クラウドコンピューティングとは?仕組みやメリットをわかりやすく解説

2023.09.26

クラウドコンピューティングとは?
仕組みやメリットをわかりやすく解説

クラウドコンピューティングとは?仕組みやメリットをわかりやすく解説

近年注目を集めているクラウドコンピューティングですが、実際にシステムのクラウド化を目指してクラウドコンピューティングの導入を検討している方も多いのではないでしょうか?

そこで当記事では、クラウドコンピューティングについての理解を深めるために、基本的な情報や利用するメリットなどを解説します。最後にはクラウドコンピューティングでできることを明確にイメージできるように、クラウドコンピューティングを利用したサービス例もご紹介しますので参考にしてみてください。

クラウドコンピューティングとは、クラウド上でコンピューティングサービスを利用する形態のことです。インターネットを経由してコンピューティングサービスを利用するという仕組みを設けているため、ネットワークを構築するためのハードウェアや物理サーバーを用意する必要が無く、必要なコンピューティングサービスの分だけ料金を支払えば利用できるという強みがあります。

クラウドコンピューティングの仕組み

クラウドコンピューティングは、インターネットを経由してコンピューティングサービスを利用するという仕組みを設けています。そのため、ネットワークを構築するためのハードウェアや物理サーバーを用意する必要が無く、必要なコンピューティングサービスの分だけ料金を支払えば利用可能です。

またクラウドコンピューティングは、クラウド上で提供されるサービスであることを背景に、アップデートや保守管理の必要性がありません。オンプレミス型で必要としていた手間がクラウド型では不要となっている点は、利用者側にとって最も有難い仕組みと言えるでしょう。

クラウドコンピューティングでできること

クラウドコンピューティングの活用範囲は多岐にわたります。クラウドコンピューティングでできることを知っておけば、自社の属する業界でどのように活用すべきか考える際の参考になるでしょう。ですので、以下の内容を参考にして導入したらどのようなことができるのかをイメージしてみてください。

【クラウドコンピューティングでできること】

  • アプリ開発
    └クラウド上のプラットフォームを使用することで、短い時間で業務効率化アプリなどを開発できます。拡張性が高いため、ユーザーの規模に合わせてボリュームを自在に変更可能です。
  • ファイルの保存・共有
    └所持するファイルをクラウド上に保存できます。クラウド上にあるため、いつでも保存先にアクセスすることが可能です。また、提供しているコンピューティングサービス次第では、保存容量の拡張なども行えます。
  • 資料作成・保存
    └クラウド上で生成したアプリにて、資料作成・保存ができます。クラウド上で処理するため、端末破損によるデータ紛失の心配がありません。
  • バックアップ
    └社内ネットワークに存在するデータをクラウド上に保管することでバックアップをとります。ハードウェアを置くようなことも無いため、企業の建屋が全壊するようなことがあっても問題なく保護できます。
  • メール
    └メールサーバーやソフトウェア無しでクラウドメールが利用できます。

クラウドコンピューティングの種類を理解するには、サービス基盤とクラウドの種類の2つを知ることが大切です。サービス基盤では自社がどのようなシステムを構築したいか、クラウドの種類では規模感や提供形態によって選択肢が変わります。それぞれの内容を参考に、クラウドコンピューティングの導入検討に役立ててください。

サービス基盤

クラウドコンピューティングのサービス形態は3種類あります。

【サービス形態】

  • SaaS
  • PaaS
  • IaaS

それぞれ、カスタマイズの自由度や必要な知識などが異なります。以下の内容を参考にどういったサービスを必要としているのかを判断して、導入する形態を検討しましょう。

SaaS

SaaS(Software as a Service)とは、アプリケーションやソフトウェアをインターネット経由で提供してくれるサービスです。クラウド上でアプリケーションやソフトウェアといった完成されたシステムを利用できるサービスが該当します。

パソコンにインストールする必要が無いため、インターネット環境があればいつでもどこでも利用できるメリットがあります。しかし、コンピューティングサービスを駆使してアプリを開発するようなサービスではないので、カスタマイズの自由度が低いです。クラウドストレージやメールソフトのようなサービスがSaaSの代表的な例です。

