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千葉県市川市において地域の方々に身近な診療を提供するとともに、専門的な内視鏡診療を行うクリニックとして新規開業した「やまもと内科・内視鏡クリニック」。機器選定のポイントや、胸部X線画像病変検出ソフトウェアCXR-AIDおよびフラットパネルのオプションである小型拡張ユニット「EX-Mobile」・内視鏡画像診断支援システム「CAD EYE」の使用感などについてうかがった。
院長
山本 栄篤 氏
医師になってからしばらくの間は、消化管や肝胆膵から化学療法まで消化器内科全般の診療に従事していましたが、母校である順天堂大学に戻った際に長浜隆司先生(現・新東京病院 消化器内科 主任部長兼内視鏡センター長)と出会ったことが契機となって、内視鏡診療を中心とした消化管領域への関心を深めました。そこから約20年にわたって消化管領域に注力し、日本消化器内視鏡学会および日本消化器病学会の指導医・専門医なども取得しています。
長く病院勤務を続ける中で、管理・監督や指導といった業務の割合や負荷が多くなり、診療にあたる時間や自分自身のために使う時間が少なくなっていることに課題を感じていました。そうした中で、病院勤務からクリニック勤務へと環境を変えましたが、自分の経験や専門性を生かして、多くの人に安心してもらえる医療を提供するためには、やはり自分自身で開業するほうが良いと感じました。そこで、2019年末から開業に向けた具体的な検討を開始し、2022年5月に開院しました。
25年以上にわたって内科系診療・健診現場や診療所で積み重ねてきた経験や、病院勤務時に医療安全に関わった経験から、(1)システムで医療安全を確保する「安全対策」、(2)ウィズコロナ時代に求められる先進的な「感染防御」、(3)エビデンスに基づいたガイドライン等の「医療慣行」に沿った診療を、地域の患者さんに可能な限り提供することを目指しています。
まず、私の専門である内視鏡については、これまで複数のメーカーを使用してきましたが、使い慣れたメーカー以外の内視鏡については確認が必要だと考えていました。そして、装置・システムの連携などの点から可能な限り1社にまとめたいという考えのもと、内視鏡システムだけでなく、クリニック向けのさまざまな装置・システムをトータルで提供している富士フイルムに相談しました。当初は、AI技術を活用した診断支援は黎明期にあると思っていましたし、投資対効果を考えるとまだハードルが高い印象もあったため、もう少し様子を見てから導入を検討するべきだと、あまり積極的に検討していませんでしたが、胸部単純X線画像の診断支援システム(CXR-AID)を初めて見せてもらった際、AI技術の活用が想像以上に進んでいることに衝撃を受け、「導入できないか」と考えました。
そこから、富士フイルムを中心にした選定を進めていきました。内視鏡システムについては、しばらく富士フイルムのものを使用していなかったために少し不安はありましたが、観察性能および運動性能についても確認した上で、連携性やサポートなどの全体的なベネフィットも検討し、最終的には電子カルテ、PACS、X線撮影装置、内視鏡システム、エコーなど、多くの装置・システムを富士フイルムおよび富士フイルムヘルスケアの製品に決めました。
私の専門は内視鏡ですが、クリニックを運営するにあたり胸部単純X線画像の読影は避けられません。過去クリニックで勤務していた際にも読影には心理的な不安を感じており、CXR-AIDおよびEX-Mobileを活用することで、そうした精神的負担が軽減するのではと考えて、導入を決めました。
実際に使用した感想としては、期待通りの安心感が得られていて、率直に導入して良かったと感じています。胸部単純写真は読影に慣れていないとバイアスがかかりやすい傾向があるため、読影ミスを完全になくすことは難しいと思います。その中で、読影の精度を高める方策の一つとしてダブルチェックがありますが、微妙な異常については読影者によって意見が分かれることがあり、そのようなことが何度か起きれば、自分の読影結果に不安を感じるようになる可能性もあります。その点において、CXR-AIDはソフトウェアで機械的に検出支援を行うことに加えて、ヒートマップ表示で「ここも怪しいんじゃないですか?」とまるで上級医が優しく教えてくれるような感覚もあり、安心感につながっています。
私は「ADR(Adenoma Detection Rate:大腸腺腫発見率)」という指標が提唱された際に大きな衝撃を受けてから、なるべく微小な病変もすべて拾い上げができるように努力をしてきました。そもそも内視鏡検査は集中力が求められる検査ですが、それに加えて微小病変まで見逃さないようにするとなると、さらに身体的・心理的な負担が大きくなります。また、どれだけ技術を磨いて、集中して検査に臨んでいても見逃しのリスクをゼロにすることはできません。
CAD EYEを実際に使用してみると、常に張り詰めていた心理状態を和らげてくれるように感じます。あたかもドライブ中に助手席から注意してくれるナビゲーターのようで、その負担軽減効果は計り知れないと感じました。特に、クリニックで診察時間内に内視鏡検査をしていると、どうしても待ち人数が気になったり、急用の電話がかかってきたりということもあるので、検査中に気もそぞろになるような場合にも、心に少し余裕が持てることは大きいと思います。
また、検出支援の精度についても十分で、まだ少ない検査数ではあるものの、私が注視していなかった場所からの検出で、確認すると平坦型の治療適応病変だと分かった症例も経験しました。
そして、感度については、拾い上げすぎるところはあるものの、そこで立ち止まって確認すれば良いだけなので十分に許容できています。私は内視鏡専門医なので、CAD EYEが異常疑いと示してくる部分については、非熟練医が「ここはどうですか?」と頻繁に確認を仰いでくるような感覚で対応しています。感度の高さが安心感にもつながっていると感じています。
かつての富士フイルムのスコープは、アングルの挙動や操作部、シャフト部分のコシが私の手技には合わず、あまり好みではありませんでしたが、EG-840Nはそうした違和感が解消されていると感じています。特にシャフト部分のコシについて、従来の富士フイルムの経鼻スコープは柔らかすぎたため、変形胃や十二指腸への直達アプローチが難しかったのですが、EG-840Nのシャフトはコシがあり、経口スコープに近いダイレクトな操作感が得られるので、十二指腸が観察しやすくなりました。また、コシがあることで、生検時の調整も容易になったと感じています。さらに、観察性能については、2mmまで近接すると“弱拡大”に近い感覚が得られるので、細径といえども、質的診断に一歩近づいているように感じることが大変新鮮で、たくさん使用してみています。
装置・システムの接続や入力等は効率化されており、スタッフの余計な業務が減っていると感じています。また、今のところトラブルは起きていませんが、もし何かあったとしても窓口が一つで、まとめて対応していただけるので非常に心強いです。
内視鏡システムの急速な進化も含めて、富士フイルムの医療用装置・システムの進化はあまり知られていないように思いますし、トータル提案がもたらす連携性やサポート体制などのアドバンテージももっと広く知ってほしいと感じます。今後、富士フイルムの技術力の高さを広く知らせる取り組みを進めるとともに、世界中の医療の質向上を目指した技術開発を継続していただければと思います。
- 販売名
胸部X線画像病変検出(CAD)プログラム LU-AI689型
- 承認番号
30300BZX00188000
- 販売名
内視鏡検査支援プログラム EW10-EC02
- 承認番号
30200BZX0028800
- 販売名
富士画像診断ワークステーション CC-WS674型
- 認証番号
22200BZX00909000
- 販売名
富士画像診断ワークステーション CC-WS674 型 の付属品EX-M1
- 認証番号
22200BZX00909000