共通の決め事 ~サイズ~

現在日本で使われている原紙寸法は5種類あります。コピー用紙やノートなどでお馴染みのA列本判、B列本判。書籍サイズの四六判。新聞用紙サイズの菊判。包装用紙サイズのハトロン判です。 では、一つずつ見ていきましょう。

A列

昭和4年、当時のドイツ工業規格をそのまま日本標準規格として採用したものです。現在ではその優れた特性が世界に認められ、国際規格となっています。 とても馴染みのある寸法ですが、4つの特性があるのをご存じでしたか?

(1)対角線長方形

「A判用紙の短辺を使って正方形を作った時の対角線の長さと、長辺の長さが同じ。」

 

(2)二等分の法則

「同列の隣り合う寸法は、それぞれ2倍あるいは半裁したもの。面積は1対2となる。」このおかげで用紙が無駄になることなく断裁して使用できます。

 

(3)相似の法則

「各寸法はそれぞれ相似形。それぞれ2倍あるいは半裁したもののタテヨコ比は常に1対√2となる。」 これは皆さんご存知ですね。覚えやすくてとても便利です。

 

(4)メートル法適用

「基本となるA0の面積は約1m2」 これは気がつかなかった人が多いのでは?

 

(5)幅と長さの調和

「幅と長さの比は黄金分割の比(1対1.618)にほぼ等しく、調和のとれた形となっている。」 確かに、とっても落ち着く寸法ですよね。だからこそ普及したのでしょう。

B列

A列と同じく昭和4年に日本標準規格として採用されました。このサイズは江戸時代の公用紙、美濃紙の大きさである美濃判に由来しています。役所で使用する用紙が1993年に国際的に通用するA列に統一される前はすべてB列だったのはそのためです。

四六判

明治維新後、全国の紙の標準寸法は美濃判(9寸×1尺3寸)でした。明治新政府は活版印刷術を使用するようになって、その用紙(クラウン判)を主にイギリスから輸入していました。これを4倍にしたものは、美濃紙の8倍の大きさとなって都合がよく、多量に輸入しました。この紙から32枚をとって化粧断ちするとヨコ4寸2分、タテ6寸2分の書物になるところから四六判と呼ばれるようになりました。今でも書籍の寸法として使われています。

菊判

明治の初め、新聞用紙は三三判とよばれる寸法の紙を輸入して使用していましたが、新聞事業が拡大するにつれて広い紙が必要になり、特別な寸法のものを発注しました。新聞は日刊なので多量の在庫を持つ必要があり、この新しい寸法の紙を新聞以外の一般用に使用させるために16枚取りの紙にして盛んに宣伝、販売しました。 この輸入紙の商標はダリアの花でしたが、ダリアが菊に似ていること、16取りは皇室の御紋章を連想させること、さらに新聞の聞を「キク」、新しいことを「聞く」という意味などから、「菊印」として売り出しました。この菊印判が流行して、略称されて「菊判」となりました。

ハトロン判

ハトロン紙とは、未晒クラフトパルプや亜硫酸パルプを褐色に着色してヤンキー抄紙機で抄造した片艶のロール紙です。かつてヨーロッパで火薬を包装したこと、ドイツ語で薬キョウ紙を意味する「Patronen Papier」から出た名称といわれます。一般包装紙や封筒などに使用されていましたが、現在は片艶クラフト紙などに切り替えられています。 ハトロン紙は平判(900×1200mm)に仕立てられたことから、包装用紙の平版仕上げ寸法として、その名が残っています。

 

<今回のポイント>

●A列は世界が認める国際規格。
●B列は日本古来の寸法。

 
 

おまけコーナー

Q.食べられる紙ってありますか?

 

A.あります。が、「海苔」や「オブラート」などを連想していたら、不正解。

海苔もオブラートも一見、紙っぽく見えます。しかも海苔は作り方まで似ていますが、海苔の原料は海藻の葉のような部分(葉体)で繊維ではないから紙ではありません。一方、オブラートは、でんぷんを煮て薄くして焼いたものなので製法も違います。

では、食べられる紙ってなんでしょう? 実は普通の紙(ただし人体に有害な添加物が入ってないもの)なのです。天明の大飢饉のときに「古紙を水に浸け、よく蒸した上でほぐし、少しの糖を混ぜて餅として食べた」という記録があります。味はなかなか良好だったようです。このおかげで村の住人600~700人が生き延びることができたとか。紙ってスゴイ。

 

共通の決め事 ~重さ~