このコンテンツは医療従事者向けの内容です。
AI技術を活用して胸部単純X線画像から結節・腫瘤影、浸潤影、気胸の3つの画像所見を検出し医師の画像診断を支援する胸部X線画像病変検出ソフトウェア「CXR-AID」および富士画像診断ワークステーション「C@RNACORE」のオプションである小型拡張ユニット「EX-Mobile」を導入した経緯や使用感などについてお話をうかがった。
副院長
板谷 一史 氏
当院は私の父親である院長が開院して以来、地域のかかりつけ医として幅広く一般内科診療を提供し、小樽市の特定健診や地元企業の健康診断も受け付けています。
私自身は消化器内科全般を専門とし、当院での診療以外に市立札幌病院の消化器内科で非常勤職員としても勤務しています。
多い時で1日あたり10件程度です。なお、当院は院内にCTを備えているため、症例によっては単純写真ではなくCT撮影を選択するケースもあります。
私はこれまでの経験から、CT画像の読影には慣れておりますが、胸部単純写真の読影についてはそこまでの経験がなく、読影依頼も出していません。そのため、判断に悩む単純写真は40年以上の読影経験を持つ院長にダブルチェックをお願いしていますが、その際に院長との読影能力の差を感じることも少なからずありました。
そうした中で、富士フイルムの内視鏡スコープを新しく導入した時にCXR-AIDおよびEX-Mobileのことを聞き、単純写真の見落とし防止や読影負荷軽減への期待から検討を開始しました。
私は以前から、AI技術を用いた画像診断支援は内視鏡のような“動画”よりも単純写真のような“静止画”に適しているのではないかと感じていたのですが、デモを拝見して「よくできている」と感じると同時に、人間の目で読影を行う重要性も再確認しました。
その一方で、限られた診察時間の中でX線撮影と読影を行う負担は大きく、特に夕方の時間帯になると、朝と同じ集中力で読影を行うことが難しい場合もあります。その点において、CXR-AIDは常に一定の精度でサポートしてくれるので、見落とし防止や読影負荷軽減に役立つと考えました。また、今後のバージョンアップで検出精度がさらに向上していくことにも期待して導入を決めました。
胸部単純写真の全例で使用しています。流れとしては、FCR PRIMAで撮影を行った後、C@RNACOREから解析の指示を行い、完了後にC@RNACOREで読影と解析結果の確認を行うというかたちになります。
クリニック向けの画像診断ワークステーションとしては必要最低限の機能が組み込まれていて、コストパフォーマンスに優れていると感じています。また、C@RNACOREとEX-Mobileを連携させることで、CXR-AIDおよびEX-Mobileを導入する以前に撮影した画像にCXR-AIDによる解析がかけられる点も便利で、画像診断に役立つだけでなく、患者説明にも使いやすいと思います。
ヒートマップ表示は疑わしい箇所が一目で分かりやすく、患者説明にも使いやすいですね。我々医師はヒートマップがなくても読影ができますが、患者さんはX線写真を見てもどこが異常なのかが分からないことがほとんどだと思います。そのような場合に、ヒートマップを用いて説明することで、より納得していただけると感じています。
肺MAC症*2患者の経過観察で、胸部X線撮影を行い、前回の画像と比較すると影が少し濃くなっているように見えました。ヒートマップを見て画像を再確認した後に、それを患者さんにお見せして、CT撮影を提案し、納得していただいた上でCT撮影を行いました。そして、外部に依頼したCT画像の読影レポートを確認すると、「改善している部分と悪化している部分が混在している」ということだったので、またしばらく経過を見ることにしました。さらに後日、再度X線撮影を行うと、肺炎像が薄くなっていました。その画像の変化をご説明して安心していただくことができました。
経過観察でCXR-AID解析画像を用いて患者さんに説明している
読影後、C@RNACOREで解析の項目をクリックするだけなので、撮影フローや撮影時間に変化はありません。
CXR-AIDおよびEX-Mobileの導入は、見落としによる訴訟リスクを低減するための先行投資と捉えており、その点においての費用対効果は十分にあると考えています。
また、当院は高齢の患者さんが多く、現状において“AI技術を活用した診断支援”といってもなかなか響かない部分がありますが、今後はこうした技術が当たり前になっていくと思います。その時には、CXR-AIDやEX-Mobileのような装置を導入していることがクリニックの選択基準の一つになる可能性も大いにあると思っていますので、そうした未来を見据えた先行投資でもあります。
大規模な画像の収集と解析を継続して、検出精度をさらに向上させていただければと思います。機能面では、撮影後に自動で解析が行われるようになれば、さらに利便性が向上し、より幅広い世代の医師に受け入れられるのではないかと思っています。
私の専門である消化器内科領域では、新たな経鼻スコープと上部消化管内視鏡の診断支援システムに期待しています。特に近年は、人間の目では見落としのリスクが高い除菌後胃がんが増加していますので、そうした症例も含めて疑わしい箇所を高精度で検出する支援システムを開発していただければと思います。
- 販売名
胸部X線画像病変検出(CAD)プログラム LU-AI689型
- 承認番号
30300BZX00188000
- 販売名
富士画像診断ワークステーション CC-WS674型
- 認証番号
22200BZX00909000
- 販売名
富士画像診断ワークステーション CC-WS674型の付属品EX-M1
- 認証番号
22200BZX00909000
- 小型拡張ユニット「EX-Mobile」のカタログ
- 本記事のPDFデータ