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おざき動物病院 外観写真

導入事例おざき動物病院

地域の動物医療を支えるジェネラリスト

獣医師インタビュー

都市部からは離れた地域にあるものの、県内外から診療に訪れるオーナーさまが後を絶たないおざき動物病院。同院は1999年の開業から現在までに、獣医師15名を含む54名のスタッフが在籍する規模に成長を遂げている。どのような方針でここまで拡大してきたのか、オーナーさまに支持される動物病院とは。院長の尾崎英二先生に、動物医療に対する考え方、病院経営、スタッフ教育などについてお話をうかがった。

このコンテンツは獣医療従事者向けの内容です。

オーナーさまの要望にこたえる病院作りと一人ひとりが主役になれる職場作り

地域密着型のプライマリ・ケアでより良い動物医療の提供を

おざき動物病院 院長
尾崎 英二 先生

おざき動物病院の特長は

尾崎先生 オーナーさまにどれだけ良い動物医療を提供できるか、どれだけ利用しやすい病院になれるか。そんな思いが根底にあるため、地域密着型のプライマリ・ケアを重んじて、できるだけ幅広い分野の動物医療を提供できるような体制を整えています。

そのため当院には、さまざまな専門分野を持つ獣医師や認定医が在籍しています。しかし私たちはあくまで、一次診療施設として動物医療を提供するジェネラリストと考えています。そのため、二次診療施設や高度医療の提供を目指してはいません。それでもそうした先生方がいることで、ノウハウの共有が可能になり、「平均点の高い診療」ができると考えています。

地域のニーズにこたえることスタッフの個性を発信すること

当初の事業計画と現在の規模について

尾崎先生 現在、常勤の獣医師13名、非常勤2名、動物看護師19名、トリマー9名、受付9名、クリーンスタッフ2名が在籍しています。開院当初はさまざまな要望にこたえられる病院にしたいとは考えていましたが、現在のような規模になるとは思ってもいませんでした。必要に駆られて拡大してきたというのが実情です(笑)。

徐々に診療件数が増えていくと、一件一件に対する医療提供の時間がどうしても短くなります。そうなると人が欲しくなり、診察室や駐車場が足りないという物理的な問題も発生します。また、さまざまな症例を診るための設備を充実させる必要があります。獣医師としての技能を高めるために外に出て勉強もしたい…。地域のニーズにこたえようと努めた結果、人も増え、設備も充実させていきました。

集客はどのように

尾崎先生 開院当初から広告はほとんど出さず、オーナーさまの口コミが大半です。そのため開院直後は、来院数ゼロの日こそなかったものの、集客については頭を悩ませました。

ただ当時から思っていたのは、広告やホームページなどを通じてオーナーさまが誇大な情報に触れてしまうと、来院時の満足度低下に影響するのではないかということでした。そのため、ありのままの姿を見せるように心がけてきました。

その一方で5年目くらいからは、オーナーさまにさまざまな情報提供ができるように、10ページほどの冊子『ふれあい通信』を1か月に1回発行し、郵送していました。その後は制作ペースが変わったり、媒体がWebに移行したりしていますが、楽しみにしてくださるオーナーさまも多くいらっしゃるので、現在も続けています。

内容は獣医師や動物看護師のプライベート、飼っている動物の紹介を中心に、病気に関する事柄、キャンペーン情報などです。スタッフの個性や強みなどをアピールすることで、親近感をもっていただけるようにしています。

病院スタッフが制作した「ふれあい通信」。

動物が快適に過ごせるよう工夫された院内。

運営方針を変えることになった二つのターニングポイント

病院運営における成功例・失敗例は

尾崎先生 病院の規模から成功例に挙げていただけることもありますが、正直、失敗の連続でした。

例えば、動物医療の質やオーナーさまへの配慮を過度に求めたことでスタッフが疲弊し、惜しい人材が辞めてしまったことがありました。しかし当時は私も若かったので、「どうしてついてこられないのか」くらいの感覚でした。

ところが開業から7、8年が経ち、獣医師や動物看護師などを含めて10名ほどの規模になってくると、自分の考えだけで物事を進めることが難しくなってきました。そうした時期に別の病院から新しい獣医師がやって来たことが、一つの転機になったんです。

