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日本

~授精後21日以内における妊娠鑑定に超音波を利用して生産性アップ~

養豚の妊娠鑑定におけるワイヤレスエコーの活用

千葉県香取郡東庄町で養豚業を営み、主にブランド豚『東の匠SPF豚(ひがしのたくみSPFぶた)』を生産・出荷している愛東ファーム。
ポータブルの動物用超音波画像診断装置「iViz air V」を妊娠鑑定に使用した感想や画質の印象、使用感などについてお話をうかがった。

愛東ファーム株式会社 代表取締役 
高安 恵子 氏
千葉県農業共済組合 北部家畜診療所 獣医師
五島 可祥 氏
愛東ファームの特長は

高安氏 当ファームは、繁殖から肥育まで一貫して行う一貫経営の養豚農場で、母豚数は約300頭です。農場の運営においては、健康なブタを育てることと、従業員全員が意見を出しやすく、働きやすい職場にすることを大切にしています。

養豚業において獣医師が果たす役割は

五島氏 豚の発育が遅い、肉の品質が落ちてしまった、生まれる子豚の数が少ないなど、農場で日々発生するトラブルや悩みごとに対して獣医学的な観点からサポートをしたり、農場の方々と一緒に考えながら、農場の経営成績の向上を目指すというのが一般的な役割になります。

獣医師の視点から見た愛東ファームの評価は

五島氏 愛東ファームの皆さんは、時代に合った豚肉の美味しさを追求しているだけでなく、豚への愛情がとても深いんですよね。養豚業の持続性を考えた時、アニマルウェルフェア*と生産性を両立させていくには、豚への愛が不可欠だと思っていますので、そうした観点からも愛東ファームは理想的な農場だと感じています。

  • * 感受性を持つ生き物としての家畜に心を寄り添わせ、誕生から死を迎えるまでの間、ストレスをできる限り少なく、行動要求が満たされた、健康的な生活ができる飼育方法をめざす畜産のあり方(一般社団法人 アニマルウェルフェア畜産協会HPより)
養豚業における超音波検査装置の使用状況は

五島氏 一般的には、母豚の妊娠鑑定に用いられています。

妊娠鑑定の重要性は 従来の妊娠鑑定の課題は

高安氏 養豚業界では20年以上前から妊娠鑑定にエコーが使われていますが、画像が不鮮明なエコーでは、授精後21日目に行うエコーチェックで受胎、不受胎を確定するのは困難でした。また、エコーの大きさや重さなどの携帯性についても課題があり、エコーチェックの作業負担が大きいことに加え、取り回しの問題から母豚が入っているストール柵とエコーがぶつかってしまうこともよくありました。

iViz air Vの画質の感想は

五島氏 画像が鮮明で、多くの情報量が得られると感じました。そして、妊娠鑑定については、授精後19~20日で受胎、不受胎を確定できる確率が高まると思いますし、実際にiViz air Vを用いて鑑定した記録でも21日目の結果と28日目の結果はほぼ整合していました。

高安氏 iViz air Vの画質はとてもなめらかで、妊娠鑑定については21日目でほぼ確定できるという感触があります。

五島氏 エコーの高画質化は、妊娠鑑定以外にもさまざまなメリットがあります。例えば、鮮明な画像をもとにより正確な判断ができるので、業務を引き継ぐ際のトラブル防止につながります。また、エコーに慣れていない人でも解剖学的なイメージを持ちやすくなるという教育面でのメリットもあると思います。

20日目 子宮断面と羊水

20日目 子宮断面と胎子

iViz air Vの操作性は

高安氏 スマートフォンベースなので直感的に操作できると思いました。当ファームではフィリピンから来ている技能実習生がエコーを使うことが多いのですが、一度操作を教えたら、すぐに使えるようになっていましたね。

ワイヤレス設計のメリットは

高安氏 まず、プローブと本体を簡単にビニール袋に入れられるので、防疫対策の手間が大幅に軽減しました。また、一人がプローブを操作して、もう一人が豚の頭側で台帳と画面を確認するという使い方もでき、状況に応じて作業負担を分散させられるところも良いと思いました。

携帯性については

高安氏 iViz air Vはとてもコンパクトなので、エコーが柵や柱とぶつかるようなことはなくなりましたし、豚が急に動いた時も避けやすく、作業がしやすいと感じています。また、本体が軽く、片手でも簡単に動かせるので、さまざまなシチュエーションに対応できます。

五島氏 日差しが当たりやすい場所だと、日光の反射でエコーの画面が見えづらいこともありますが、iViz air Vは簡単に画面の角度が調整できるので、日差しが強くても問題なく作業ができます。こういうところは、スマートフォンベースの装置ならではのメリットかもしれないですね。

豚舎を見回る養豚生産者
iViz air Vを活用した妊娠鑑定における超音波検査の様子
iViz air Vを活用した妊娠鑑定における超音波検査の様子
バッテリーの持ちは

高安氏 当ファームでは、週に1~2回、1回あたり長くて1時間程度、エコーを使用していますが、iViz air Vはバッテリーの持ちが良く、当ファームの規模なら、充電し忘れてから1週間後でもバッテリー残量が70%程度はありますし、3週間程度は使い続けられるので助かっています。

保存した画像の活用可能性は

高安氏 簡単に静止画や動画が保存できるので、今後は画像を見ながらミーティングをしたり、教育用の画像集を作ったりして、有効活用していきたいですね。
また、緊急の際は五島先生に画像を送って、遠隔で画像を確認してもらうことも検討していきたいと思っています。

五島氏 遠隔で画像が確認できれば、どこにいても迅速にアドバイスができますし、防疫対策上のメリットも大きいと思います。

今後、富士フイルムに期待することは

高安氏 富士フイルムさんが養豚業界でも役立つエコーを発売したことは、率直にうれしく思っています。今後も、養豚農家のニーズに合わせた高性能で使いやすい機器を開発して、養豚の生産性向上はもちろん、誰もが働きやすい環境づくりにも貢献していただければと期待しています。