紙だって添加物で一味変わります

添加物で紙の性質を調整しています

紙にはさまざまな性質が求められていますが、原料を変えただけでは対応しきれません。そこで、原料(パルプ)に不足した性質を補うため、添加物の出番です。

代表的なものを見てみましょう。

にじみを防ぐ「サイズ剤」

  水性インキなどのにじみを防ぎます。

繊維と繊維の間に充填する「填料(てんりょう)」

  白さや不透明性、表面の平滑性、柔軟性などを改善します。

たとえば、辞典のように薄い紙でも透けないのは填料のおかげです。 填料を含むかどうかは、燃やしてみれば一目瞭然。填料を含んでいないティッシュペーパーや和紙は、燃やしても灰がほとんど残りませんが、填料を含んでいる上質紙は燃やすと灰として残ります。

強い紙にする「紙力増強剤」

紙の目的によっては繊維の自己接着力だけでは不足なので、接着剤が使われることがあります。

たとえば、新聞用紙の表面にも少し塗られていて高速輪転印刷に耐えられるようになっています。

原料や薬品のロスを少なくする「歩留(ぶど)まり向上剤」

短い繊維や填料はとても細かいため抄紙機*で脱水するときに網から流れてしまいます。このロスを少なくするために添加します。

*抄紙機(しょうしき)― 紙をすく機械

色をつける添加物「染料」「顔料」

色を着色するために添加される有機・無機の着色剤が染料と顔料です。

たとえば、教科書は文字が読みやすく、目が疲れないように薄く黄色に着色されています。

 

<今回のポイント>

●目的に合わせて原料(パルプ)に不足した性質を補えば用途も広がります。

 
 

おまけコーナー

Q.古くから使われている美味しい添加物は何ですか?

 

A.蒟蒻(コンニャク)です。

コンニャクから作った糊は粘着力が強く、耐熱、耐寒性があるため、現在も使われています。 戦時中、日本がアメリカ本土を狙って作成した風船爆弾は、丈夫な和紙にコンニャク糊を塗ったもので作られました。実際に成層圏を通って太平洋を横断し、アメリカに到達していることから、その強度と耐寒性がわかります。 現在、コンニャク糊を塗った紙は水を漏らさず、火をあてても燃えないという性質を活かして、紙鍋に使用されています。

 

紙を知る ~紙の特性~