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ポータブルエコーのインタビュー

ポータブルエコー「iViz air」の便秘症診療における器質性疾患の除外診断へ臨床応用の可能性

このコンテンツは医療従事者向けの内容です。

川崎医科大学 検査診断学(内視鏡・超音波) 教授
川崎医科大学 総合医療センター 中央検査科 部長
眞部 紀明 先生

日本の便秘症診療を最前線でリードし、便秘エコーにも積極的に取り組んでいる川崎医科大学 検査診断学(内視鏡・超音波)の眞部 紀明 先生に、ワイヤレス超音波画像診断装置「iViz air コンベックス」の使用感や器質性疾患の除外診断への活用可能性、便秘症診療の今後の展望などについてお話をうかがった。

診療・研究で注力されているテーマは。

慢性便秘症や偽性腸閉塞、食道運動障害などの機能性消化管障害をはじめとする神経消化器病学を専門分野の一つとしています。

便秘症の専門的な診療・研究の起点は。

10年ほど前にアメリカのメイヨー・クリニックに留学する機会あり、そこで慢性便秘症を含む下部機能性消化管障害について病態を詳細に分析した上で、それぞれの病態に沿った治療をしていかなければいけないと痛切に感じたことが大きなきっかけになりました。また、その当時は慢性便秘症治療薬の種類が限られていましたが、近年における薬の種類の増加などに伴って、慢性便秘症に関する研究を行う機会がさらに増えてきています。

現在の便秘症診療における課題は。

現状において、誰でも簡便に行える非侵襲的な病態検査が存在しない点は非常に大きな課題の一つだと思います。X線非透過マーカーを用いた大腸通過時間検査(マーカー法)によって便秘の重症度判定などを行うことも可能ではありますが、日常診療でどこでも簡便に行えるかというとまだ難しい部分があり、X線撮影による被ばくもあります。特に、便秘は老健施設や在宅で診療を受けている高齢者の方に多いので、ポータブルエコーのように誰でもどこでも簡便かつ非侵襲的に行える検査の必要性が高いと考えています。

便秘エコーの意義は。

直腸内の便の有無と状態を簡便に確認して、それをもとにした適切な処置・治療を行える点に大きな意義があります。ただ、将来的には、上行結腸や下行結腸なども含めた大腸全体をエコーで評価して、より詳細な病態評価につなげていくことが重要だと考えています。

iViz air コンベックスの画質については。

ポータブルエコーとしては高画質で、通常の体型の方であれば十分に腹部のスクリーニングができるレベルだと思います。

器質的疾患の除外診断への活用可能性については。

便秘エコーでは直腸の周辺も詳細に観察することが大切です。iViz airを用いることで直腸がんなどの病変をある程度ピックアップできると感じています。また、大腸全体のエコーを行うことで、病変が存在する可能性を推察することができます。例えば横行結腸に便があるにもかかわらず、下行結腸で突然便がなくなるというケースでは、その間(例えば脾湾曲部など)に通過障害をきたし得る閉塞病変がある可能性があります。このような場合も含めて、iViz airの画質であれば器質的疾患の除外診断を一定以上のレベルで行えると評価しています。

iViz airの操作性については。

ワイヤレスのメリットが大きく、ケーブルによる制限がないので、体を動かせないような患者さんに対してもプローブを当てやすいと感じています。

iViz airの機能については。

エコー画像とカメラ画像を同時に表示する「マルチビュー機能」は、とても便利ですね。エコーのボディマークは多少分かりづらいところがありますが、マルチビュー機能はプローブを当てている画像とエコー画像が同時に見られるので、ボディマークの代わりとしても良いと感じました。また、エコー画像を他の先生に見てもらう場合など、エコーの実践教育にも適していると思います。

直腸診断を補助する「直腸観察ガイドPlus」は。

便秘エコーに慣れるまでは直腸の位置が分かりづらかったり、分かっても自信がないような場合があると思いますが、そういった際に大きなサポートになると思います。そして、「直腸観察ガイドPlus」を活用して便秘エコーに慣れてきたら、ぜひ直腸の周辺まで走査する範囲を広げて、病変の発見にもつなげていっていただきたいですね。

今後の慢性便秘症診療の展望は。

病態に沿った治療法を展開していく上では、簡便な病態機能検査法が不可欠であり、そうした検査法の一つがエコー検査です。iViz airは、直腸診断のガイド機能を備えていることに加え、携帯性が高く、画像共有もしやすいので、多職種の方がさまざまな場面で活用して、医師がその画像をもとに治療を決定するという流れがさらに広がっていけば、理想的な慢性便秘症診療に近づいていくと思います。

これから便秘エコーに取り組もうとされている非専門医や在宅医に伝えたいことは。

「エコーでは便やガスが見えづらい」と思っている方がほとんどだと思いますが、参考画像を活用しながら直腸エコーを行うと 、少しずつ見えるようになってくると思います。私自身、エコーで直腸がんを一例見つけて、改めて消化管をエコーで診ることの臨床的意義を実感できたという経験があるので、粘り強くエコーを当て続けて、成功体験を積み重ねていくことが習熟への近道だと思います。

直腸がん

直腸がんのエコー像

直腸がんの内視鏡画像

今後、富士フイルムに期待することは。

私が専門としている消化管疾患においては、内腔面からの観察と断層診断の両面が重要ですが、両者は相対するものではなく相互に補い合う関係にあると考えています。しかし、内腔面からの観察である内視鏡と比較すると、断層診断の一つである消化管エコーは簡便かつ低侵襲の検査であるにもかかわらず、まだまだ普及していない状況にあります。そうした中で、さまざまな場面で活用できるiViz airが、消化管エコーの普及に向けた起爆剤の一つになればと期待しています。

基本情報

販売名

FWUシリーズ

認証番号

301ABBZX00003000

 

本記事は取材日時点の情報であり、記事の内容や、施設名、所属、役職などは最新の情報とは異なる場合があります。

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