2022.02.17
帳簿の保存方法と保存期間
会計システムのクラウド化
法人や個人事業主は、帳簿書類を使用して経理資料を作成し、法律で定められた保管期間は大切に保存しなければなりません。最近は、企業のペーパーレス化が加速しており、電子による帳簿作成と保管が推進されています。
この記事では、帳簿保管期間の説明と、電子帳簿保存法について詳しく解説します。帳簿を電子化して保管すると、経理や事務の負担軽減につながります。
帳簿とは
帳簿とは、一般的に会計帳簿のことで、決算書作成の基礎となるすべての書類のことです。事業上の取引や資産の変化についてはすべて正確に記録することが「法人税法」「会社法」で定められています。同法律では「帳簿」に該当するものと、それを補完する「書類」が規定されています。国税庁のホームページでは、以下の分類分けがなされているので、整理しておきましょう。
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帳簿
総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳など -
書類
棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書など
帳簿の保存期間
法人税法や会社法では、帳簿に保存期間が定められています。帳簿と書類の保存期間は、法人税法と会社法で保管する期間と該当するものが違います。以下の表を参考にしてください。
【法人における帳簿保存期間】
該当文章 | 保存期間 |
---|---|
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会社法:10年間 法人税法:7年間 |
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会社法:7年間 法人税法:10年間 |
法人は、帳簿と取引等に関して作成又は受領した書類を7年間、もしくは10年間保管しなければなりません。
青色申告をしている個人事業主にも、帳簿と書類の保存期間が定められています。違いは法律が「所得税法」になるほか、保存期間も違います。以下の表を参考にしてください。
【青色申告個人事業主の帳簿保存期間】
該当文章 | 保存期間 |
---|---|
「帳簿書類」、「決算書類」「現金預金の取引等に関係する証憑書類」 | 7年間 |
金銭取引に直接関係しない「その他の証憑書類」 | 5年間 |
個人事業主は短く設定されていますが、法人同様、保存義務があります。誤って捨ててしまわないよう、注意が必要です。
電子帳簿保存法とは
電子帳簿保存法とは、帳簿や決算書などの国税関係帳簿書類を電子保存する際の要件を定めた法律です。それまで紙ベースであった各種書類をデータ化しすることで、保管資料のペーパーレス化と国税関係帳簿書類の保存に係る負担軽減を目的として、1998年に施行されました。
数度の改正が行われており、以下の年表どおり法律の適用範囲が変更されています。
【電子帳簿保存法の主な改正とその内容】
改正内容 | |
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1998年(施行) | データで作成された国税関係の帳簿および書類のみに適用(紙媒体不可) |
2005年 | 3万円未満のもの、電子署名があるものなどに限り、スキャンした紙の帳簿・書類に適用範囲が拡大(スキャナのみ) |
2015年 | 2005年の条件を撤廃すると同時にタイムスタンプや定期検査、複数人での書類作成・保存を義務化 |
2016年 | スキャナだけではなくデジタルカメラやスマートフォンで撮影したデータも適用範囲に変更 |
2020年 | 電子取引に係るデータの保存要件が緩和 |
2022年(1月1日付) | 電子帳簿の税務署長による事前承認制度の撤廃、および保存方法などの大幅変更 |
【保存方法別】対象書類と要件
電子帳簿保存法で認められている保存法は、「帳簿保存」「スキャナ保存」「電子取引」の3種類です。保存方法が異なるだけではなく、該当する書類も違います。帳簿保存においては、今回の改正内容に対応した会計システムを 導入すると良いでしょう。
会計システムにおけるクラウド化の流れ
電帳法改正により、帳簿だけでなく取引関係書類(注文書や請求書)の電子化要件も緩和され、電子化が加速することが予想されます。それら書類の電子化に対応するシステムはクラウド化が進んでおり、会計システムもクラウド化しておくことで、システム間のシームレスな連携によるさらなる業務効率化が可能となります。
電帳法改正内容に対応したシステムの導入(または改修)だけにとどまらず、これを機に会計システムのクラウド化を検討されることをおすすめします。
加えて、コロナ禍の影響でリモートワークが推奨・浸透した背景もあり、クラウド化は今後も進んでいく流れになると思われます。国も、国税関係の書類を電子化して保存する規定を定めた「電子帳簿保存法」を改正し、一部規制緩和を実施。クラウド化が今後進んでいくのは明白と言っていいでしょう。
会計システムをクラウド化して得られる効果
会計システムのクラウド化によって、以下の効果が期待できます。
- 業務効率化
- 会計システムの負荷軽減
- 安全性の担保
よく言われている業務の効率化を中心に、メリットがあるのがクラウド化の特徴です。
業務効率化
経理や財務といった会計部門をクラウド化することで、ペーパーレス化やテレワーク対応が可能になるケースがあります。書面で整理している場合、在宅ワークが推奨されている中でも、会計関係書類は持ち出し禁止にしているため出社しなければならないケースもあります。クラウド化によって、仕事をする場所にとらわれなくなるため、会計担当者もテレワークができるようになります。
また、データ化されることで書類確認や検索が容易になります。これらの要因で、業務効率化につながるのが会計システムのクラウド化で得られる大きなメリットです。
会計システムの負荷軽減
会計システムには、ネットワーク上の仮想空間でデータを保管するクラウド型と、社内のどこかに基幹システムを設置してそこで管理するオンプレミス型の2種類があります。クラウド型会計システムの場合、法改正への対応や定期的な保守管理を運営元が行うため、コストや人員を社内で割かずに済む特徴があります。
オンプレミス型では同様のことを行う場合、基幹システムを保守・管理する人員を用意しなければなりません。導入コストも高く、よほどしっかりとした体制ができていなければオンプレミス型の保守・管理は難しいでしょう。柔軟に対応できる点でもクラウド型会計システムに軍配が上がります。
安全性の担保
クラウド型とオンプレミス型のもうひとつの違いは安全性です。物理的に盗難や事故、火災で焼失してしまう可能性があるオンプレミス型よりも、クラウド型のほうがこれらの危険にさらされるリスクは低くなります。もちろんセキュリティ対策は必須ですが、これはクラウド型でもオンプレミス型でも同じことです。
おすすめのクラウド型会計システム
ひと口にクラウド型会計システムと言っても種類が豊富です。ひとつのポイントとして、2022年1月に改正された電子帳簿保存法で優良な電子帳簿と認証されている会計システムを導入すると、電子帳簿保存法への対応と同時に導入できます。
富士フイルムビジネスイノベーションジャパンではクラウド型会計システムに対応したソリューションを提供しています。対応しているシステムは以下のとおりです。
【対象システム】
- 勘定奉行クラウド(OBC)
- PCAクラウド会計(PCA)
- freee会計(freee)
上記3つの会計システムは、いずれも優良な電子帳簿の認証を受けたもの、あるいはそれに対応したものです。これら会計システムのクラウド化ソリューションで、会計・経理部門全体のDXを本格化できるでしょう。会社それぞれの環境に合ったプランをご提案させていただきます。ぜひ一度ご検討ください。
まとめ
会計システムの改修または導入を、電帳法改正対応のみだけでなくクラウド化も検討することで、労力やコストの削減が見込めます。クラウド型会計システムを導入すれば、社内のテレワーク推進にも役立ちます。