果的に伝え、企業イメージの向上につながります。

DMをデザインする前の準備

ここでは、DMデザインの制作前に押さえておきたい6つのポイントを紹介します。

1.DMを送る目的やゴールを設定する

目的を明確にすると、DMの内容やデザインに一貫性が生まれます。例えば、既存顧客の場合はリピート注文やほかの製品の提案を、新規顧客の場合は初回購入の促進を目的に定めるとよいでしょう。

2.DMを送るターゲットを整理する

ターゲットが具体的であるほど、ニーズや興味に合わせた情報を提供でき、DMの効果が高まります。

ターゲットを選定する際には、CPM分析(Customer Portfolio Management)が有効です。CPM分析では、購買データをもとに顧客を10のセグメントに分類し、それぞれの特性に応じた施策を実施します。例えば、いつもご利用いただいている優良顧客には、特別感や限定感を出した内容や特典を、初めて購入した顧客には会社のこだわりや強みを伝えることで、信頼感が高まり、リピートに繋がります。CPM分析を活用すると、顧客の状況を正確に把握でき、長期的な顧客育成やLTV(顧客生涯価値)の向上につなげられます。

3.パーソナライズDMを検討する

パーソナライズDMは、顧客の購買履歴や好みを分析し、個別に最適化されたコンテンツを提供する方法です。パーソナライズされたDMはただの広告ではなく、顧客にとって価値ある情報源となるため印象に残りやすく、反応率を高められます。

「DMメディア実態調査2023」によると、全体の60%がパーソナライズDMを経験しており、そのうち44.5%が一般的なDMよりも、パーソナライズされたDMを開封したいと考えています。

4.伝えるメッセージを1つに絞る

1回のDMで紹介する商品やサービスを1つに絞ると、明確で強力な訴求が可能となり、購入や問い合わせにつながりやすくなります。

反対に、複数の商品を紹介すると受け手の興味が分散し、効果が薄れる可能性があります。そのため、シンプルな構成を心がけ、メインメッセージが明確に伝わるように工夫しましょう。

5.受け取り手の行動をシミュレーションする

DMを作成する際には、受け取り手がどのように行動するのかをシミュレーションすることが重要です。DMが届いてから購入や問い合わせに至るまでのプロセスで、ターゲットの心の動きを想像しながら、「興味を引くか」「共感と好感を得られるか」などのポイントを確認します。また、文字の読みやすさや誤字脱字なども注意深く見直しましょう。

特にDMが完成に近づくと、売り手目線に偏りやすいため、一度ターゲットの立場になって確認することが大切です。

6.DMを構成する要素を把握する

効果的なDMを作成するためには、以下の5つの要素をバランス良く配置するようにしましょう。

要素 解説
キャッチコピー キャッチコピーはDMの核となる要素です。紙面の4分の1から3分の1をキャッチコピーに割くと効果的です。
ターゲットへの呼びかけ・挨拶文 製品やサービスの説明に入る前に、顧客に向けた呼びかけを行なうと、受け取り手に「自分ごと」と感じてもらいやすくなります。例えば、「〇〇が気になる方へ」「〇〇に悩んでいる方へ」など、具体的な呼びかけが効果的です。
商品・サービス説明 自社商品・サービスの魅力や顧客にとってのメリットを簡潔に伝え、興味を引くようにしましょう。Webページへのアクセスや問い合わせを促す際、必要以上に情報を詰め込まないのがポイントです。
特典 割引券やクーポン、プレゼント、イベントへの招待など代表的な特典をDMに記載すると、顧客の興味を引き、購買行動を促進できます。
問い合わせ 問い合わせ先の電話番号やメールアドレス、専用のWebページへのQRコードなどを記載します。また、展示会や店舗イベントの場合には、地図を記載すると来店を促進できます。

目を引くDMデザイン・レイアウトのコツ

DMを送付する目的やターゲット、伝えたい内容などが決まったら、それに合ったDMデザインを考えます。ここでは、目を引くDMデザイン・レイアウトのコツを4つ紹介します。

■訴求したいポイントが目立つように配置する

キャッチコピーや店舗名、サービス名、電話番号などは、視線を引く場所に大きく掲載します。横書きの場合は左上、縦書きの場合は右上が最も目立つ位置です。また、キャッチコピーに合わせたイラストや写真を大きく配置すると、視覚的なインパクトを与えられます。

■視線の流れを意識してZ型またはN型にレイアウトする

印刷物を見るときの視線の流れには、Z型とN型の法則があります。横書きの場合は左上から右下へと視線が流れるZ型、縦書きの場合は右上から左下へと流れるN型です。視線の流れを意識して要素を配置すると、内容がスムーズに伝わります。

最も伝えたい情報や写真は、視線のスタート地点である左上(横書き)や右上(縦書き)に配置すると効果的です。また、文字の大きさは視線の始まりを大きくし、流れに沿って徐々に小さくすると読みやすさが向上します。

■目的や内容に適した色やフォントを使用する

DMのデザインでは、季節やイベントに合わせた色やフォントを使用します。例えば、春には桜や新緑を連想させるピンクや緑、夏にはブルー系やオレンジを使用すると季節感を表現できます。

フォントも、ターゲットやコンセプトに合わせて選びましょう。例えば、明朝体は知的で繊細な印象を与え、ゴシック体は力強く安定感のある印象を与えます。1つのDMで使うフォントは多くても3種類以内にすることで、全体の印象を統一できます。

■目を引く写真や画像を掲載する

DMのデザインでは、目を引く写真や画像を効果的に使うのがポイントです。写真を1枚使うだけでも、イメージやコンセプトを十分に伝えられます。メインとなる1枚を大きく配置しましょう。例えば、働くスタッフや商品の写真などを大きく使うと効果的です。

【ハイネット様】DMのレスポンス率の改善事例

株式会社ハイネット様の導入事例では、顧客の購買傾向をもとにセグメント分析を行なったことで、DMの来店率が従来の7~8%から12~13%に向上し、売上も2,500万円増加しました。

「Marketing Cockpit」では、プロによるサポートが受けられるため、社内に専門知識がなくても安心して導入できます。まずは簡単な相談でも構いませんので、お気軽にお問い合わせください。