大阪市を中心とした近畿圏の動物二次診療施設として各診療領域のプロフェッショナルが結集し、高度獣医療を提供するネオベッツVRセンター。新病院に移転し、開院20周年の節目を迎えた今、獣医療のさらなる発展を目指す代表取締役の川田 睦氏に「FUJIFILM DR CALNEO Flow V」が果たす役割、X線画像における画質の重要性を伺った。
導入結果
- 高画質のX線画像が、診療品質の向上に貢献
- 低線量のX線撮影により、動物と保定スタッフの低侵襲化を推進
高度獣医療の質を追求するため新たなDRパネルの導入を検討
ネオベッツVRセンターの特徴は。
近畿圏における二次診療を専門とする民間施設として外科領域のスペシャリストが多く在籍して高度獣医療を提供しています。1989年の設立時は、大阪府市の30代・40代の開業獣医師が共同出資する日本初の夜間救急動物病院としてスタートしました。その後、近畿圏でも数少ない高度獣医療を担う施設を目指し、2005年に民間では日本初の動物二次診療施設「ネオベッツVRセンター」を開院しました。一次診療を担う獣医師の皆さんの理解や連携もあり、現在では全国有数の外科手術数を数えます。
2023年10月には、飼い主様の利便性とスタッフの労働環境の向上を目的に、大阪市東成区の新病院に移転しました。新天地では専門性の高い獣医師が連携するチーム獣医療を一層強化しています。
「FUJIFILM DR CALNEO Flow V」の導入経緯は。
「より良い画質のX線画像を得たい」という思いがありました。物言わぬ動物を診療するにあたり、画像診断は獣医療の重要な起点だと考えています。当院では主に直接変換型のDRパネルを使用していましたが、症例や状況に応じて少ないX線量で撮影できる間接変換型のDRパネルを探していました。さまざまな製品を比較して導入したのが、富士フイルムの「FUJIFILM DR CALNEO Flow V」です。低線量下でも画質劣化が少ないX線画像を撮影できると感じました。
長年獣医療に従事するなかで感じるのは、整形外科領域の獣医師の多くがX線画像にこだわりを持ち、特に富士フイルムのシステムを使用していることです。私自身、学生時代に富士フイルムの動物用臨床化学分析装置「富士ドライケム」の初号機が登場し、医療機器メーカーとして動物用医療機器を手掛ける姿勢に感銘を受けたことを覚えています。当院では富士フイルムのフィルムシステムの運用実績があり、私自身の実感値や信用度も「FUJIFILM DR CALNEO Flow
V」を導入する要因になりました。
高画質のX線画像が難易度の高い症例の診療を支援
犬と猫の紹介症例に使用しています。主な用途のひとつが、来院時の症状の確認です。動物二次診療施設として紹介動物を診療するためには、紹介情報をふまえてより深く症状を把握することが求められるので、「FUJIFILM DR CALNEO Flow V」で画質の良いX線画像を得て状態を把握しています。
手術計画の立案用情報としてもX線画像を活用しています。獣医療界では「手術の成否を決める7割は、術前の計画と意思決定」と言われるほど高精細な画像データは重要です。なかでもX線画像は適切な診療の大元になる情報であり、「FUJIFILM DR CALNEO Flow V」のX線画像はその役割を果たしていると思います。また、骨折や前十字靭帯損傷などの術後にも、当装置で撮影したX線画像で患部評価を行っています。
画像の印象は。
富士フイルムのX線画像は、強調が効いたメリハリのある画質が印象的でした。「FUJIFILM DR CALNEO Flow V」は画質や強調を柔軟に調整できるようになり、ユーザーフレンドリーな画像診断システムだと感じました。インプラントなどの術後経過を確認する時は必要以上に画質を追い求めず、動物や撮影スタッフの被ばくの観点から線量を下げて撮影していますが、評価に必要な画質は確保できています。
センサーの感度も良く、低出力のX線管球でも十分な画質が得られていると思います。腹部に関しては直接変換型のDRパネルと比べてコントラストがとれている印象です。動物のX線撮影には動体ボケがつきもので、無麻酔下で求める水準の画像を撮影するのは簡単ではありません。DRパネルの感度が優れているとX線照射時間を短くして動体ボケを抑制する対応策が行えるので、「FUJIFILM DR CALNEO Flow V」は無麻酔下でのX線撮影時に真価を発揮する装置とも言えます。
運用効果は。
X線画像の画質が向上したことにより、脱臼、関節炎、関節症などが診断しやすくなりました。最近は膝蓋骨脱臼が中高齢の小型犬を中心に増えており、脱臼だけでなく潜在的な疾病が重なっている場合が多いことから、当院ではX線画像で膝関節内部の様子を調べるようにしています。「FUJIFILM DR CALNEO Flow V」は膝関節の内部組織をしっかりと描出するので、膝蓋靭帯の形状や膝関節内の関節液貯留量を確認する際に役立っています。
X線を照射してからすぐに画像が表示され、次の照射までの待機時間が短い点は、業務効率化と動物の負担軽減に貢献しています。動物にとって長時間保定されるのはストレスがかかります。当院では基本的に正面像と側面像を撮影しますが、「FUJIFILM DR CALNEO Flow V」はスムーズに2方向を撮影できます。
使用感は。
X線撮影時は動物から離れた位置から照射しますが、パネル側面部のLEDランプで照射が可能な状態かをひと目で確認できる仕様も円滑な撮影につながっています。
地域から信頼される総合動物病院を実現しチーム獣医療の輪をさらに広げていく
外科領域のスペシャリストが共同で開院した当院は、さまざまな専門領域を持つ獣医師が仲間に加わり診療領域を拡張してきました。今後も専門性を磨きつつ診療領域を広げ続け、地域から信頼される総合動物病院へと発展させたいです。当院では獣医師と動物看護師が業務を共有して医療にあたるチーム獣医療を特長としており、今後は院内にとどまらず他の獣医療施設と連携してチームの輪を拡大していきたいです。現在はオンラインで交流できる時代となり、全国の獣医療機関と勉強会や知見交換会を重ねて、獣医療サービスを高めていけたらと考えています。
症例紹介
動物用X線画像診断システム FUJIFILM DR CALNEO Flow V
- 販売名
デジタルラジオグラフィ DR-ID 1800V
- 届出番号
4動薬第2094号
V Station T/V Station T モバイルクライアント
- 販売名
富士コンピューテッドラジオグラフィ CR-IR392V型の付属品の画像処理ソフトウエア[CR-IR392VCL]
- 届出番号
28動薬第706号
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