HOYA CANDEO OPTRONICS 株式会社 様
旧HOYAデジタルソリューションズ株式会社での取り組み事例です。
Microsoft Dynamics® AX 組立加工系生産管理テンプレート 導入
生産管理システム・販売管理システム(国内)
導入の背景とねらい
グローバル化をはじめとした環境の変化に柔軟かつ迅速に対応
HOYA CANDEO OPTRONICS株式会社(以下HCO社)では、既存基幹システム(生産管理・販売管理を対象とした業務パッケージ)の保守期限切れに合せてシステム再構築を検討していました。既存システムは、業務ノウハウを蓄積した使い勝手の良いものでしたが、アドオン開発機能が多く、単純なパッケージソフトのバージョンアップでは対応できない状況でした。そこで、既存業務パッケージの最新バージョンまたは別の業務パッケージソフトによってシステムを再構築することにしました。
基幹システムを取り巻く環境の変化を整理したところ、新基幹システムは、事業のグローバル化に伴う多言語・多通貨への対応、各国取引形態に合わせた輸出入管理機能の充実、内部統制への対応、多品種少量生産が進む中で精度の高い原価把握によるコスト競争力の確保、といった要件を確認しました。さらに、事業の統廃合を含む、予想できない事業環境の変化にも柔軟に対応することが求められました。
Microsoft Dynamics® AX の導入
富士フイルムデジタルソリューションズは、HCO社に対して「Microsoft Dynamics AX」の導入を提案しました。理由として、先ずグローバル化に対応したERPとしての機能を備え、ほとんど世界中どこでも適切にベンダの支援を得られることが挙げられます。また、他のMicrosoft製品とユーザ・インタフェースが似ていて馴染み易いことも理由のひとつです。HCO社の事業規模に見合うよう導入・運用費用を抑える必要性も考慮しました。
一方その頃、HOYA本社ではグループ内事業部/地域別にばらばらだった基幹アプリケーションをひとつのERPで共通化し、ITガバナンスの強化、運用保守の集約によるコスト削減を図る方針を打ち出したところでした。「Microsoft Dynamics AX」をグループ標準ERPとして選定し、HOYAグローバル会計業務を担うSAP社のERPとハブ&スポーク型で連携することにしました。
富士フイルムデジタルソリューションズは、HCO社の生産業務が組立系とプロセス系の両方から構成されており、グループ内のさまざまな事業部門で「Microsoft Dynamics AX」を導入する際に活用できると判断し、製番管理生産や実際原価管理など汎用性の高い機能をアドオン開発・テンプレート化し、HOYAグループ内に展開することにしました。
富士フイルムデジタルソリューションズのプロジェクトマネージャーは導入当時を振り返り、次のように語ります。 「今回のプロジェクトは、バリューチェーン全般(会計は、HOYAグループSAP会計システムを利用)をスコープとしながらも、導入期間はわずか1年足らずしかないことが最もハードルの高かった点でした。また、当社のSEは現場ユーザーとともに育ってきたことや、SAP導入を通じてERPノウハウも有しておりましたが、HCO様の組立系、プロセス系のハイブリッド型の生産管理の実装には正直、苦労しました。 一方で、HCO社の情報システム推進室長の内野様にはフルタイムでプロジェクトにご参画いただきました。現行の現場業務、アプリケーション、HWは全て把握されていたため、設計の方向性はブレることなく即時に決まっていきました。 また、若手メンバーがプロジェクト途中から急成長ぶりを発揮できたこともプロジェクト成功に大きく寄与したと思います。これまでに、より大規模で複雑なプロジェクトのPMを経験してきましたが、プロジェクトの終盤で一気に進捗遅れをキャッチアップできた事例はありませんでした。プロジェクト全員が最後まで諦めなかった結果なのでしょうね。」
HCO社の新基幹システムは、約10ヶ月の導入期間を経て2012年5月に本番稼動を開始しました。その後、安定稼動を続けており、中国での稼動ならびに、将来の事業展開に向けてさらなる活用が期待されています
システム対象範囲
HCO社情報システム推進室長である内野氏は、「HCO社の新システムが稼働してからわずかな期間しか経過していないが、現時点で明らかになっている効果として以下の点があげられる」と話します。
- Microsoft Office製品と同様の操作性で「受注/出荷/売上実績の推移情報」を容易に把握できるようになり、経営層から好評を得ている
- 業務量が増大している輸出入管理(インボイス、パッキングリストなどの輸出入書類作成や通関倉庫の状態監視)がシステム化により省力化できた
- 「受注/出荷/売上実績情報」のDWH(分析用データベース)への反映が旧システムでは夜間1回のみだったが、新システムでは日中にも反映処理を行えるようになったため、以前よりもリアルタイムに近い情報で分析を行えるようになった
- DWH(分析用データベース)の情報を自由に抽出・加工できるようになり、欲しい情報を様々な切り口で分析できるようになった
- 新システムでは支給先倉庫の在庫管理、有償支給/無償支給管理を強化する事ができ、実際の業務に則した原価計算を行えるようになった
- 受注EDI情報や生産計画情報のExcel取込などの外部インターフェース機能の充実も省力化に寄与
さらに長期的には「多通貨・多言語対応、セキュリティ機能による内部統制の強化、経理処理(会計連携)が月次処理から日次処理なった事、などに効果があらわれてくると思う」と内野氏はお話しします。
今後の展望
今回のプロジェクトの成果をもとに、HCO社はシステムの適用範囲の拡大と業務への活用を狙い以下のような構想を検討しています。
- 中国および他の海外連結子会社への横展開
- ワークフロー導入などの機能追加
- DWHの利用範囲の拡大による経営情報の積極活用
[ 企業プロフィール ]
HOYA CANDEO OPTRONICS株式会社(以下HCO社)は、HOYAが長年培ってきた光技術を応用したFPD(フラットパネルディスプレイ)の製造時の欠陥修正に用いられるレーザー発振器や光学部品(光ピックアップ、カメラモジュールなど)の紫外線(UV)硬化樹脂による接着工程で用いられるUV光学装置及び光学機器や産業用機器に使用されるカラーフィルターや電子用ガラス製品などを、開発から製造、販売までの一貫体制で、お客様のニーズに的確・迅速に対応し、国内はもとよりワールドワイドに供給している企業です。
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