PaaS

PaaS(Platform as a Service)とは、インターネットを経由してアプリ開発ができるような「環境(プラットフォーム)」を提供するサービスです。アプリ開発に必要な一式をインターネット経由でクラウド上に準備できるため、最小限の手間・コストで開発環境を構築できる特徴があります。

またPaaSは、アプリケーションのOSをプログラムなどでカスタマイズするのに適しています。専門知識を有するエンジニアなどが在籍していれば効率よく扱えるサービスと言えるでしょう。代表的な例としては、「AWS Lambda」などがあります。

IaaS

IaaS(Infrastructure as a Service)とは、サーバーやネットワークといったインフラを提供してくれるサービスです。自由にシステムを構築できるのが特徴で、用途に合わせた幅広い使い道があります。

すでに社内に物理的ネットワークを構築している場合、それらをIaaS上に移行することも可能です。これにより、既存ネットワークの拡張性を高めることができるため、より自社にマッチしたネットワーク構築ができるようになるでしょう。また、IaaS上に移行することで、自社のネットワークセキュリティーを高めることにも繋がります。

クラウドの種類

クラウドコンピューティングには「パブリッククラウド、プライベートクラウド、ハイブリッドクラウド」の3種類のサービス形態があります。以下での内容を把握したら、どういった種類のサーバーを求めているのか、業務内容はどういったものなのかに応じて使い分けてみてください。

  パブリッククラウド プライベートクラウド ハイブリッドクラウド
特徴 共有サーバー設備を提供 専有サーバー設備を提供 共有サーバーと専有サーバーを提供
コスト 低い 高い 幅広い
メリット
  • 導入スピードが早い
  • 拡張性が高い
  • セキュリティー対策に優れている
  • パブリッククラウドとプライベートクラウドを使い分けられる
デメリット
  • 拡張性が低い
  • セキュリティリスクが高い
  • 全体的に手間・コストがかかる
  • 管理が複雑化しやすい
  • パブリッククラウドとプライベートクラウドの使い分けで、メリハリをつける必要がある

パブリッククラウド

パブリッククラウドとは、インフラやアプリケーションなど全てのサービスをクラウド上で提供するサービスのことで、多くの利用者が共有して利用できます。クラウドサービスのように全従業員がインターネットを経由してログインできるようなサービスが該当し、インターネット上で全て完結する特徴があります。

自社に物理サーバーやハードウェアを配置する必要が無いため、最小限の手間で導入できるというメリットがありますが、多くの人がアクセスすることによって外部からの脅威にさらされる可能性がある点には注意が必要です。

プライベートクラウド

プライベートクラウドとは、特定の企業が専有した環境で利用するサービスです。プライベートクラウドにはホステッド型とオンプレミス型の2種類があり、それぞれの詳細は以下の通りです。

【ホステッド型とオンプレミス型】

  • ホステッド型
    └専用の環境を仮想的に構築するタイプのプライベートクラウド。サーバーやハードウェアの購入が不要。
  • オンプレミス型
    └ハードウェアを購入して、専用のクラウド環境を構築するタイプのプライベートクラウド。ホステッド型よりも優れたセキュリティー性能を持ち合わせています。

プライベートクラウドは、運用管理にかかる費用や人件費を負担する必要があるため、ランニングコストが高くなる傾向にあります。セキュリティー面やカスタマイズの自由度といった面で優れたクラウドにしたい場合は、プライベートクラウドが適していると言えるでしょう。

ハイブリッドクラウド

ハイブリッドクラウドとは、パブリッククラウドとプライベートクラウドの良い部分を組み合わせて利用できるサービスです。両方を使い分けできるため、カスタマイズの自由度やセキュリティー性能の良い部分だけを組み合わせることで、セキュリティー面の心配をせずに多くの人がアクセスできる環境を構築できます。

低コスト、高セキュリティーと理想的なシステムを構築できるメリットがある一方で、管理面は煩雑化しやすいので注意が必要です。

以下ではクラウドコンピューティングのメリットをご紹介します。クラウドコンピューティングのメリットを把握し、コンピューティングサービスをクラウド上で利用することの価値について知っておきましょう。

