2022.02.08
3DCADの導入効果とツールの選び方・比較の仕方
2021年9月、「3DCAD導入エキスパートが語る!失敗しない3DCAD導入のポイント」をテーマに、オンラインセミナーを実施いたしました。このページではセミナーでお話しした内容の概要を解説しています。
本セミナーでは、3DCADの導入効果とツールの選び方・比較の仕方についてお話ししました。3DCADの導入効果については、弊社の自社事例をベースに、4つの導入効果について解説。さらに、導入する際に注意すべき3つのポイントや、導入時にどういった製品比較をすべきか?についても詳しく解説しています。
それでは、セミナーの概要について、下記にて簡単にご紹介します。
富士フイルムビジネスイノベーションにおけるCADの変遷
セミナーでは、最初に弊社のCADの変遷について解説しています。弊社は1990年代に、2D-CADでコピー機の設計を行なっておりました。ところが、コピー機がデジタル化、カラー化して構造が複雑になったことで、設計ミスが増えてきました。この対策として3DCAD「I-DEAS」を全面導入し、設計の3D化を進めました。これが第一期になります。
その後、I-DEASのCADが2001年に企業買収されまして、他の3DCADと統合されました。そのタイミングで、弊社はもう一度CADの選定をし直し、今度はSolidWorksという3DCADに切り替えています。これが第2期です。
3DCADを導入した結果・効果
3DCADを2回選定するという歴史があるのですが、その結果、下記のような効果に繋がっています。
第一期:「I-DEAS」の導入
結果としてはあまりうまくいかなく、試作初号機での部品干渉は大きく減らしたものの、設計者のCAD操作時間が増え、設計者負担が増え、かえって効率が悪化しました。
第二期:「SolidWorks」の導入
第二期では、第一期の失敗から導入のプロセスを少し変更し、設計、生産準備プロセスを大きく変えて、3Dデータを全社で活用することで、製品開発の中で発生していた手戻りを大幅に削減することができ、開発効率を大きく向上させることが出来ました。
3DCADでどう効果を上げてきたかの弊社事例
第二期では大きな効果を得ることができたのですが、その具体的な内容を4つご紹介します。
設計品質向上:CAE・シミュレーション
まずはシミュレーションです。シミュレーショは、第1期から行なっています。しかし、第1期では、製品開発の最中で出たトラブルの分析を中心にシミュレーションをおこなっていました。第二期では、トラブルの分析もありますが、積極的に、机上設計タイミングでのシミュレーションを行い設計の角度をあげました。これによって、実機での性能の作りこみ時間が短くなっています
設計品質向上:仮想品質点検
2つ目は、社内でDDIと呼称している「仮想品質点検」です。仮想品質点検とは、設計者が作った3Dモデルをそれぞれの関連部門のメンバーが、専門的視点でその3Dモデルをチェックする点検のことです。操作性、安全性、組立性、保全性といった非機能要件に関する問題点をすべて洗い出して修正することで、試作品の評価フェーズにおいてこれらの問題を持ち込まないようにしています。
設計品質向上:金型要件チェックツール
金型要件チェックツールとは、設計者が作った3Dモデルが、ちゃんと金型として成立するかどうかをあらかじめシステムで自動チェックする仕組みです。例えば自主成形金型でいえば、アンダーカットのチェックや、厚肉チェック、それから金型強度の確認です。これによって従来は、金型メーカーに出てから戻ってきた修正依頼の件数が大幅に減り、金型を作っていた自主成形部品のリードタイムが大きく短縮できました。
開発工数効率化:3D図運用
最後は3D図運用です。従来は量産図面に関しては、形状に関わる細かい寸法を全部図面に記入していました。今は形状情報は、重要な工作分だけを機能図という二次元図に落として、情報を展開しています。これによって、作図工数が大幅に削減できました。それから、作図工数のみならず、製造の検査工数も大きく削減できました。
弊社事例から得た3DCAD導入時の注意点と比較項目例
このような経験から弊社は3DCADを導入する際には下記の3つの注意点が必要であると考えています。
- 3DCAD導入目的明確化の重要性
- CAD導入に向けた事前準備作業の重要性
- 3Dデータの徹底活用
とくに「2.CAD導入に向けた事前準備作業の重要性」は重要で、この事前準備により、導入後の損失コストに大きく影響します。
注意点の詳しい内容や3DCADの選び方・比較項目の例については、下記よりぜひお問い合わせください。