その獣医師はなかなか以前の病院の習慣が抜けず、私の方針にはまらない人でした。そのため、意見がぶつかることもしばしば…。ところが、その獣医師は、私が対応できないようなオーナーさまをファンにしていったんです。その様子を見てはっとしました。それぞれの個性を活かしていくほうが、医療の幅もオーナーさまの裾野も広がると気付いたのです。それからはスタッフの声を積極的に取り入れて、物事を進めていくようになりました。

現在につながるターニングポイントは

尾崎先生 現在の場所へ移転した2013年です。きっかけは駐車場の不足でしたが、その時考えていたのはオーナーさまの利便性よりも、スタッフが長く働けるような環境を作るにはどうすればいいかということでした。そこで移転に合わせて、教育制度や福利厚生制度の充実などに力を注いできました。また、それまで行ってきた夜間診療もこのタイミングでやめました。

その時々で発生する課題に取り組んできた結果として今がありますが、やってきたことは本当に地道なことです。目の前のオーナーさまに病院の良さを実感していただくことで、その方が誰かを呼んできてくださる。その連鎖がずっと続いているだけなので、何か特別なことをしたという感覚はありません。

ただ言えるとすれば、以前のように私が中心で、ほかの獣医師が脇役になるような組織のままでは成長は難しかったと思います。ファンは獣医師につくので、一人ひとりが主役になれること、自らの考えに基づいてオーナーさまに向き合えることが重要だと思います。

教育制度や福利厚生の充実が人材確保と全体の底上げに

人材確保の秘訣は

尾崎先生 私が若いころは見て盗むという時代でしたが、今ではそれが通用しなくなってきています。そのため、給与、教育制度、福利厚生などにも目を配っていかないと、人材の確保自体がうまくいかないのではと感じています。

当院ではSNSを使った情報発信やホームページの充実を図っていますが、これもオーナーさま向けというよりは、就職を考える方たちに向けてという感覚が強くあります。

おざき動物病院 院長 尾崎 英二 先生

教育で大事にしていることは

尾崎先生 個性を尊重することです。とはいえ新人の方はすぐに個性を出せないので、まずはスタッフ同士のコミュニケーションを重視しながら、OJTとOFF-JT*1の両面で教育を行っています。獣医師も動物看護師もそれぞれ出身や専攻が違うため、画一的なものではなく、その人に合わせた指導を意識しています。

例えば「バディ制度」もその一つです。先輩がバディとなって月単位で目標を定め、一緒にクリアすることで仕事を学んでいく仕組みです。直属の先輩後輩で組むので、悩み事なども相談しやすいというメリットがあります。

さらに獣医師へは月に1回、大学の教授を招いて勉強会を開いています。1か月間にそれぞれが経験した症例を報告する「症例発表会」や、海外の論文を訳して発表する勉強会「ジャーナルクラブ」も行っています。

また、より専門的な経験が積めるように、大学病院や二次診療施設で学べる「研修医制度」も整えています。そこで技能を高めて当院に還元してもらうことで、全体の底上げにつながっています。

愛玩動物看護師の国家資格化については

尾崎先生 スケジュールを立てて外部講師を招き、全員合格を目指して15回ほどのカリキュラムを組んでいます。こういった試験は、いかに「団体戦」に持っていくのかが重要だと思うからです。そのため当院では、日曜日の夜9時から1時間、オンラインの勉強会を開いています。分からないことはその場で解決してほしいという理由と、遅れる人を出したくないという考えから、リアルタイムの参加にこだわっています。

愛玩動物看護師が国家資格になると業務範囲が広がるため、獣医師の仕事が軽減されることが予想されます。それに加え動物看護師のプロ意識も高まると思うので、より自信を持って仕事ができるのではないでしょうか。一方で経営面においては、資格に対する給与の変化などが発生すると考えられますし、それが診療料金に関わってくることもあり得ます。少なからず、業界全体に影響があるだろうと想像しています。

  • *1 OJT:On-The-Job Training OFF-JT:Off-The-Job Training

時代やニーズの変化に対応しながらも個性が光る自主経営を目指して

福利厚生については

おざき動物病院スタッフ ミーティング風景

尾崎先生 例えば、これまで週休2日制でしたが、近年ではそれを週休2日半にし、今では週休3日にしました。完全週休3日制ではなく、3日の内、半日を診療に出ない自由時間にしています。体と心を休ませることは、オンとオフのメリハリがつけにくい獣医師にとって、それがどんな福利厚生よりも必要かなと思いますし、この制度は、私ではなく、スタッフの獣医師が提案してくれたものなんです。

