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大阪府泉大津市において、プライマリケアから専門医療や他施設との連携を含めて地域に根ざした診療を行う杉本医院の杉本貴昭氏。胸部X線画像病変検出ソフトウェアCXR-AIDおよびフラットパネルのオプションである小型拡張ユニット「EX-Mobile」を導入した経緯や使用感などについてお話をうかがった。
医療法人杉本医院
院長
杉本 貴昭 氏
杉本医院の沿革と特長は。
現在の場所で婦人科クリニックを開業していた母親から継承するかたちで、2013年に開業しました。私のもともとの専門は消化器外科ですが、現在は地域のかかりつけ医として幅広く診療を行い、地域の方々から何でもご相談いただけるクリニックを目指しています。また、内視鏡やX線撮影装置、エコーなどの各種の検査装置を備えることで、できる限り当院で診療を完結させるとともに、より適切な専門医療への紹介ができるように取り組んでいます。
胸部X線撮影の件数は。
1か月あたり約120件で、撮影は私自身が行っています。
胸部X線画像病変検出ソフトウェアCXR-AIDおよびEX-Mobileを導入した経緯は。
当院では、診察や他の検査の合間にX線撮影を行い、随時読影をしていきます。開業当初は症例数があまり多くなかったため問題なかったのですが、年々症例数が増加し、1日に4~5件のX線撮影と読影を限られた診療時間内に行い、精度を維持することに限界を感じるようになってきました。そこで、当院では数年前から撮影したX線画像を全例、専門医による二次読影に出すようにしましたが、結果が戻ってくるのは翌日か翌々日になりますし、見落としのリスクがゼロになることはありません。
こうした状況を踏まえ、診断精度のさらなる向上とワークフロー改善を目的として、胸部X線画像病変検出ソフトウェアCXR-AID(以下、CXR-AID)およびEX-Mobileの導入を決めました。
CXR-AIDおよびEX-Mobileの使用感は。
現在は、全例でCXR-AIDを使用し、併せて専門医による二次読影も依頼しています。その中で、従来は、私が疑わしい箇所を見つけられなかった場合、翌日か翌々日に戻ってくる二次読影の結果を確認してから、患者さんに連絡して再検査をするという流れでした。CXR-AID導入後は、撮影し、読影を行った直後に“ダブルチェック”のようなかたちで異常領域の候補を確認できるため、二次読影後の再検査件数がかなり減少しました。
また、淡い結節候補の検出精度が高い印象があり、気胸候補もしっかりと検出される感触で助かっています。
CXR-AIDは多くの候補を検出しますが、見落とし防止の支援という観点では取り過ぎる程度が望ましく、検出された候補は自分の目で確認すればすぐに判断できるので問題ないと思っています。
特に印象に残った症例は。
自治体の特定検診で毎年来られている方に実施した胸部X線検査で、差分画像まで確認しても分からなかったのですが、CXR-AIDで処理をすると結節・腫瘤影の疑いのある領域が検出されました。その後、紹介先の病院において腺がんと診断され、小さな病変だったためロボット手術で済みました。このケースはCXR-AIDによる支援がなければ早期発見に至っていなかったと思いますし、早期に発見できたことで患者さんはもちろん、執刀医の先生にも喜ばれました。
また、乳がんの術後の方で、念のために胸部のX線撮影を行ったところ、非常に判別しづらい気胸がCXR-AIDで検出されたため、早期治療につなげられたケースがありました。
さらに、当院は日常診療の延長で新型コロナウイルス感染症の診察も行っており、オミクロン株が主流となってから肺炎は少なくなったものの、肺炎が見つかると中等症となり、その時点で入院を勧告しなければならないため、そうしたケースでも役立っています。
導入後、撮影から患者説明までの時間に変化は。
撮影後、CXR-AIDの処理時間が必要になりますが、患者説明までの所要時間で考えるとわずかな差ですし、見落とし防止への貢献度を考えれば十分に許容範囲内だと感じています。
患者説明での反応は。
ヒートマップ表示は疑わしい箇所を伝える際にも便利で、患者さんにお見せすると驚かれることが多いですね。また、ダブルチェックのようなものとして見落としが減少すると思われているようで好評です。
CXR-AIDおよびEX-Mobileの費用対効果については。
病院や一部のクリニックでは、放射線科医のもとに診療放射線技師が撮影や画像診断の補助を行いますが、当院では私が一人で撮影して診断をしています。CXR-AIDが提供する画像診断支援は、放射線科スタッフによる画像診断の補助に近い感覚がありますので、費用対効果は十分にあると感じています。
装置の選定において重視している点は。
装置の耐久性とサポート体制を特に重視しており、場合によっては時間外のサポートに対応してもらえることも重要だと思っています。当院では、EX-Mobileとフラットパネル以外にも、富士フイルムのポータブルエコーや感染症検査装置などを使用していますが、いつも迅速なサポートをしていただいていて助かっています。
今後、富士フイルムのAI技術に期待することは。
骨折の画像診断支援など、他分野に発展させるとともに、さらなる普及に向けた低価格化にも期待しています。また、当院では1か月に約40件の上部内視鏡検査を行っていますので、上部の内視鏡診断支援機能の発売も楽しみにしています。
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