【クラウドコンピューティングのメリット】

  • すぐに利用できる
  • 初期費用が不要
  • 自社で運用・保守管理が不要
  • インターネットに接続できればどこでも利用できる
  • 拡張性が高い

すぐに利用できる

クラウドコンピューティングの多くのサービスはクラウド上で完結します。物理サーバーなどを準備する必要も無いため、インターネットと端末さえあれば契約後すぐに利用可能です。

クラウドコンピューティングではない場合、実際に利用を開始するまでにかなりの時間を要するケースがほとんどですが、クラウドコンピューティングならその時間を大幅に削減できるでしょう。そのため、新しいシステムを構築する際も効率よく行なえるため、業務効率化という側面においては大きな効果を発揮します。

初期費用が不要

クラウドコンピューティングで利用するサービスは従量課金制であるため、初期費用がかかりません。また、ハードウェアなどをはじめに用意する必要もないため、インターネット環境と端末さえ揃っていれば設備に投資する資金も不要です。そのため導入ハードルはかなり低く、なにも揃っていない方でもコスト面の不安を抱えずに導入に踏み切ることができるでしょう。

自社で運用・保守管理が不要

クラウドの運用は自社で行なう必要が無く、全て提供業者に任せられます。従来まではコンピュータネットワークの運用・保守管理を行うには専門知識を有する人材を必要としていましたが、クラウドコンピューティングを導入してしまえばそういった人材のリソースシフトにもつながるでしょう。

ただ、クラウドコンピューティングを導入するのと併せて社内のシステムもクラウド化しないと、この恩恵は受けられないので注意が必要です。一つでも専門知識を必要とするソフトウェアやアプリケーションを残している場合は、それの運用・保守管理に人材が必要となってしまいます。

インターネットに接続できればどこでも利用できる

アプリやソフトウェアは全てクラウド上で管理・共有するため、インターネット環境さえあればどこからでも利用できます。そのため、社内で業務をしないことを前提にした環境を構築しようと考えている企業には、クラウドコンピューティングが最適と言えるでしょう。

例えば、クラウドコンピューティングはテレワークとの相性が非常によく、在宅勤務を採用していたり、業務委託で外部の人間を利用していたりする場合におすすめです。また、昨今では新型コロナウイルスの流行によってテレワークが注目を集めましたが、こういった情勢の中でも業務効率を落とさないとして、クラウドコンピューティングが活躍するでしょう。

拡張性が高い

クラウドコンピューティングは必要に応じてリソースの量を変化させることができます。それゆえに、柔軟性の高いシステムを構築することが可能で、企業の規模や要件に合わせて常に最適な形をとり続けられるでしょう。

また、新機能を追加する際にはクラウドコンピューティングだと比較的容易に行えるというメリットもあります。もし、追加方法が複雑化している場合でも、サポートサービスが充実している場合が多いので安心して取り掛かれるはずです。

クラウドコンピューティングには、メリットがある一方でデメリットもあります。デメリットを把握しておくことで、クラウドコンピューティングを導入する価値を見定めてください。

【クラウドコンピューティングのデメリット】

  • インターネット環境が無いと利用できない
  • 提供側の都合によりサービスが終了する可能性がある
  • 情報漏洩のリスクがある

インターネット環境が無いと利用できない

クラウドサービスであるため、インターネット環境が無いとサービスを利用することができません。企業内にネット環境が配備されていないことは稀ですが、リモートワークの場合は各従業員がネット環境を整備する必要があります。

提供側の都合によりサービスが終了する可能性がある

クラウドコンピューティングは提供業者とサービス契約をして利用するため、提供業者がサービス終了を決断すれば、利用できなくなってしまうでしょう。そういった事態を防ぐためにも、なるべく利用者が多く、安定した基盤のある業者のサービスを利用するようにしてください。

情報漏洩のリスクがある

パブリッククラウドのように複数のユーザーが共有する形態の場合、インターネットを経由してサイバー攻撃を受ける可能性もゼロではありません。もちろん、ほとんどのクラウドサービスでは高度なセキュリティー対策を施しているため比較的安心はできるのですが、万が一の事態もあることをリスクとして知っておくことが大切です。

