大阪・関西万博のシグネチャーパビリオン「いのち動的平衡館」の建物外観に「構造色インクジェット技術」が採用
生物を彷彿とさせる高度な意匠性で、パビリオンのテーマ「いのちを知る」を表現
2025年4月10日
富士フイルムビジネスイノベーション株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長・CEO:浜 直樹)は、2025年4月13日に開幕する2025年日本国際博覧会(以下、大阪・関西万博)のシグネチャーパビリオン「いのち動的平衡館」の建物外観に、「構造色インクジェット技術」が採用されたことを発表します。「構造色インクジェット技術」は、色素を用いず、光の反射によって生じる発色現象である「構造色」をインクジェット印刷で発現させ、今までにない高い意匠性を実現可能な当社独自の加飾技術です。同パビリオンでは「いのちを知る」がテーマとなっており、「構造色インクジェット技術」の特長である生物を彷彿とさせる高度な意匠性が評価され採用に至りました。
シグネチャーパビリオン「いのち動的平衡館」の外観パース※1
<構造色を有する生物の例>


シグネチャーパビリオンは、大阪・関西万博会場の中心に位置し、各界で活躍する8人のプロデューサーがテーマごとにそれぞれ展開する「シグネチャープロジェクト(いのちの輝きプロジェクト)」の起点となる展示パビリオンです。「いのち動的平衡館」は、そのうちの一つで、生物学者・福岡伸一プロデューサーが「いのちを知る」をテーマに展開するパビリオンです。
自然が生み出す美しい「構造色」は、古代から装飾品にも用いられてきました。「構造色インクジェット技術」は、富士フイルムグループの分子制御技術を応用し、フィルム基材上に吐出したインク内に微細な構造を形成して発色させるものです。色味の異なる構造色を発現するインクを複数種用意し、その組み合わせやインクの濃度を調整しながら、構造色のパターンやグラデーションなどを自在に描画することで、高い意匠性を実現します。
また、「構造色インクジェット技術」は、様々な光源との組み合わせにより多彩な表現が可能なため、大阪・関西万博のシグネチャーパビリオン「いのち動的平衡館」の建物外観に採用されたように透明な樹脂やガラスへの装飾にも適しています。これまでに採用された時計やアートピース、装飾品に加え、建築の内外装への利用など、光の反射と透過を制御できるため、ソーラーパネルやディスプレイへの加飾といった空間デザインにも適用が可能です。今後、当社では同技術の意匠性を活かし、新たな加工技術との組み合わせにより、幅広い分野や用途へ展開していく予定です。
- ※1 © DYNAMIC EQUILIBRIUM OF LIFE / EXPO2025
【シグネチャーパビリオン「いのち動的平衡館」の概要】
パビリオン名称 | 福岡伸一プロデュース シグネチャーパビリオン「いのち動的平衡館」 |
---|---|
所在地 | 大阪市此花区夢洲 |
展示エリア | シグネチャーゾーン |
テーマ | 「いのちを知る」 |
展示期間 | 2025年4月13日~2025年10月13日 |
展示内容 | 「生命とはなにか」「生きることの意味」を光のインスタレーションで体感し、「生命の本質にふれる」ことを目指す |
敷地面積 | 約1,600 m2 |
【「構造色インクジェット技術」の特長】

①フルカラーの構造色を表現
色味の異なる構造色を発現する複数種のインクを組み合わせることで、光の波長によって生じる赤色から青色まで、フルカラーの構造色を表現。

②構造色のパターンとグラデーションを表現
インクジェット印刷により構造色を自在に描画できるため、さまざまな色味のパターン表現や、色の濃度を変化させたグラデーション表現が可能。
自然界に存在するモルフォ蝶やタマムシなどの色を印刷にて再現できることに加え、任意のデザインデータの構造色化も可能。自然界に存在しない「構造色の木目柄」など、幅広い出力表現を実現。

③角度によって変化する発色
同じ印刷物でも、見る角度によって色合いが変化。
④光の反射と透過のコントロール
背景色によっても色合いが変化。黒色の背景に構造色を加飾すると、透過光が吸収されて構造色の反射色が見えるが、白色の背景では透過光が吸収されず、その補色が見えるようになる。
光の反射と透過のコントロールについて(色素や顔料の色と構造色の比較)
「構造色インクジェット技術」は、これらの特長を組み合わせることで、光を活かした表現や、光を用いた機能とデザインの共存など、従来にはない加飾表現の可能性を秘めています。また、自然界に存在しない構造色を様々なデザインデータで表現し、オンデマンド印刷が可能な本技術は、従来にはない新しい意匠性を生み出します。
【構造色インクジェット技術を使用した作品例】


3)構造色ガラスを天面に配置したローテーブル
※プレスリリースに掲載されているサービス、商品名等は各社の登録商標または商標です。