東京・名古屋・大阪近郊の養鶏・養豚農場など10社を擁するクレストグループに属し、岐阜県高山市において先進的な養豚農場経営を行うロッセ農場。動物用超音波画像診断装置「iViz air V」を導入した経緯や導入効果、使用感などについてお話をうかがった。
栗木氏 当グループは、養鶏、養豚、商事の3部門10社を擁し、東は福島県から西は岡山県まで東京・名古屋・大阪という大消費地の近郊に農場を展開しています。養豚についてはグループ全体で約5,000頭の母豚を飼育し、年間約12万頭の肉豚を出荷しています。
河瀬氏 岐阜県高山市の自然豊かな環境で、オランダの種豚会社であるTOPIGSの母豚を使用して閉鎖群育種を行いながら、約1,750頭の母豚を飼育しています。肉豚については、未利用・未使用食品を有効活用した液状の餌を与える「リキッドフィーディングシステム」を採用し、環境負荷の低減や食料自給率の向上にも貢献しています。
河瀬氏 豚の発情周期は21日なので、21日目に不受胎確認ができなければそこからさらに21日後まで待たなければならず、その間の餌代などが無駄になります。しかし、従来のエコーは画質の問題で21日目での鑑定が難しく、熟練した人間の目や勘に頼らざるを得ない状況でした。
栗木氏 養豚においては、母豚の空胎日数をいかに少なくするかがコストダウンに大きく関わってきます。iViz air Vを活用すれば21日で妊娠鑑定ができるので、空胎日数の減少につながると考えました。また、従来の発情確認(陰部確認/乗駕確認/あて雄確認)ではなく、iViz air Vで胎嚢を視認することができるので、妊娠鑑定の標準化・マニュアル化がしやすく、業務の効率化も図れます。今後、養豚業では外国人従業員が増えていくと考えられるので、その点も含めて導入のメリットを感じました。さらに言えば、強みである画像技術を養豚分野にも利用可能な動物用超音波装置に活用する富士フイルムの企業姿勢や、担当者の皆さんの真摯な姿勢も導入の後押しになりました。
森本(正)氏 従来のエコーと比べると、高画質であることに加えて、軽量・コンパクトでコードレスなので、便利で持ち運びしやすく、性別や体格を問わず誰でも使いやすい装置だと感じています。バッテリーの持ちも良く、60頭程度の妊娠鑑定で1時間程度使用しても充電が切れることはありません。*1
森本(祐)氏 私は、エコーによる妊娠鑑定を始めて約半年で初心者に近いのですが、iViz air Vで初産豚の21日での妊娠鑑定が問題なく行えています。iViz air Vは、軽量・コンパクトで操作も簡単なので、私のような経験の浅い女性スタッフもすぐに使いこなせるようになると思います。
森本(正)氏 従来は、21日目の母豚を多いときで60頭程度、朝夕の2回、それぞれ1時間程度かけて見回り確認していました。そして、エコーによる不受胎の確認は、判定できる28~30日で実施していました。iViz air Vの導入後は、21日目に妊娠鑑定が行えるようになったので、見回りが不要になりました。また、21日で不受胎と分かった母豚は、すぐに雄豚のところへ移動して許容確認を行い、再発種付けが行えるようになりました。さらに、不受胎になった老齢母豚を早い段階で廃用豚に選別できるようになり、餌代の低減にもつながっています。
iViz air V導入後のポイント
見回り確認で再発情を確認できなかった母豚の空胎期間が、42日→21日に短縮!
河瀬氏 豚の発情は約2~3日続きますが、その半分程度までに人工授精を終わらせる必要があり、後半に人工授精してもほぼ受精卵になりません。離乳の母豚は発情が来るのが分かっているので人工授精の適期を逃すことはまずないのですが、再発の母豚を目視で確認していると人工授精が遅れてしまうことがあります。このような再発の母豚の場合、離乳後の正常な母豚と比較すると、どうしても不受胎が多かったり、産子数が少なかったりするイメージがありました。
iViz air Vの導入後は、21日で妊娠鑑定ができるので、そこで不受胎と分かった母豚の人工授精の適期を逃すことがなくなりました。実際に、従来、再発母豚は受胎率が正常な離乳母豚より10%程度低く、産子数もばらつきがあったのですが、現在は受胎率、産子数ともに正常な離乳母豚と遜色がない結果が出ています。
iViz air V導入後のポイント
エコー検査実施前の見回確認が不要に!
森本(正)氏 従来のエコーを使用していた2023年と、iViz air V導入後の2024年の同一期間について、非生産日数(母豚が妊娠も授乳もしていない期間)を比較すると2023年は53日、2024年は36日で、17日短縮しました。
交配から再交配までの日数 | 総産仔数 |
---|---|
26 | 15 |
24 | 18 |
25 | 17 |
23 | 17 |
28 | 21 |
27 | 18 |
21 | 16 |
平均 17.4 |
iViz air V導入後のポイント
21日で再発種付けしても産子数のばらつきなし!
栗木氏 iViz air Vのイニシャルコストは決して安いとは言えませんが、農場の規模が大きくなればなるほど生産性の向上、業務効率化・マニュアル化、空胎日数の減少によるコストダウンなどのメリットが大きくなり、コストパフォーマンスが高まります。
一方で、小規模の農家の場合は、1頭の重み、1日の重みをより強く感じていると思いますので、iViz air Vを導入して1頭、1日をより大切にすると同時に、経済的なメリットを長期にわたって積み重ねていくという考えもあると思います。
栗木氏 富士フイルムの強みである画像技術を活かした開発を継続して、さらなる高画質化などにより養豚の妊娠鑑定を18~20日以内で行えるようにしていただければ、さらに生産性や業務効率が向上すると考えています。
- 販売名
FWU Vシリーズ
- 届出番号
3動薬第3032号