クラウドコンピューティングの特徴は、低コストで効率的なシステム構築ができる点なので、中小企業のような人的リソースが限られた企業ほど導入価値が高いです。少ないコストで最大限の効果を得るためにも、クラウドコンピューティングの導入を検討してみてください。

また、既存のネットワークが構築されており、様々なシステムの運用・保守に負担を感じている企業の方もクラウドコンピューティングはおすすめです。クラウドコンピューティングに移行するまでの手間はありますが、全てクラウド化できてしまえばテレワークへの対応など働き方の選択肢を広げることができるでしょう。

実際にクラウドコンピューティングを導入する場合、その選び方も重要です。必要なサービスだけを導入することによって「コスト削減&効率化」が実現します。ムダな出費を増やさないためにも以下のポイントを押さえておくようにしてください。

【クラウドコンピューティングを選ぶ際のポイント】

  • 機能で選ぶ
    └自社が求める機能が備わっていないサービスを導入しても意味がありません。導入目的や自社の業務形態に合わせて、優れた機能が充実しているものを選びましょう。
  • セキュリティーで選ぶ
    └「クラウドコンピューティングのデメリット」でも取り上げたように、クラウドコンピューティングには情報漏洩のリスクがあります。こういったリスクの発生を最小限に抑えるためにも、セキュリティー性能が優れたものを選びましょう。
  • サポートの充実度で選ぶ
    └クラウドコンピューティングは比較的操作性に優れているため、専門知識を有していない方でも利用しやすい特徴があります。しかし、全てを完璧に使いこなせるわけではありませんし、場合によっては利用方法がわからなくなることもあるでしょう。そういった際にサポート体制が充実していれば、迅速な対応が期待できます。

以下ではクラウドコンピューティングを利用したサービス例をご紹介します。サービス例を知ることで、実際に導入した後のイメージを明確にすることができるでしょう。当記事では、「Amazon Web Services(AWS)」と「Microsoft Azure」の2つをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

Amazon Web Services(AWS)

Amazon Web Services(AWS)とは、Amazonが運営するクラウドコンピューティングです。豊富な機能を取り揃えていることもあって、長い期間提供され続けている実績豊富なサービスです。クラウドサービスを利用する際、最初に検討されることの多いAWSは多くの方から愛用されています。

また、AWSはサポート体制が充実していることでも有名です。AWSには公式の認定資格があり、AWSのサポートを取り扱う業者の多くが所持しています。ですので、Amazonの人材でなくても有資格者に依頼すれば専門知識を活用して丁寧にサポートしてくれるでしょう。

Microsoft Azure

「Microsoft Azure」は、Microsoftが提供するクラウドコンピューティングです。Microsoftが提供するサービスであることから、Windowsなどとの親和性が高いのが特徴です。そのため、すでにMicrosoftの製品を利用している場合には最適のクラウドコンピューティングであると言えるでしょう。また、クラウドコンピューティングとしての性能はもちろんのこと、既存のオンプレミス型との連携にも優れているため、ハイブリッドクラウドとしても活用できます。

AWSとMicrosoft Azureのどちらを導入するか悩んでいる方は、既存のネットワーク環境を確認して決めてみてはどうでしょうか。

クラウドコンピューティングとは、クラウド上でコンピューティングサービスを利用する形態のことです。インターネットを経由してコンピューティングサービスを利用するという仕組みを設けているため、ネットワークを構築するためのハードウェアや物理サーバーを用意する必要が無く、必要なコンピューティングサービスの分だけ料金を支払えば利用できるという強みがあります。

クラウドコンピューティングは通常のソフトウェアやアプリケーションと違って全てインターネットを経由することから、どこでも利用できるという強みを持ち合わせています。しかし一方で、提供業者の方針に左右されやすい点や情報漏洩のリスクといったデメリットもあるため、導入時はメリット・デメリットを把握したうえで判断しましょう。

とはいっても、AWSやMicrosoft Azureなどは大手のサービスであるため、過度な心配は不要です。興味のある方はぜひ前向きに導入を検討してみてください。

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