Cross TalkMarketing Seminar
全日本DM大賞最新事例からみる
『事例から学ぶ、顧客と
フィジカルにつながる
DM活用とは』
2021年12月9日富士フイルムビジネスイノベーション 主催
この記事の概要
- Cookie規制に伴うデジタル広告の効果低下などにより、紙施策を見直す動きが広がっている
- 施策効果を上げるには「あなたに」の施策が重要。実現に際してのポイントは「データの統合と分析」
- 店舗POSとECサイトのデータを統合し、オムニチャネル施策を推進したアパレルメーカー様事例をご紹介
- パーソナライズとオムニチャネル推進を支援する伴走型アウトソーシングサービスをご紹介
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フュージョン株式会社
エグゼクティブ マーケティング
ディレクター吉川 景博 氏米DMA公認ダイレクトマーケティングプロフェッショナル/一般社団法人 日本ダイレクトメール協会/ダイレクトマーケティング委員長/全日本DM大賞審査員/講師/共著書「新DMの教科書(宣伝会議)」
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富士フイルムビジネス
イノベーション株式会社大森 正太郎2015年入社。入社以来、WEB/業務アプリケーションのSEとして活動。現在はお客様のMarketing DXを実現するソリューションの企画・開発からお客様への活用支援に従事
Session.02
DMの効果を最大化するには
『あなたに』の施策が重要
大森:私たちは家に届くDMを見るものと見ないものに区別していますが、しっかり顧客目線で選ばれる(見てもらえる)理由を作るにあたって、企業はどのようなことを重視すべきでしょうか。
吉川:とある企業で、ライフタイムバリュー(LTV)を上げる目的で、直近1年間で一定の⾦額を購入した顧客に対して『優良顧客DM』を実施しました。そのDMには、『あなたはこのDMが届いてから1年間はこのような特典が受けられます︕』と訴求しました。同時に、直近1年間未購入ですが、以前には一定の購買をしたことのある顧客(元優良顧客)に対しても同じDMを送りました。すると、前者のレスポンスは70%と非常に高かったのですが、後者の一年離反顧客の購入は34%もレスポンスがあったんです。離反顧客に対しての反応としては、すごいと思いませんか︖
大森:すごいですね!かなり高いレスポンスですが、ポイントは何でしょうか。
吉川:直近1年未購入の顧客に対しては、その1年間なにもアプローチしていないわけではなく、⺟の⽇や父の⽇、中元やお歳暮、クリスマスなど、季節ごとに様々なDMを送ってました。それらのアプローチには一切レスポンスがなかったにもかかわらず、この『優良顧客DM』では高いレスポンスがあったのです。因みに大森さん、企業から季節ごとに何かDMは届きますか︖
大森:今の季節だとクリスマスケーキのDMがよく届きますが、そのDMがきっかけで買うということは少ないかもしれませんね。
吉川:そういった季節催事のDMは、その時期になったからそれに応じた商品を買ってほしいという、企業が顧客『みんな』にアプローチするコミュニケーションかと思います。
ですが、先ほどお話した優良顧客向けDMは『みんなに』ではなく『あなたに』というコミュニケーションです。この『みんなに』と『あなたに』に大きな差があると思っています。
あらためて『あなたに』というコミュニケーションは様々あります。
例えば「直近1年間は何も購入していないけど、以前は一定の購買をしたことのあるあなたに」というのは『あなたに』ですし、「これを買ってくれたあなたにはこれがお勧めです」もやはり『あなたに』です。または、「最近買ったばかりの顧客に、最近買ってくれたあなたへ」という訴求も『あなたに』です。『あなたに』や『みんなに』と、そういったシナリオを年間通して組み⽴てることが、それぞれの顧客にDMを⾒てもらうための大事なポイントだと思います。
大森:『あなたに』即ち『パーソナライズ』を目指そうとした時には、『誰に何を伝えるべきか』について、データに基づき探る必要がありますよね。しかしDMにはやはり紙ならではのハードルがあるのも事実です。
『そもそも効果測定が難しい』、『効果測定しようにもデータがバラバラで処理が必要』、『分析の観点が多くて手間がかかる』など。このように、データの集計から分析はボトルネックになりがちで、そこに悩まれてるお客様も多いように感じます。
吉川:店舗とEC購入顧客のデータが整合できてないという話もよくお聞きしますね。
大森:あとは、DMを送付した顧客リストと、買ってくれた顧客リストが別で突合が大変とか。
こういったボトルネックが解消できないと負のスパイラルに陥り、『みんなに』の施策を続けるしかないというケースも多いです。
吉川:そうですね。あるいは、売上を上げたいから『みんなに』送った方がいいとか、リストのセグメントが大変だから『みんなに』でいいじゃない、という感覚をぬぐい切れないケースもありますね。
大森:『あなたに』をそれぞれの顧客にしっかり届けて、効果のあるDMにするためのポイントは何でしょうか?
吉川:まず、マーケティング全体の『戦略』がしっかり設計されているかどうかだと思います。
『来店・利用回数』や『購入点数』などの目標値を実現するために、どのタイミングで何をするか。ターゲットに何を伝え、どんなアクションをしてもらいたいか。これらについてしっかり整理し、戦略全体設計ができてから、DMやEメール等、個々の施策(戦術)の設計に入ることがポイントです。
吉川:『戦術』に関してもいろいろな要素の検討が必要で、例えばDMひとつをとっても、以下のようなこと(スライド:DM企画における10のポイント)が総合的に考えられていないと大きな成功には結び付きません。
さらに、施策の実施が終わったら効果検証して『 PDCAを回す』ことも大事ですね。
大森:結果に結びつけて行くためには、さっきお話にあがったように『ボトルネックを解消する(データ周りの不便さを解消する)こと』や、『メディアを限定せず、オムニチャネルでお客様とコミュニケーションをとること』が重要になってきますよね。
私たちは『データ統合』を、それらを実現するためのポイントとしてとらえています。