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特 集
「反論書」の提出に当たって
平成7年7月31日
富士写真フイルム株式会社
取締役社長 大西 實
何も知らない人が、300頁にもおよぶ「301条提訴」にあたってのコダックの主張だけを読めば、そこに書いてあることがあたかも本当のように思ってしまうだろう。コダックという一流の企業が言うことであるから全部が事実ではないにしろ、多くの部分は本当ではないかと考えても不思議はない。
しかし、きちんとコダックの主張の根拠となる事実や文献に当たってみれば、誰でもこのコダックの主張が全くのでたらめであることがわかる。また、ある程度写真フィルム業界に関し知識を有している人であれば、コダックの主張が、過去から現在に至るまでコダックが日本で行って来たことと矛盾しており、この主張がいかに策謀に満ちたものであるかがおわかりになるであろう。
当社は今回、とりあえずコダックの主張がいかに根拠のないでたらめのものであるかを明らかにすることに全力を傾注した。それは何より時間の経過によって、根拠のない主張があたかも事実のように認識され、流布されることを恐れたからであり、事実に勝る主張はないと当社は信じているからである。
当社は世界中の市場においてコダックと激烈な競争を繰り広げている。当社は、これまでコダックという会社を、歴史のある、開発力、販売力についても卓越したものであると信じていたし、尊敬すべきライバルとして深い敬意を払ってきたといっても過言ではない。時としては、コダックの販売方法などに不当との思いを抱くこともあったが、それは所詮ビジネス上での過剰な動きであったり、積極的な販売施策の行き過ぎであるとして、当社はあえて問題にすることなく対処してきた。
しかし、今回のように虚偽と歪曲に満ちた主張を平然と行い、自らの経営努力の欠如と販売戦略の失敗を覆い隠し、「制裁」を伴う301条の適用を求めるなど、政治的圧力を不当に利用しようとすることは、ビジネスの倫理として到底許されるものではない。しかも、今回のコダックの行為の影響は単にビジネス倫理に反するというだけでなく、アメリカ国民に誤った日本観を広めようとするものである。日米間で長い期間をかけて育まれてきた相互の理解とそのための努力を踏みにじろうとする行為と言わなければならない。当社は、日米両国の国民が、真実はどこにあるのかを事実に基づいて十分に認識し、冷静に本件について判断することによって、日米間の信頼が損なわれるような事態が発生しないことを切に希望している。この反論書がそれに役立つことを願っている。
また、U.S.T.R.がコダックの要請に基づいて調査を開始することとなったが、コダックの主張のみに基づいて結論を導き出すことは、コダックの謀略を助長しこれに協力することに他ならないのであり、そのようなことのないよう強く要請するものである。また、マスコミ関係者に対しては、疑問を持たれた場合には、主張の根拠とされる文書については原典に当たって確認され、必要があれば関係当事者にも直接事実の確認をされ、正確な報道をされることを強くお願いする次第である。当社は事例を隠す必要も事実を歪曲する必要もないと考えており、事実が自らどちらの主張が正しいかを明らかにしてくれるものと信じているからである。