当院では年に2回のペースで、私を含めた全獣医師を集めて病院運営について話し合う機会を設けています。より働きやすい環境を作っていくためにも、一人ひとりに「自主経営」の意識を持ってもらいたいと考えているからです。そのため、その場で出た意見をきちんと実現させるように努めています。

健康診断の血液検査を院内で業務効率化のための仕組み

健康診断の件数は

尾崎先生 「ワン・ニャンドック」を1年間で200件ほど実施しています。これは、血液検査、超音波検査、眼科検査などを含んだ内容で、半日お預かりして行うものです。

「ウェルネスパック」は地域性を考慮し、フィラリア検査に合わせ生化学検査と血球計算を実施しています。2022年の3月~5月中旬頃までで、1,700件ほどありました。

傾向として面白いのは、3月にフィラリア検査のDMを出したあと、いち早く来院されるオーナーさまはウェルネスパックを利用される方が多いのですが、5月を越えてくるとその利用率が下がっていきます。また、フィラリアの予防薬の出方についても、3、4月はノミやダニなどの予防まで含まれたオールインワンのものが出やすく、後ろになるほどフィラリアだけのお薬に変わっていきます。

健康診断を院内で実施している理由は

尾崎先生 血液検査実施から結果報告までのスピードを重視しているからです。異常値が出た場合でもその場でお伝えできるので、オーナーさまも心配事を持ち帰らなくて良くなり、喜んでくださっています。

また、駐車場確保のため、健康診断にかかる来院数をできるだけ抑えたいという事情もあります。

多くの検査を効率良く行うために複数の試薬がワンパックになっているスクリーニングスライドを活用。

多くの検査をスムーズに行うためには

尾崎先生 効率を良くすることが大切なので、手順に慣れるまでは当然トレーニングを行いますし、検体の置き方などの決まり事を設けています。そのうえで、その日一日、検査だけを担当する当番制をとっています。そうすることで引き継ぎが不要になりますし、回数を重ねることで要領も良くなっていきます。

一連の流れを仕組み化することで作業が効率化され、検査結果が出ている状態で診察することができています。またそれが、オーナーさまの待ち時間短縮にもつながっています。

スタッフ一人ひとりが主役になれる自主経営を

今後の展望は

尾崎先生 昨今ではこの業界でも、大規模病院が企業の傘下に入るなどの再編が進んでいます。私もここ最近は、事業継承や次のステージについて考えを巡らせるようになりました。

たしかに大きな病院であれば集客がしやすいという面もあるかもしれませんが、おざき動物病院という個性を失わないためには、ここを育ててくれている獣医師一人ひとりが主役となって、自主経営していくことが大切です。

またスタッフが育つためにはポジションが必要になるので、私個人としても院長の代替わりなどを考えなければと思います。と同時に、今後、獣医師としてどのような仕事をしていくのか。これからの道筋を模索しています。

富士フイルムグループに期待することは

尾崎先生 近年、動物医療が高度化していく流れを感じています。医療の向上は当然必要ですし、それを提供する場があることも重要です。しかしそれが当たり前になってしまうと、動物を飼うこと自体が贅沢なものになる恐れがありますし、高度医療をしてあげられないことに罪悪感を感じてしまうオーナーさまが出てくるのではないかと危惧しています。

そこで富士フイルムさんには、動物医療が標準化していくような発信を期待しています。例えばある病気に対して、全国的にどういう検査をしているのかといったデータを集めて検査の標準を示していただけると、一次診療施設のジェネラリストとしては大変参考になります。医療技術を高めることや、検査技術の向上も重要ですが、そうした動物医療の標準化をお願いできればと思います。

おざき動物病院 外観写真

おざき動物病院(奈良県葛城市)導入機器・システム

  • 動物用臨床化学分析装置「富士ドライケム NX700V」
  • 動物用免疫反応測定装置「富士ドライケム IMMUNO AU10V」
  • 動物用血液凝固分析装置「COAG2NV」
  • 検査データ処理支援システム「MiniNet-NeoV」